特撮ドラマ「仮面ライダーセイバー」と「機界戦隊ゼンカイジャー」(共にテレビ朝日系)の映画「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」(田崎竜太監督)が7月22日に公開される。放送開始50周年を迎えた仮面ライダーシリーズと、45作品目が放送中のスーパー戦隊シリーズのダブルアニバーサリー作。歴代の仮面ライダーとスーパー戦隊が垣根を越えて共闘する今作に、俳優の鈴木福さんが物語の鍵を握る“謎の少年”役で出演している。特撮作品の大ファンとしても知られる鈴木さんに、念願の出演が決まった時の心境やヒーローたちと共演しての感想、特撮好きになった経緯や思い入れのある作品、さらに今後の“変身願望”を語ってもらった。
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5年前の仮面ライダー45周年時、雑誌のインタビューで「5年後には17歳になっているので仮面ライダー50周年の作品にどんな役でもいいので出たい」と語っていたという鈴木さん。「仮面ライダーオーズ/OOO」(2010~11年)に手を洗う少年で出演経験はあるものの、そのときはせりふもなかったが、今作では“謎の少年”として重要な役どころを演じる。
思い入れの強い仮面ライダー&スーパー戦隊作品への出演オファーに、「まさかかなえていただけるとは思ってもいなかったし、呼んでいただけるなんて思ってもいなかった。しかも50周年と45作品記念の映画に出ることができるとは本当にうれしいです」と心境を明かし、「今までいろいろやってきた中で、ちょっと壁にぶつかったり嫌だなって思ったりすることもなかったわけではなく、そういうのを乗り越えつつやってきた結果、こんなに楽しい幸せな仕事がもらうことができた」と感謝。「自分にとって“17年間のご褒美”のように感じています」と喜びを語る。
自身の役どころについて、「役柄的に難しい部分もありましたが、完成した映像を見て自分としても『やらせてもらえて良かった』『選んでいただいて良かった』と改めて感じることができる作品になっていました」と手応えを口にし、ヒーローに囲まれての撮影現場の様子を、「ヒーローショーの“スーパーハイクオリティー版”みたいな印象で、その中に自分がいて隣に仮面ライダーとかスーパー戦隊がいることが不思議だった。スタッフさんも仮面ライダーやスーパー戦隊の仕事をずっとされてきた方ばかりで憧れの存在。そんな方々しかいない現場で物語の登場人物として一緒に作品を作り上げていくことが、不思議ながらに楽しかったです」と興奮気味に振り返る。
鈴木さんが最初に熱中した特撮作品は「仮面ライダー電王」だが、「仮面ライダー」シリーズを知ったきっかけは、「たしか東京ドームホテルに行った時だと思うのですが、『仮面ライダーカブト』の仮面ライダードレイクのフィギュアをもらって持っていた記憶があります。『仮面ライダー』というものを知ったのは多分『仮面ライダーカブト』のころかな」という。
「仮面ライダー電王」にハマった要因を聞くと、「バイクが好きですごく憧れを持っていて。それで(電王が)バイクに乗っていたことから見始めると、変身もカッコいいし戦っている姿もカッコいい。それに電車からバイクが出てくるところも含めて『すごい』という印象が強かったです」と回答。さらに、「それぞれのキャラクターも好きですけど、一番好きなのは『ウイングフォーム』。そのころから結構“オタク気質”というか素質は持っていたのでしょうね」と笑顔を見せる。
そして、「自分でも本当に不思議です。『仮面ライダーキバ』でも仮面ライダーイクサの方が好きだし、(同作で)一番好きなのは仮面ライダーダークキバ。着眼点がちょっと変わっているのでしょうね」と楽しそうに自身の“好み”の傾向を分析する。
同時期に放送されていたスーパー戦隊シリーズの「獣拳戦隊ゲキレンジャー」も見ていた鈴木さんは、「『獣拳戦隊ゲキレンジャー』や『仮面ライダー電王』を見て、その後『炎神戦隊ゴーオンジャー』も見て、そこでより熱が高まっていった感じ」と話す。「獣拳戦隊ゲキレンジャー」では「ゲキチョッパーが好きでした」と明かし、「色として赤とか青があまり好みではなく、戦隊メンバーでも赤や青、それにメインキャラクターに引かれないタイプでした」とブレない好みの理由を語る。
夢中になってからは「毎年、毎回、毎週録画して見ていたし、何回も見たりするものもありました」と“特撮沼”にどっぷり浸かった鈴木さんは、視聴時の熱量に多少の差はあるとのことだが、基本的には「見ないという選択はありません」ときっぱり。
近年では、「『仮面ライダージオウ』は見ていたし、『仮面ライダーゼロワン』はお話が好きで、出てくるキャラクターもみんなカッコよくて好きですね。スーパー戦隊だと『魔進戦隊キラメイジャー』や『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は面白かったし、ここ最近では特に『機界戦隊ゼンカイジャー』がお気に入り。最初から『これ絶対面白くなるでしょう』って思ったし、“ツッコミどころ”満載で細かいなっていうのがすごくあります」と熱中した作品を挙げる。
また子供のころ「変身ポーズのまねはしていました」といい、「友達と遊んだときは間違えないように各自名前シールを変身ベルトに貼っていました。今でも残っています」と回顧。さらに「3、4歳ぐらいだと思いますが、『仮面ライダーBLACK』の変身ポーズをした写真があり、そのころから平成ライダーだけでなく昭和ライダーにも手を出し始めていたのだなって(笑い)」と自身の“ライダー愛”に驚く。
世代ではない昭和ライダーも自宅にビデオデッキがあったことから、「全話しっかりというわけではないのですが、小さいころにビデオを借りてきて何作品か見た記憶があり、中でも『スカイライダー』とか『仮面ライダーストロンガー』が印象に残っています」と話した。
仮面ライダーとスーパー戦隊それぞれで、もっとも思い入れのある作品&キャラクターを質問。仮面ライダーに関しては「やっぱり『仮面ライダー電王』ですね。僕の中で(特撮好きになる)きっかけの作品なので、思い出は深いです」と即答し、『仮面ライダーセイバー』は自分が出演できた作品ということもあり、思い出としてこれからも強く残っていくのだろうなとは思います」としみじみする。
一番好きなキャラクターについて「一番は選べない……」と悩みつつ、「思い出や思い入れという部分では、電王や仮面ライダーW。ゼロワンも出てくるキャラクター全員かっこよくて好きですね」と回答。変身フォームの好みは、「基本的に真ん中じゃない、または進化フォームの中に好きなのが出てくことが多い」という。
具体的に名前を挙げてもらうと、「『仮面ライダーセイバー』だったら最光シャドーが一番好きで、『仮面ライダージオウ』はゲイツが好き。『仮面ライダーゼロワン』だと仮面ライダーアークワンが一番好きだけど、仮面ライダー雷もいい。アークワンとかアーク、アークゼロ、エデンや仮面ライダー1型とか、ちょっと異色のタイプの方が好きですね。そういう意味ではオーマジオウもかなり好きです」と熱い口調で話す。
一方、スーパー戦隊シリーズでは「一番好きな戦隊は何と聞かれたら『侍戦隊シンケンジャー』です」といい、「当時(『侍戦隊シンケンジャー』の変身デバイスの)ショドウフォンを買ってもらえなくて、その思い出がすごく強い(笑い)」と理由を説明。さらに「放送時期より後に、おもちゃ屋で見かけたゲキチョッパーのサイブレードを小学生になって買ってもらったのですが、そういう思い出は強いですね」とおもちゃにまつわる記憶も鮮明に残っている様子だった。
一人のファンとして「特撮の魅力」を分析してもらうと、「言い方が難しいですけど、一番の魅力がそれぞれみんな違うところかな」と切り出し、「それぞれ好きになるポイントもタイミングも違って、例えば『仮面ライダーセイバー』だったら『剣が好き』から始まる子もいればキャラクターをカッコいいと思う人もいるし、『物語が好き』とか『俳優さんが好き』という人もいると思う」と持論を展開。
続けて、「僕の場合はバイクから好きになり『変身カッコいい!』『戦いカッコいい!』という連鎖が起きた」と話し、「それぞれ魅力を感じる部分が違うところ、たくさんあるところが魅力なのかなと思います」と結論づける。
特撮作品の“沼”に招待するならどうプレゼンを、と水を向けると、「子供向けという概念を持っている人もいると思うけど『そんなことはない』と言いたい」と切り出し、「分かりやすさでいうと、俳優さん。『誰々が出ている』とか『次は誰々が出る』とか……」と話しながら、「今回の映画に関していえば僕が出るから、みたいな(笑い)」と自身の出演もしっかりとアピール。
“変身願望”については「目標として頑張っていきたい」と言い切るも、「この間、やりたいことや目標を公言するとダメになるっていう説が論文で発表されているのを見ちゃって」と苦笑い。それでも「僕としては5年前に言っていたことが今回実現したので大丈夫なのかなと思いつつ、『準備はしておかないと』『俳優として素晴らしくなっておこう』『煌(きら)めくものがあれば』という感じです」と力を込め、「周りに負けない人になっておけば、みんなに勝てる人であればオーディションも勝ち取れると思うので、そこだけですね」と実現に向けて闘志を燃やした。
演じたいポジションについては、「2号ライダーが好きで憧れもありますけど、もちろん主演としてやりたい。1号ライダーのポジションも2号、3号もどれも演じてみたいですね」と目を輝かせ、「『侍戦隊シンケンジャー』でシンケンゴールドを演じた相馬圭祐さんが『仮面ライダーセイバー』で仮面ライダーソロモンに変身したように、一度出演したあと俳優として成長して何年後かに戻り、3号ライダーやスーパー戦隊に変身するのもやりたい。頑張ります!」と意気込んでいた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
※注:田崎竜太監督の「崎」は「立つ崎」
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