海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の千葉雄大さんと女優の伊藤沙莉さんが出演するNHK連続ドラマ「いいね!光源氏くん」。現代に出現した絶対的美男子・光源氏(千葉さん)と、光源氏をヒモ同然で自分の部屋に住まわせることになる沙織(伊藤さん)との、どこかチグハグなやりとりが妙におかしく、時に切ないところが人気の要因だが、桐山漣さん演じる“もう一人の平安貴族”中将の存在も忘れてはならない。ドラマには4月25日放送の第4回から登場。光源氏に負けず劣らず趣のあるセンスを兼ね備えた中将は、たちまち視聴者の注目を集め、優雅な身のこなしで役を体現する桐山さんに対しても、「いいね!」と言った声が多数上がってきた。
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ドラマは、えすとえむさんの同名マンガが原作。「源氏物語」の中で雅(みやび)の世に生きていた平安貴族・光源氏が、まったく世界観の異なる現代に出現。地味で自信がない今風のこじらせ会社員の沙織が、ヒモ同然で住まわせることになる……という“イケメン居候コメディー”。沙織の妹・詩織役で入山杏奈さん、詩織の友人・カイン役で神尾楓珠さん、物理学者のフィリップ役で厚切りジェイソンさんも出演している。
桐山さん演じる中将は、源氏物語の登場人物で、光の義兄。光にとっては良きライバルで、良き親友でもある。都落ちした光を励まそうと須磨へむかう途中、異変に遭遇。光の後を追うように現代に出現する。一時期、行方不明となった光と入れ替わるように、沙織の部屋に居つくも、やがて詩織の紹介でカインの豪邸に居候を開始。カインに連れられてホストクラブに体験入店すると、「麻呂」の源氏名であれよあれよと店の人気者に……。
感情が高まると和歌を詠んでしまうところは光と一緒だが、光より現代になじむのが早かったり、相手の心に敏感だったり、かと思えばヒョウ柄が妙に好きだったりと、なかなかの愛すべきキャラクターだ。桐山さんは、そんな中将を、そこはかとなく漂う大人の余裕と、色気や品のある仕草や表情で好演。烏帽子(えぼし)姿の平安貴族として振る舞えば振る舞うほど、おかしみが増すというキャスティングの妙もあって、ドラマのファンからは「ハマり役」との評価を得てきた。
桐山さんといえば、人気特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズ出身の俳優としても知られ、菅田将暉さんとダブル主演を務めた「仮面ライダーW(ダブル)」(2009~10年)の放送終了から今年でちょうど10年を迎える。
その間、数々の映画やドラマに出演。ここ1年だけでも「俺のスカート、どこ行った?」(日本テレビ系、2019年4月期)、「これは経費で落ちません!」(NHK、2019年7月期)、「チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~」(読売テレビ・日本テレビ系、2019年10月期)といった連続ドラマにレギュラーとして起用されてきた。
役どころも、巻き込まれ体質の高校教師、石鹸(せっけん)メーカーの優秀な営業マン、警視庁捜査二課に所属する謎めいた刑事と硬軟どちらもあって、その都度、演技巧者ぶりを発揮。「いいね!光源氏くん」の中将役のような、主人公を輝かせると同時に自分も輝きを放つライバルポジションもお手の物で、正統派の顔立ちながら笑いを取れて、時には毒にもなる、今や映像作品には欠かせないバイプレーヤーとしての地位を着々と築き上げてきているという印象だ。
「いいね!光源氏くん」は、5月23日放送の「最終絵巻『光くんばいばい?!』」で物語は完結するが、仮面ライダーから平安貴族まで、バラエティーに富む桐山さんの役者人生は、今後さらに充実の一途をたどるのではないだろうか。