ドラゴンボールDAIMA
第3話 ダイマ
10月28日(月)放送分
映画「惡の華」(井口昇監督、9月27日公開)でヒロイン・仲村佐和役を演じている玉城ティナさん。映画は鬱屈とした思春期を過ごす少年少女の暗黒面を描いた作品で、仲村は主演の伊藤健太郎さん演じる春日高男と主従関係を結ぶクラスの問題児。「クソムシが」など罵倒するせりふが頻出する強烈なキャラクターだが、玉城さんは「嫌われるキャラクターにはしたくなかった」という。玉城さんに仲村役への思いや役作りについて聞くと共に、個性的なキャラクターを演じることへの思いを聞いた。
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映画は、押見修造さんの人気マンガを実写化。ボードレールの詩集「惡の華」を心のよりどころに息苦しい毎日を過ごす春日(伊藤さん)は、放課後の教室で憧れのクラスメートの佐伯奈々子(秋田汐梨さん)の体操着を見つけ、つかみ取ったままその場を離れる。やがて春日は、その一部始終を見ていた仲村から、それを秘密にする代わりに、ある“契約”を持ちかけられる……というストーリー。
「プレッシャーはそこまでなく、好きな作品だったので『面白そうだな』という気持ちの方が強かったです」と撮影前の心境を明かす玉城さん。伊藤さんとは過去に共演経験があったため、「春日との関係性が大事だなとものすごく思っていたので、伊藤さんとだったら大丈夫だなと。伊藤さんでよかったなと思いました」と話す。ただ、演じるのは過激な言葉を口にする、独特の世界を確立している仲村という強烈なキャラクター。玉城さんは「原作を読み返してみたら、彼女の確立されたキャラクターがそこにあったので、(キャラを)立てながらも、負けないようにしないといけないなと思いました」と語る。
劇中では「クソムシが」「ど変態野郎」など、原作同様、過激な罵倒せりふが頻出する。ただ、玉城さんはそんな仲村役を楽しんだようで、「仲村のせりふって、口にすると面白いんですよね。なかなか普段は言えないし(笑い)。それを映画の中で言えるなんて面白いなと」と笑顔で語る。とはいえ、過激一辺倒ではなく、猫なで声や無邪気な表情も見せるなど、オンとオフの差が激しいのも仲村の特徴だ。玉城さんは「急に猫なで声になったりドスが効いていたり、話の中でテンションがすごく変わるので、イントネーションや声のトーンは一貫していなくていいのかなと最初から決めていました」という。
クセが強すぎるキャラだが、玉城さんは「仲村を嫌われるキャラクターにはしたくなかった」と語る。「可愛らしさやちゃめっ気は、ものすごく大事にしていました。だからこそ、対比が生まれるので。できるだけ可愛らしくいられるところは可愛らしくしたり……」といい、演じる際は、細かい体の動きや仕草、姿勢まで意識した。「首のかしげ方やポーズで仲村らしさが出たらいいなと思っていました。一本の線で立っている感じではないようにしたくて、体を傾けるというか、正対しないように心がけていました。ちょっとした違和感が出るといいな、と。仲村は、人と話しているときも目を見ていないんですよね。お芝居としての対話で、ここまで人のことを考えなかったのは初めてですね(笑い)」と振り返る。
玉城さんは、仲村というキャラクターはエキセントリックな行動に目がいくが、その内面に「人間らしさ」を感じたという。「アウトプットの仕方に鋭さがあるだけで、根っこのところは、ものすごくピュアで人間らしいと思いました。人からどう思われるかという次元を超えた女の子というか、世界に対して常にファイティングポーズをとっている女の子というか」と話す。玉城さんは、そんな仲村を「うらやましい」ともいう。「生きづらさをのみ込まない強さみたいなものがある。弱いととらえられるかもしれないけど、立ち向かうという意味では逃げていない。それはうらやましいというか、あるべき姿だなと思います」と語る。
今作で強烈な仲村役を演じたが、7月公開の「Diner ダイナー」(蜷川実花監督)でも、ダイナー(食堂)に売られ、ウエートレス姿ではかなくうちひしがれる少女を熱演。宙づりにされたり、水浸しになったり……とハードな役を演じきり存在感を示した。個性的で“普通”ではない役が続いていることについて、玉城さんは「今年は結構ハードぞろいですね(笑い)。めっちゃ普通の役はそんなにないかもしれない」と苦笑する。だが、そういった役を演じることは、気持ちも「上がりますね」と歓迎しており、「自分の中では、そういう強烈なキャラクターを演じる女優として名前が挙がるのは、すごくうれしいです」とほほ笑む。
「Diner ダイナー」のときはウエートレス姿が話題を集めたが、「エゴサーチすると『太もも』ってすごく言われているけど(笑い)、そういうのもラッキーだな、と思います。ニーハイにしてよかったな、と。それがみんなのアンテナに引っかかっているんだなと思うとうれしいです」と前向きだ。今作の仲村役についても、「私のビジュアルが生かされやすいんじゃないかなと。パンフレットにも『目が印象的』とか書いてありますけど、仲村も(特徴は)やっぱり目だったり、表情の作り方だったりする。それが今回は利用できたんじゃないかと思います」ととらえている。
以前には、自身のSNSで、今作について「私はもう一生ここにいて、何者にもなれないのかもしれないと絶望していた時代にこの映画に出合えていたら」と投稿していた玉城さん。話題作への出演が続く大活躍の現状だが、改めて胸中を聞くと「この仕事って面白くて、自分が自分のものだけじゃないんだなということに気づかされるし、自分を飛び越えていろんな人の頭の中で勝手に動いてくれる面白みが感じられるので、この仕事ができてよかったなと思います。でも、何者かになれたかと言われたら……なっていないような気がしますね、まだ。なれる日が来るかは、分からないですが」と赤裸々に思いを明かす。
では、「何者か」になれたと実感できるのは、どんなときなのだろうか。最後にそう聞いてみると、「欲深いので、できるだけ、できるだけ、ですね」といい、「別に満足感というものを得てもいいんですけど……あえて、得ていないんでしょうね」とほほ笑む。あくまで現状に満足せず、前進あるのみと考えている玉城さんの今後のさらなる活躍に期待したい。
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