海に眠るダイヤモンド
第5話 一島一家
11月24日(日)放送分
お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんの妄想を描く短編小説を、俳優の仲野太賀さん主演で実写化した連続ドラマ「あのコの夢を見たんです。」(テレビ東京、金曜深夜0時12分)。山里亮太役を演じる仲野さんについて、視聴者からは「山ちゃん再現度が高い」など絶賛の声が上がっている。ドラマを手がける倉地雄大プロデューサーは、「太賀さんの圧倒的な芝居力が、いろいろな作品に出続けている理由だと思います」と話す。今クールでは「この恋あたためますか」(TBS系)にも出演する仲野さんの魅力とは……。
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「あのコの夢を見たんです。」は、山里さんが、実在する人気女優、アイドル、モデルたちのイメージから創作。恋愛小説やファンタジー小説の要素も含んだ“妄想物語”となる。2010年10月から雑誌「B.L.T.」(東京ニュース通信社)で連載がスタートし、2019年4月に16本に厳選した短編小説集として発売された。ドラマでは既出のエピソードのほか、山里さんが新たに書き下ろしたエピソードも映像化する。仲野さんは民放ドラマ初主演。
11月6日放送の第6話、山本舞香さんのヒロイン回では、「私に勝ったら付き合ってあげる」という天才空手少女・舞香(山本さん)と山里の恋の闘いが描かれる。関口メンディーさんも出演する。
ドラマが放送されると、SNSでは「仲野太賀さんがマジで山ちゃんに見える」「メガネの上げ方が完璧」「山ちゃんに見えてヤバい。表情とか仕草が」と、“山里亮太”の再現度が話題となった。
実は、倉地さんによると、「(山里さんの)モノマネをしているわけではない」という思いがあったといい、「赤いメガネはご相談をして太賀さんにかけていただいたのですが、しゃべり方、芝居、歩き方、所作みたいなものは、(仲野さんに相談したときに)『無理して寄せなくても芝居で山里さんっぽさが伝わるのでは』となりまして……」と明かす。
山里さんに寄せているわけではないが、視聴者からは「似ている」という反響が上がり、「トータルパッケージとして成功している気はしています」と話した倉地さん。「行間、芝居、間とかそういったものが、山里亮太さんとリンクするものを表現してくれているということだと思う。それは太賀さんの芝居力がすべて」と力を込める。
そもそも、どうして山里さん役に、仲野さんを起用したのだろうか。さまざまな番組で、いろいろな顔を持つ山里さんを、「あれだけ芸風が確立されている“山里亮太”って、キャラクターが強すぎる」と話した倉地さん。そんなキャラクターが強い山里亮太を誰に演じてもらうかについては、スタッフと議論を重ねた。
「(仲野さんより)もっと年上の方が、メガネをかけて『山里亮太です』ってやっても演じられると思ったし、もっと若くてイケメンの方が演じても、『妄想の中の山里亮太って実は顔がいい』ってそれはそれで成立するなって思っていた」と振り返った倉地さん。そんな中、「雰囲気や芝居で、山里さんの“匂い”を感じられる方がいいな」という思いがあったという。
また、出演する女優陣が、10代後半から20代前半が多かったことから、「40~50代の、山里さんの実年齢に近い人が演じられると、画(え)になったときに、気になってしまう人が出てくるかもというのがあって。なんとなく太賀さんの年齢ぐらいが相手役としてはいい年齢なんだろうなと思っていた」と話す。
ドラマは、毎回ちがう世界観の中で物語が繰り広げられ、山里亮太もさまざまな形で登場する。そんな山里役には、「二枚目、三枚目も演じられる芝居力の幅が必要」となる。そんな中、仲野さんが出演した映画「南瓜とマヨネーズ」(冨永昌敬監督)を、倉地さんが見たこともきっかけとなった。
「いろいろな作品に、いろいろな形で出ている中で、あの映画の太賀さんは本当に素晴らしかった。山里さんからの『太賀さんに演じていただけたらうれしいです』というひと言もあって、太賀さんに聞いてみたんです」と明かす。
仲野さんは、第1話では、失恋を体験できるというアプリ「振られ屋」に登録した学校一のモテ女の中条あやみさんを振る役どころだった。第2話では、30年前に滅ぼされた魔王が突如復活する中、魔王を倒した勇者ら“光の騎士”たちの一員で登場。芳根京子さんを新たな勇者として任命した。
第3話では、森七菜さん演じる天真らんまんでいつも明るい人気者の幼馴染で内気なヤマとして登場。第4話では、後悔を消して思い通りの人生を歩めるというリセットボタンを、飯豊まりえさんに渡す謎の男として登場した。第5話では、「言いたいことを言えない」現代人が抱えた深い悩みを持つ会社員として登場した。
倉地さんは、「(オムニバスなので)毎話毎話起承転結があったり、クライマックスがある中で、太賀さんがちゃんと受けたり、仕掛けることがあったり、引き出すことがあったり、ベースを支えていただいているのは、太賀さんの芝居であって、太賀さんの芝居力にすべて支えられているような気がしています」と話す。
また、「ぶつける相手や、引き出す相手がちがうと、芝居が変わるっていうのは、今回の現場で結構見ました。それは太賀さんが、相手を引き出すことも含めて、座長としてすごくコントロールしていただいたなと思っていますね」と続ける。
そんな撮影現場での仲野さんの様子は、「結構ムードメーカー」だという。監督と役について深く話したり、スタッフなどと気軽に話をしたりしているといい、「気遣いもすごくできる方で、クランクアップしたときも、スタッフ一人一人に長い間、ひと言ひと言かけて帰られました」と明かす。
今クールでは、「この恋あたためますか」にも出演している仲野さん。主演映画「泣く子はいねぇが」(佐藤快磨監督、11月20日公開)、映画「あの頃。」(今泉力哉監督、2021年2月公開)、「すばらしき世界」(西川美和監督、2021年2月11日公開)など、公開予定の作品が続々と控えている。
仲野さんの役者としての魅力について、倉地さんは「メインでも、脇でも輝ける素晴らしい役者さんなので、また形を変えてご一緒したいと思います。人となりもすばらしいですけど、代えがたい圧倒的な芝居力が、太賀さんがいろんな作品に出続けている理由だと思いますね」と話していた。「あのコの夢を見たんです。」はもちろん、これからも仲野さんの活躍が楽しみだ。
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