昨年、安藤ゆきさんの同名マンガを実写化した映画「町田くんの世界」(石井裕也監督)で女優デビューを果たした関水渚さん。1000人を超えるオーディションで、同作のヒロイン・猪原奈々役を射止めると、その演技が高く評価され、「第43回山路ふみ子映画賞」「第93回キネマ旬報ベスト・テン」「第74回毎日映画コンクール」「第62回ブルーリボン賞」と四つの映画賞で新人女優賞に輝いた。現在、放送中の連続ドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系、水曜午後10時)にレギュラー出演している関水さんの、“横顔”に迫った。
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関水さんは1998年6月5日生まれ、神奈川県出身の21歳。2015年に行われた「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストで、スポーツ飲料「アクエリアス」のCMにも起用された。
2019年公開の「町田くんの世界」で、同じくオーディションで抜てきされた新人俳優・細田佳央太(かなた)さんとダブル主演を務め、女優デビューし、同年10月期の連続ドラマ「4分間のマリーゴールド」(TBS系)に、主人公(福士蒼汰さん)の後輩消防士役で出演。今年1月公開の映画「カイジ ファイナルゲーム」(佐藤東弥監督)でヒロイン役を務めたのも記憶に新しいところ。
「町田くんの世界」では演技初挑戦ながら、人嫌いで自己嫌悪の塊のようなヒロインを熱演。同作の北島直明プロデューサーは当時、関水さんについて「演技経験もテクニックも何もないはずなのに、不思議な魅力というか華やかさというか、とてつもない伸び代を感じ、彼女に懸けてみようと思いました」と語っていたが、その見立ては決して間違ってはいなかったようだ。
一方、関水さん自身は女優業に対してどのような思いを抱いているのか。「町田くんの世界」の撮影では、自分一人、うまく役を演じることがでできず、リハーサルで号泣したこともあった。
当時のインタビューでは「なんだかすごく楽しいんですね。知らなかった自分の一面を知るのも楽しいし、役の子のことをどんどんと知っていくのも楽しい。ごはんを食べる時、何から箸を付けるんだろうとか、朝起きたら何をするんだろうって、自分の生活に入ってくる感じ。そうやって役のことを考えている時間が楽しいし、あとは監督が厳しく指導してくれるのも、普段の生活で怒られるってそうそうあるものじゃないから、それも多分楽しさの一部なんだろうな」と語っていた。
先日開かれた「第74回毎日映画コンクール」の表彰式でも、「町田くんの世界」への出演で「お芝居のとりこになりました」と明かし、「生きる活力みたいな、これがないと生きていけない」と女優業への思いを改めて口にしていた関水さん。
周囲に目を向ければ、同学年には広瀬すずさん、橋本環奈さん、福原遥さんら「奇跡の世代」などと呼ばれてきた人気と実力を兼ね備える若手女優がひしめいていて、ライバルは決して少なくはない。しかし北島プロデューサーの言葉を借りれば、関水さんの「伸び代」は十分。その躍進ぶりから「奇跡の世代、最後の大物」となりそうな予感もする。
5月には映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(田中亮監督)の公開も控え、今後の目標に「朝ドラ(NHK連続テレビ小説)」を掲げる関水さんの活躍は、まだまだ続きそうだ。