2018年にアジア最大級の映画祭「第31回東京国際映画祭」(TIFF)で、日本映画スプラッシュ部門に史上最年少で招待された高橋賢成監督(22)の自主制作映画「海抜」が11月23日、ミニシアターのアップリンク渋谷(東京都渋谷区)で公開初日を迎えた。
ウナギノボリ
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映画は、メインキャストおよびスタッフが全員、撮影当時大学生で、大学の卒業制作として作られた。ドイツで開催される世界最大の日本映画祭「ニッポンコネクション」ニッポン・ヴィジョンズ部門で、最高賞となる審査員賞も受賞している。
初日舞台あいさつに登場した高橋監督は、無事に初日を迎えられたことに「感慨深いです。おととしの秋に撮影し、去年の秋に東京国際映画祭に呼んでいただき、今年、映画館で初日を迎えお客さんに来ていただけた。ずっと大変な思いをして撮影したのが報われた」と喜びをかみ締めた。さらに「正直、作品の内容ではなく、若いということで(チケットを)買っていただけたのではないかと思います。でも、そういう勢いで映画を作りました。映画祭に呼んでもらい、お客さんからきついことも言われました。若いからこそできるエネルギーみたいなものを信じてきて良かったと改めて思いました」と感慨深げに語った。
制作での苦労を聞かれると、「当時は大学4年生。お金、知識もなく工夫と知恵で乗り切るしかなかった。物理的な大変さはたくさんありましたが、精神的な苦労の方が大きかった。編集中も『これが正しいのか』『この道に進んでいいのか』とか自分の中で葛藤している時間が長く感じたし、つらかった」と明かし、「徹夜で編集している間、グループラインで(みんなが)『カラオケに行こうぜ!』とか盛り上がっていて……」と“恨み節”も披露した。
舞台あいさつには、高橋監督のほか、映画に出演した阿部倫士さん、佐藤有紗さん、松崎岬さん、奥田誠也さん、三森晟十朗さんも出席した。主人公・渡辺浩の高校時代から30歳までを演じた阿部さんは「体形の役作りなど大変でした。高校時代のときは体重を落として、見た目の変化では坊主にしたり、ひげを伸ばしたり、肉体的にも精神的にもまいった」と苦労を明かしていた。
TIFFの日本映画スプラッシュ部門は、映画「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」などの今泉力哉監督をはじめ、新進気鋭の監督の作品などを紹介している。
「海抜」は、高校時代に中学校の同窓生同士で起きた性的暴行事件を目の当たりにしながら何もできなかった浩。事件から数年がたち、忘れたかった過去が浩の人生に覆いかぶさっていく……というストーリー。
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