ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の宮島礼吏さんのラブコメディーマンガが原作のテレビアニメ「彼女、お借りします(かのかり)」の第2期が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズム」で7月1日から放送される。第1期に続き、ヒロインの水原千鶴役の雨宮天さん、七海麻美役の悠木碧さんら豪華声優陣が出演する。麻美は、主人公・木ノ下和也の“ゆるふわ小悪魔系元カノ”で、腹黒い面もあり、物語を引っかき回す重要なキャラクターだ。第1期では、独特の魅力で和也のみならず視聴者も翻弄(ほんろう)してきた麻美だが、第2期では、さらにパワーアップし“魔王”的な怖さを見せ始めるという。悠木さんに演技のこだわり、第2期の見どころを聞いた。
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「彼女、お借りします」は、恋人にフラれてしまった20歳のダメダメ大学生の木ノ下和也が、レンタル彼女の美少女・水原千鶴と出会う……というストーリー。2017年に「週刊少年マガジン」で連載をスタートした。テレビアニメ第1期が2020年7~9月に放送された。
悠木さんが演じる麻美は、可愛らしい外見や雰囲気とは裏腹に、ダークな一面を見せることもある。第1期では、麻美が巧みな策で和也と千鶴の恋路を邪魔するシーンが描かれ、悠木さんは麻美に「アニメーションでなかなか出会うことのできない、女の子のすごくリアルな策士ぶり」を感じているという。
「麻美は“つい翻弄されたくなる”というのがすごく重要なキャラクターかなと思います。彼女の裏の部分が特殊なので、そこがフィーチャーされがちなんですけど、それだけではあの子のポジションは成り立たなくて、『なんだか分からないけど引かれちゃう魅力』みたいなものがある。だから、『麻美にこうされたらドキっとするんじゃないかな?』とたくさん想像してドキっとポイントを盛り込んで演じています。麻美のメインウエポンは、突然距離を詰めてくるところだと感じていて、さっきまで普通にお茶していたのに、次の瞬間は耳元でささやかれているみたいな、距離がコントロールされてる感じが出せたらいいかなと」
第1期で強烈なインパクトを残した麻美だが、第2期では変化も見えてくるという。
「策士の麻美でも、千鶴と和也くんの関係性が急速に深まっていくのを妨害しきれなくなっていきます。彼女は、白と黒のどっちでもなく“グレー”の手段を取るのがすごく上手な子なんですけど、第2期では、だんだんブラックなことをしていくようになる。自分で手を汚さなければいけない範囲に来ている。麻美が焦って手段を変えてくるところは、ホラーだなと思いました。より一段と“魔王感”が出ているかもしれない(笑い)」
第2期では、麻美が“超積極的な妹系”の更科瑠夏と対峙(たいじ)するシーンも見どころの一つとなる。真っすぐで元気いっぱいの瑠夏を前にして麻美の“ウイークポイント”も見えてくるという。
「恐らく瑠夏ちゃんは、麻美の史上最も苦手なタイプ。瑠夏ちゃんは、とにかく純粋な『好き』のパワーで押してくるので、絶対引いてもくれないし、ビビらない。策で挑んできた麻美は、いつも“魔法”ばっかり使っているからパワー型に弱いというか(笑い)。瑠夏ちゃんとのシーンでは、麻美の新たな一面を見られました」
悠木さんは、焦って余裕がなくなってくる麻美を演じるのも「楽しい」と話す。
「ヒールポジションを演じていて一番楽しいのは、やっぱり倒される瞬間なので。現実に近いこの作品では、明確に倒される瞬間はないんですけど、だからこそ、窮地に追いやられていく彼女が描かれた時に、よりヒールポジションとして魅力的になるのかなと思いました」
「かのかり」は、個性あふれるヒロインたちが登場し、千鶴役の雨宮さん、瑠夏役の東山奈央さん、桜沢墨役の高橋李依さんという豪華声優陣が魅力を表現している。悠木さんは「安心感がありました」と収録を振り返る。
「第1期を経て、みんながこのキャラクターのこういう部分を愛して演じてるんだろうなというのが、なんとなく分かるというか。だから、麻美も堂々と魔王になれますし、堂々と向こうの攻撃にひるむこともできます。気持ちいい“プロレス”ができたみたいなのはありますね。やっぱり信頼していないと良きプロレスにはならないじゃないですか。芝居も絶対そうなので、お互いに信頼していて、みんなが演じるキャラクターの『ここが好き』という思いがあるからこそ、思い切り私も麻美を演じられます」
悠木さんが演じる麻美には、思わずゾクッとさせられるような底知れぬ魅力がある。悠木さんが「麻美みたいな子って、小学校のころからいるじゃないですか」と話すように、どこかで出会ったことのあるようなリアルさがあるからこそ、よりゾクゾクとさせられるのかもしれない。
「私は、小学校のころから、麻美みたいなタイプにけんかを売られがちだったんです(笑い)。そういう子たちに翻弄されてすごく悔しく感じてこれまで生きてきましたけど、その経験がここに来てこんなに役に立つとは。だから、麻美を演じる時は、私が言われて一番むかつく感じで演じていますし、私が言われて、結局その子たちを許してしまう可愛さで演じたいなと。ずるいけど、可愛くて、魅力的で、そういう子に私はめちゃくちゃ弱いんですよ」
自身が感じてきた「絶妙なゾクッと感」を麻美で表現しようとする悠木さん。アニメで麻美の声を聞いて「自分にゾッとする」こともあったという。
「めっちゃ嫌なやつだなと思いましたし、この引き出し持ってる自分にゾッとしました(笑い)。実生活で絶対こうならないようにしようってすごく思いました。芝居って、本当に自分の分からない部分を見せてくれる。自分が経験してきたことで、そこにたどり着けたことをありがたいと思いました。見ている人に『嫌なやつ』と思ってもらえたら、それは麻美と真摯(しんし)に向き合った証拠ですし、世界で唯一私だけは彼女を愛して、与えられた役割をゆがめずにきちんとやるっていうことに誇りを持たなきゃと思います。ただ、彼女のやっている意地悪なことは絶対に肯定されてはいけないので、変に擁護せず、意地悪は意地悪として映るようにと思って演じています」
「第2期では、麻美は本領発揮して確実にヴィランとして登場します。『ジョーズ』のBGMがかかってもおかしくないぐらいです(笑い)。麻美の出番にワクワクしてもらえると思います」と悠木さんは見どころを語る。すごみを増した麻美がどう周囲を翻弄していくのか、見逃せない。
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