許斐剛（このみ・たけし）さんの人気テニスマンガ「テニスの王子様」のフル3DCGの新作劇場版アニメ「リョーマ！The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様」（神志那弘志監督）が9月3日に公開された。原作者の許斐さんが初めて製作総指揮を務め、主人公・越前リョーマがタイムスリップしてしまうというまさかの展開や、“テニスギャング”とのラップバトル、ダンスシーンなどサプライズ満載の同作で話題になっているのが、本編の一部シーンが異なる2タイプで上映されるという斬新な上映方法だ。一部シーンで登場するキャラクターも、描かれるストーリーも異なり、一つの作品で二つの楽しみ方がある。2タイプ上映を体験してみた。

あなたにオススメ

“あの頃”のジャンプ：実写ドラマ化も話題「ウイングマン」　1983年を振り返る

　◇

　2タイプ上映は、＜Decide＞と＜Glory＞の2種で、＜Decide＞には、青春学園中等部の手塚国光と立海大附属中学校の幸村精市らが登場し、＜Glory＞には氷帝学園中等部の跡部景吾と四天宝寺中学校の白石蔵ノ介ら、各校のテニス部部長が登場する。

　2タイプ上映は、公開前から「一部シーンが異なる」とだけ発表されていたが、冒頭から気が抜けない演出が用意されていた。本編前の告知も2タイプで、＜Decide＞は、置鮎龍太郎さん演じる手塚、＜Glory＞は諏訪部順一さん演じる跡部が告知を担当する。これから始まる本編をそれぞれのキャラクターらしいアナウンスで盛り上げる。

　本編では、主人公・越前リョーマがアメリカへテニスの武者修行の旅に出た先で、ひょんなことから父・越前南次郎が現役テニスプレーヤーとして活躍していた過去のアメリカへタイムスリップしてしまう……という時空を超えたストーリーが描かれる。リョーマと若き南次郎が再会したり、リョーマと共にタイムスリップしてしまった同級生の竜崎桜乃が何者かに連れ去られたりとさまざまな事件が起こる。

　事件に巻き込まれ、リョーマが窮地に陥った時、ストーリーが二つに分岐する。ここが2タイプ上映の一番の見どころだ。＜Decide＞では手塚と幸村ら、＜Glory＞では跡部と白石らが登場し、それぞれ異なるリョーマとのやり取りが描かれる。過去にタイムスリップしたリョーマと、現代にいるはずの手塚たちの邂逅（かいこう）は、思わず「えっ！？」と驚くような時空を超えた方法で実現する。

　さらに、2タイプで異なる限定楽曲も披露される。＜Decide＞ではリョーマと手塚が歌う「リョーマの想（おも）い 部長の声」、＜Glory＞ではリョーマと跡部が歌う「リョーマの想い 強敵（ライバル）の声」を許斐さんが詞・曲ともに書き下ろした。どちらもストーリーとリンクする楽曲となっており、歌詞にも注目してほしい。

　本編のエンドロール後には、「テニスの王子様」シリーズの人気楽曲を使用したライブパート「シアター☆テニフェスpetit！」が上映される。こちらも2タイプで異なるセットリストで、＜Decide＞ではソロのキャラクターソング、＜Glory＞では各校のチーム曲を中心に構成されている。原作の名場面がスクリーンに流れる中、名曲を堪能できる。まさにファンにはたまらない“ボーナストラック”だ。

　2タイプの「リョーマ！」には、驚きの展開、音楽、キャラクターたちの格好よさという「テニスの王子様」のシリーズの魅力が凝縮されていた。冒頭の2タイプの告知から、ライブパートまでサプライズ満載のエンターテインメントに「テニプリ」ワールドのパワーを感じた。

　◇＜Decide＞「シアター☆テニフェスpetit！」セットリスト

　Love Festival／テニプリオールスターズ▽FIGHT TO THE END（越前リョーマ）▽Never Surrender（手塚国光）▽俺様の美技に酔いな（跡部景吾）▽エメラルドライン（幸村精市）▽スパイダー（木手永四郎）▽go on（白石蔵ノ介）▽Orange（越前リョーガ）▽世界を敵に回しても（テニプリオールスターズ）

　◇＜Glory＞「シアター☆テニフェスpetit！」セットリスト

　Love Festival（テニプリオールスターズ）▽Tricolore（青学オールスターズ）▽恋の激ダサ絶頂（エクスタシー）！（by断ち切り隊）▽CHU-BA-FIGHTER（木手永四郎）▽勝手に四天フェスタ（四天宝寺オールスターズ）▽チャームポイントは泣きボクロ（跡部景吾）▽LASER BEAM（柳生比呂士）▽世界を敵に回しても（テニプリオールスターズ）