「るろうに剣心」シリーズなどで知られる大友啓史監督が、俳優の綾野剛さん、松田龍平さんとタッグを組み、第157回芥川賞などを受賞した沼田真佑さんの「影裏」を映画化することが9月3日、分かった。濃密な人間ドラマを描くヒューマンミステリー作品で、國村隼さん、筒井真理子さん、中村倫也さん、永島暎子さん、安田顕さん、平埜生成さんも出演することが3日、わかった。また、2020年2月14日に公開されることも明らかになった。
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映画は、会社の転勤で赴任した慣れない土地、岩手・盛岡での生活に戸惑う今野(綾野さん)を孤独から救ってくれた唯一の友人・日浅(松田さん)が突然姿を消し、今野はその足跡をたどる。すると、彼の知らない日浅のもう一つの影の顔、裏の顔が浮かび上がってくる。共に日々を分かちあったはずの日浅の“本当”はどこにあるのか……というストーリー。
大友監督は、「タイトル通り、この映画は誰もが持つ影の部分、裏の部分に踏み込んでいく作品です。本音では言えないところに、人それぞれの真実、社会との葛藤が潜んでいる。その『影裏』を、深く刻み込むかのように体現してくれる役者たちがそろいました」とコメント。「役者たちの見事なアンサンブルと共に、自分の魂を作品の奥底に深くしのばせたつもりです。大人の皆様に楽しんでいただける作品になったと思います。ぜひご覧ください」とメッセージを送っている。
大友監督とご一緒するのは初めてなのですが、登場人物のそれぞれの心象風景を静かに描きながら、そこにはダイナミックな背景が隠されている、違う側面のものがひょいと立ち現れる面白い世界観だと感じました。
今までの監督の作品イメージとはまた少し違った新たな大友監督の世界なのだと。私の演じた日浅征吾という人物のもとに、主人公の今野が息子の事を聞きたいと訪ねてきて、2人が話すうち、だんだんと会話の中から親子の微妙な人物像と関係性がほの見えてくるという、とても濃密なシーンとなりました。緊張感を目いっぱい楽しんで、そこから解放されての盛岡駅でした。
震災のような理不尽な事が起きると社会は無意識のうちに“見えにくい人たち”について触れなくなる。そこに切り込んだ物語に命を吹き込んだ大友監督をリスペクトすると共に、今野と日浅をリアルに生きた綾野剛さんと松田龍平さんをぜひ劇場に見に来てください。
今回も非常に難易度の高い役でした。綾野さんの呼吸を感じながら、大友監督のまなざしを頼りに、人間関係の生暖かい歪みが垣間見えるように慎重に演じました。
伸び伸びとした切なさを、作品の中に残せていたらうれしいです。ぜひご期待ください。
脚本を拝読し、静かに流れる時間の中、登場人物の心のチラチラとした灯火が随所に垣間見えるような作品に感じました。
撮影で岩手に向かう道中、原作の「影裏」を読んでましたら、自分が演じる役が出てこなくて、ちょっとだけびっくりした思い出があります。大友監督の映画として登場の場所を作っていただき、心より感謝申し上げます。
平埜生成と申します。大友啓史監督に宝物をいただきました。綾野剛さん、松田龍平さんと共に過ごした時間は大きな財産になりました。岩手の空気を吸い、お祭り見物をし、宮沢賢治に触れ、おいしい食事、そして、山の中で美しい自然と肉体を調和させる時間。短い時間でしたが、すべてが心地よく撮影に臨むことができました。
ナマの生命が鼓動を打つ瞬間まで映っている映画だと思いました。ぜひ、劇場で体感していただきたいです。
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