人気グループ「KAT-TUN」の亀梨和也さんの主演映画「事故物件 恐い間取り」(中田秀夫監督)が8月28日に公開された。映画は“事故物件住みます芸人”の松原タニシさんの実体験を基にした著書「事故物件怪談 恐い間取り」(二見書房)を実写化したホラー。亀梨さんはホラー映画初出演となる。最近では、2005年に主演したドラマ「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)が今年4~6月に「特別編」として再放送され、「KAT-TUN」としてのCDデビュー前の姿が注目された亀梨さん。ジャニーズJr.時代から持ち続けているポリシーや、仕事に対するこだわり、ホラー映画への思いなどを聞いた。
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今回、ホラー映画に初挑戦することになった亀梨さん。当初は出演に対して「すごく悩みました」といい、「『事故物件』といったワードが並ぶ作品に自分が作り手として参加していいものか、どう向き合えるのか」という葛藤があったと明かす。
だが、「以前、映画『PとJK』(2017年)に出演させていただいたときの配給の方、スタッフの方とのつながりが自分の中で大きく、中田監督との巡り合わせもこんな機会はなかなかないと思ったので、しっかりホラー作品に向き合ってみようと腹をくくりました」と覚悟を決めた。
映画で亀梨さんが演じるのは、テレビ番組へ出演するために事故物件に住む売れない芸人の山野ヤマメ。アイドルとしても活躍する亀梨さんとはなかなか結びつかない役柄だが、「実際に若手芸人の方が出演している舞台へ足を運んだり、芸人の友達に『疑似体験させてほしい』とお願いして芸人仲間の方と飲みに行ったりしました」と役作りした。
また、原作者の松原さんに自ら話を聞きに行き、「インタビュー方式でいろいろと質問させていただいて、ヤマメを演じる上で開けられる引き出しをたくさん用意して現場に入りました」と真摯(しんし)に取り組んだ。
ヤマメは、漫才コンビで10年近く活動を続けるも日の目を見ず、相方からコンビ解散を言い出されてしまう役どころ。劇中には芸人らしくコントを披露するシーンもあるが、亀梨さんは「単にお客さんの冷めたリアクションだけでも『面白くない』場面は成り立ちますが、キャラクターに説得力を持たせるためには、振り切ったほうが分かりやすいと思いました」と“女装”まで披露している。
「その上であれもこれもやってみたけどダメか、という会話があったほうが、より空回っている感じが出せるのかな、と。撮影に入る前に監督と話す機会を設けていただいて、役に対する自分の考えをいくつか提示させてもらいました」と周到に準備した。
一方で、現場に入ってからは手探りの場面も多かったという。不動産物件を題材にした作品だけに、撮影も実際の物件を使用し、「セットであれば撮りたいアングルによって壁を外したりできますが、物件だとそうはいかなくて。監督が思い描く画(え)を撮るために、例えば僕らはカメラに映らないギリギリの場所でスタンバイしたり、スタッフとキャストで協力プレーをしながら“手作り”で進めました」と中田組のチームワークについて語る。
ヤマメが芸人の活動を続ける背景には、幼少期に「人を笑わせて元気にしたい」と感じさせてくれた病気持ちの祖母の存在があった。ヤマメは芸人として飛躍する最後のチャンスとして、事故物件に住むことを決意するが、リスクも大きいだけに、売れるために、ある意味“犠牲”を払ったことになる。同じ芸能界に身を置く亀梨さんにも“犠牲”にしたものはあったのだろうか。
亀梨さんは「青春ですかね」と答えた。「制服を着て過ごした時間は圧倒的に少ないと思います。でも、僕は必然としてとらえてきた感覚のほうが大きいし、今もそうです」と話す。
「仕事柄、私生活で不自由なことがあるのは事実ですけど、この地位にいたいから、売れたいから犠牲にしたわけではない。あくまでも僕の価値観ではありますが、すべてを見せてしまっては仕事が成り立たないと思うし、“亀梨和也”を心地よく楽しんでもらうための環境を整えるのも一つ仕事だと思っているので」とポリシーを語る。
「青春はなかったけれど、僕は“犠牲”だったとは感じていません。ヤマメにとって事故物件に住むという決意も、誰かを笑わせたいという信念に基づいたものなら、それは“犠牲”ではないのかもしれませんね」と自身と役柄を重ね合わせていた。
現在34歳の亀梨さんは、2006年に「KAT-TUN」としてCDデビューする以前から、ドラマ「3年B組金八先生」第5シリーズ(TBS系、1999~2000年)や「ごくせん」(日本テレビ系、2005年)に出演。さらに、「野ブタ。をプロデュース」では主演に抜てきされるなど、10代から活躍してきた。そんな亀梨さんに、改めてジャニーズJr.時代から今までを振り返っての変化を聞くと、「怖さを知ったこと」という答えが返ってきた。
「12歳からこの仕事をしていて、自分の立場はもちろん、仕事に対してのとらえ方やマインドの持ち方も段階的に変わっている。周りからは『まだ早いよ』なんて言われますけど、体力的な部分も。経験を重ねるうちに、怖さも知るようになりました」と明かす。
「そういった変化の中でどう仕事と向き合っていくのか、自分の中でのバランスは大事にしています」と続ける。「自身に対しても、一緒に仕事をさせていただく方や応援してくださる方に対しても、僕なりの考えを持って向き合っているので、そこから背くようになるのであれば、見直さなくてはいけないと常々思っています」とブレない姿勢を見せる。
「昔とは違う部分もあるけれど、大きな軸はずっと変わっていません。これからも“自分”を継続させていくこと、覚えた”怖さ”に対してどのように立ち向かっていくかという部分は、これからもっと成長させていくべきところだと思います」と力強く語った。
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