俳優の池松壮亮さん主演の映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)が角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほかで公開される。2018年4月期放送のドラマに続く映像化。ドラマでは、池松さん演じる文具メーカーの新入社員、宮本浩が、得意先や上司からの反発や叱咤(しった)を受けながら成長する営業マンの姿が描かれた。映画は、ドラマにも登場した蒼井優さん演じる中野靖子との愛と試練を描き、ひと味違う作風に仕上がっている。
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文具メーカー「マルキタ」の営業マン、宮本浩(池松さん)は正義感が強く自分を曲げられない不器用な男。それでも、会社の先輩・神保(松山ケンイチさん)の仕事仲間の中野靖子(蒼井優さん)と恋に落ち、ひと時の幸福な時間が訪れる。ところが、ある出来事で、2人の間に大きな試練が立ちはだかる……。共演に井浦新さん、佐藤二朗さんら。
1990年代前半に多くの若者を魅了した新井英樹さんの同名マンガを、「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年)の真利子監督が、ドラマに続いて脚色、映画化した。
宮本はどこまでも真っすぐで真っ当。その猪突(ちょとつ)猛進ぶりは、時に周囲には暴走と映る。それでも自分の考えを曲げない宮本は、ある意味、現代における絶滅危惧種だ。だからこそ、彼の言動は見ているこちらの心をざわつかせ、最後にはエールを送りたくなる。もう一人の主役、靖子は決して男にもたれかからない、とても強い女性。彼女のたくましさや潔さには、大いに心を揺さぶられた。
ドラマ版も、宮本が奮闘する姿は痛々しかった。でも「仕方ないヤツだなあ」と苦笑できるだけのゆとりはあった。ところが今作は、肉体的にも精神的にも相当痛い。とりわけ宮本と、一ノ瀬ワタルさん演じる拓馬の非常階段での決(血)闘シーンは、スタント無しだったというだけに迫真性は十分。宮本の痛みをもろに体感し、何度も顔をしかめた。その部分は覚悟を持って見てほしい。(りんたいこ/フリーライター)
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