松本まりか:デビュー20年目で人生に彩り 「モノクロだった」10、20代 「おばあちゃんになるまで、カラフルな世界で生きたい」

松本まりか写真集「MM」を発売した女優の松本まりかさん
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松本まりか写真集「MM」を発売した女優の松本まりかさん

 「すごく遠い昔に思い描いていたものが、気づいたら形になっていたり、憧れた人と共演できたり。今、人生が初めて彩りを迎えたというか……」。全クールでのドラマ出演に加えて、写真集発売、バラエティー番組のナレーション……と活躍が続いた今年を振り返ったのは、女優の松本まりかさん(36)だ。松本さんといえば、33歳のときに出演したドラマ「ホリデイラブ」(2018年放送、テレビ朝日系)での役柄が「あざと可愛い」と注目を集めたことで知られるが、10代、20代は「モノクロだった」と表現する。デビュー20周年を迎えた今年や、写真集への思いを聞いた。

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 ◇躍動する“今”を写真に残したい 「レタッチしないで」とオーダー

 「松本まりか写真集『MM(エムエム)』」(マガジンハウス)の発売となった12月4日、取材に応じてくれた松本さん。「どうしても今年中に出したかった、というのがあったんです。私も(デビュー)20年だし、『anan』さんも50周年だし、だから来年じゃだめだったんです。ついにこの日が来たんだって」と充実した表情を見せる。

 写真集は、松本さんが10代の頃から「表紙を飾れるような、すてきな人になりたい」と憧れてきた女性誌「anan」(同)のプロデュース。今年9月に36歳になった松本さんの自然体の美しさ、天真らんまんな一面などをフォトグラファーの中村和孝さんが撮影した。表紙の“帽子ブラ”カットが話題を集めているほか、大人なランジェリー姿も披露している。A4判、144ページ。価格は1980円(税抜き)。

 写真選びや、写真の色合いを決めるなど、松本さんも制作に携わった。しわ、毛穴、素肌感など、通常なら消してしまう部分も、あえて残した。「『この血管はもっと色濃く出してほしい』『このしわは絶対消さないでほしい』と、逆にレタッチしないでくれ、というオーダーをしました」とこだわりを明かす。

 デビュー20周年となった今年は、特に自粛明けから「信じられないくらい、たくさんお仕事をいただけるようになった」と振り返る。「走っている、躍動している、生きているという“今”の状態を写真に残しておきたい。今の素肌感だとか、血管とか、生々しい人間味とかを残したかった。ちょうどそのさなかの写真が収められていると思います」と語り、「皆さんに『ぜひ見て!』と言えるものを作りたかった。それ以上のものができたと思っています」と手応えも明かす。

 ◇「目標や夢はかなっていくんだ」と体感

 松本さんは、1984年9月12日生まれ。東京都出身。乙女座のB型。2000年放送のドラマ「六番目の小夜子」(NHK)で女優デビュー後、数々の作品に出演してきた。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、ドラマの放送月が大きく変わったクールもあったが、松本さんは全クールのドラマに出演した。

 2月の女優のシシド・カフカさん主演の連続ドラマ「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」(NHK総合)のゲスト出演から始まり、3月は「連続ドラマW パレートの誤算 ~ケースワーカー殺人事件」(WOWOWプライム)で生活保護利用者役を演じた。4月は女優の森川葵さんの主演ドラマ「B面女子」にゲスト出演、5月は女優の安達祐実さんの主演ドラマ「捨ててよ、安達さん。」(テレビ東京)にゲスト出演した。

 7~9月に放送された俳優の玉木宏さん主演の連続ドラマ「竜の道 二つの顔の復讐(ふくしゅう)者」(カンテレ・フジテレビ系)では、“傲慢な社長令嬢”霧島まゆみ役を務めた。周囲に対して尊大な態度を取るうえに、遠藤憲一さん演じる父親譲りの狡猾(こうかつ)さも併せ持っており、何事も自分の思い通りに進まないと気がすまないという性格だったが、高橋一生さん演じる竜二と出会うことにより、徐々に変化していく様子を見事に演じきった。

 8~9月に放送された女優の小芝風花さん主演の連続ドラマ「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系)では、「恨めしや~」で知られる「四谷怪談」のお岩さんと、人間の姿としてナースの四谷伊和役を担当。特殊メークによって顔がただれ髪は抜け落ちたお岩さんのビジュアルや、普段は優しいが怒ると怖く、浮気する男性への怒りも過剰というキャラクターも話題を集めた。10~12月の「先生を消す方程式。」(テレビ朝日系)では、田中圭さん演じる主人公の恋人役を演じた。

 女優業以外の活動では、バラエティー番組「中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん」(TBS系)のナレーションを担当。9月12日に放送された大型音楽特番「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)では、テレサ・テンさんの代表曲「愛人」を生歌唱したことも話題になった。

 引っ張りだことなった今年について、「こんなミラクルがあるのかって思うぐらい、ミラクル続きの日々でしたね」と振り返った松本さん。「20年目にして多くの挑戦したいことを叶えていただいて、求めていただけるようになって、感謝を感じられる年になりました」としみじみとした様子。

 「今年は自分ができないことにも挑戦する、その勇気を持った年でしたね。目標とか夢ってかなわないものだと思っていましたけど、かなっていくんだというのを、今すごく体験しているところです」。

 ◇ミラクル続いた2020年 現在のブレークへの思い

 昨年11月、記者が初めて松本さんにインタビューさせてもらった際、松本さんは「私は求められていないし、現実的な希望も見えない中やっていくというのは、すごく苦しかった。表現する場がないのがどれだけ苦しいことか……。20年ってなかなか苦しいです」と女優人生を振り返っていた。

 15歳でデビューして以降、テレビドラマのほか、人気劇団や、人気俳優が出演する舞台に出演してきた松本さんだが、「(芸能人の友達が)みんな、カ~ッとスター路線にいく中で、私はそうじゃなくて。這(は)いつくばっていた時期があって……」と話していた。

 デビュー10年目には一人で英国へ留学。帰国後、小劇場のオーディションを自ら受け、「生きる場所を探していた」という松本さんが出会ったのが、山内ケンジさんの脚本・演出による演劇プロデュース・ユニット「城山羊の会」。この舞台がきっかけで「ホリデイラブ」につながった。

 「ホリデイラブ」での、さまざまな手段で他人の夫を奪い取ろうとする不倫妻・井筒里奈役で注目を集めて以降、数々の作品でのエキセントリックな役どころから“怪演女優”と話題に。しかし、ここに至る道のりは決して順風満帆ではなかったと話していた。

 1年前の取材のことを「覚えてますよ~!」と話してくれた松本さん。当時よりさらに引っ張りだことなった今の心境を尋ねると、うれしいし、日々楽しいという気持ちでいっぱいであると同時に、「ものすごく責任感が襲ってきます」と明かした。

 「そういうハードルというか、ちゃんと重しを持って、自分を鍛えて磨いていかないと、幸せとか彩りって見ることができないんだと思います。だからたくさん悩むし、考えるし、本当に失敗するし、落ち込むし……。でもそれがあるからこそ、彩りがある。日々切磋琢磨してやっていきたいなと思っています」

 「本当に私は10代、20代がモノクロだったから……」と表現した松本さんは、36歳の今、“カラフル”な世界に身を置いている。そんな松本さんに、2021年への思いを尋ねてみた。「21年目も新しい出会いを大切に今までご一緒できていなかった監督やスタッフ、俳優の皆さんに出会いたいです。あとは大好きなファッション関係の方とももっと出会えたら」と話す。「今とは全然違った景色をまた見ていきたい。一年ごとに(景色を)更新していきたい」と続ける。

 「いつか自分が『この景色がすごく心地良い』というところに行き着いていけたら。いくつになろうが、とにかく自分の好きなように生きるということを、この人生でやっていきたい。おばあちゃんになるまで、生き生きとカラフルな世界で生きたいです」

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