茅野愛衣:キュアフィナーレ初変身にドキドキ 「デリシャスパーティ プリキュア」に愛を込めて

「デリシャスパーティ プリキュア」に登場するキュアフィナーレ(C)ABC-A・東映アニメーション
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「デリシャスパーティ プリキュア」に登場するキュアフィナーレ(C)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」(ABC・テレビ朝日系)シリーズの第19弾「デリシャスパーティ プリキュア」の第18話「わたし、パフェになりたい!輝け!キュアフィナーレ!」が7月10日に放送され、新たなプリキュアのキュアフィナーレが登場した。キュアプレシャス、キュアスパイシー、キュアヤムヤムに続く追加戦士で、私立しんせん中学校の生徒会長・菓彩あまねが変身した。あまねは、ブンドル団に心を操られてしまっていた時、怪盗・ジェントルーとしてプリキュアと戦ってきたが、本当の心を取り戻した後に、プリキュアになった。キュアフィナーレ、あまね、ジェントルーを演じるのは人気声優の茅野愛衣さんだ。茅野さんに「プリキュア」への思い、初変身について聞いた。

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 ◇大変な役 細やかな感情の変化を表現

 「デリシャスパーティ プリキュア」のモチーフは「ごはん」で、テーマは「ありがとうの気持ち」「シェアする喜び」、キーワードは「ごはんは笑顔」。世界中のおいしい料理が集うステキな街・おいしーなタウンを舞台に、プリキュアがみんなの“おいしい笑顔”を守るために活躍する姿を描く。ABC・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。

 キュアフィナーレ、あまね、ジェントルーは同一人物ではあるが、それぞれの個性が強く、演じ分けが必要だった。茅野さんは「最初に『大変な役なんです』と伺っていました。予想外のことがいっぱいありました」と明かす。

 「ジェントルー、あまね、キュアフィナーレは一人のキャラクターではありますが、心を操作されてしまっている時を含めて、演じ分けないといけませんでした。操作が強まっていたり、弱まっていたりするなど細やかな感情の変化を表現するので、(シリーズディレクターの)深澤(敏則)さんと『さじ加減をどうしましょうか?』と相談しながら、演じていました。操作されていることを意識しつつ、違和感がありすぎてはいけないので、ガラッと声を変えるわけにもいきません。本当の心を取り戻した時、違和感があってもいけませんし」

 「大変な役」ということで絶妙なバランス感覚が必要だった。ジェントルーは敵役ならではの苦労もあったという。

 「言葉遣いなど気をつけないようにしないといけないことがたくさんあります。怖くなりすぎてもいけません。堀(総士郎)さんが演じられているウバウゾーさんも大変なんです。いかに怖くないように演じるかを工夫されていて、すごいんです。『う』『ば』『ぞう』しか言葉を使えないのに、攻撃して、やられて……と演じられながら、怖くなりすぎないようにもされていますし、フライパンなど元となる調理器具によってニュアンスも違って、おおー!となりながら、楽しみにしています」

 あまねは本当の心を取り戻し、変化していく。そして、プリキュアに変身する。

 「どんどん表情豊かになっていきます。変身シーンでは今まで見たことのないような表情を見せ、本当の自分を取り戻し、自分を開放するようにも感じました。すごくすてきな変身シーンです。戦闘シーンで、キュアフィナーレはクリーム絞り器のような形のアイテムで戦います。すごく可愛く絞るんです(笑い)。戦い方もすごく格好よくて、声を入れすぎない方がいいくらい動きが素早いんです。基礎体力がしっかりあるのかな?」

 初めての変身シーンの収録では「すごく緊張」したという。
 
 「ついに……とドキドキしました。最初は、あまねもドキドキしているでしょうしね。2、3回目は、ちょっとずつ慣れてきました。変身シーンは、フルーツの香りが画面から漂うかのような映像でして、キュアフィナーレ用の変身シーンの曲もあります。映像、曲からパワーをいただいています。総合芸術みたいです。みんなで作っているんです。何度も見たくなります」

 ◇日曜朝は子供にとってすてきな時間

 歴代プリキュア声優を取材する中で「プリキュアは特別」という声を聞くことも多い。茅野さんも「確かに特別な雰囲気があります」と感じているという。

 「1年間演じられる作品はそんなに多くないので、長い期間、みんなで一緒に作ることがうれしいです。ただ、何が違うのかは、自分の中で見つかっていないところもあります。長く続いているシリーズ、子供向けの番組ならではの魅力があるのかもしれません。おもちゃから自分の声がするのも不思議な気持ちになりますし。街でコメコメのぬいぐるみを抱えているお子さんを見て、ブンドルしていた人だとは言えないのですが、うれしい気持ちになります(笑い)。私も子供の時、日曜の朝に起きて、アニメを見ていました。時代が変わっても日曜の朝は、子供にとってすてきな時間なんだと思います。そういう作品に参加させていただけていることが、本当にうれしいです」

 茅野さんは「プリキュア」に出演する中で“愛”を感じることが多いという。

 「みんなの愛にあふれていて、気合も入っています。スタッフさんの説明にしてもすごく愛にあふれています。子供たちのために!という思いがあるんです。今回は、“ごはん”がモチーフで、コロナ禍でみんなで食事をすることが難しいからこそ、“ごはん”のすてきなところをしっかり伝えていきたい!という思いがあり、食事への感謝の気持ちをしっかり描いているところがいいんですよね。そういうメッセージがあり、みんなが子供のためにと同じ方向を向いているんです」

 ◇4人のチームワーク 怪盗ブンドル団時代の微妙な距離感

 和実(なごみ)ゆい/キュアプレシャスを演じるのは、新人声優の菱川花菜さん。芙羽(ふわ)ここね/キュアスパイシー役の清水理沙さん、華満(はなみち)らん/キュアヤムヤム役の井口裕香さんも出演する。

 「私は、菱川花菜ちゃんのことを“ばなな”と呼んでいます。彼女から『ばななと呼んで!』と言われたのですが、呼んでいるのは私だけでして……。清水さんは、“りいさ”と呼んでいます。それまでは“清水さん”と呼んでいたのですが、井口さんのことを“ゆかち”と呼んでいたから、“清水さん”はよそよそしいかな?と思いまして。あるエピソードの収録の時、『今日からリーサ!と呼ぶ』と宣言させていただきました。すごくいいチームです」

 「リーサ、ゆかちがばななを支えていて3人のバランスがいいんですよね。私はニコニコしています。ここからまたいいバランスが生まれたらうれしいですね」と笑顔で語る茅野さん。「私がブンドル団にいた時は、あまり距離を近くしないようにしていたんです」とも話す。

 「冷たくしていたわけじゃないのですが、芝居する際の気持ちとして、その方がやりやすかったんです。どうしても休憩時間におしゃべりしたくなるのですが、敵ですから、その立場が揺らいでしまうようにも感じ、プリキュアになるまでに近くなりすぎないようにしていました。ばななの高校卒業祝いの時も『おめでとう!』の一言で我慢したり。変身後の収録のタイミングで、ばななの誕生日があったので、そのタイミングでお祝いしました。ばななは気付いていないかもしれないけど(笑い)」

 歴代プリキュア声優にはそれぞれのチームにカラーがある。茅野さんたちがどんなチームになっていくのかも楽しみだ。

 「歴代チームは皆さんが『私たちが最強!』と感じているというのを聞いていますし、私たちもそういうふうになっていくのかな? これからキュアフィナーレと一緒に歩んでいき、子供たちに楽しんでいただけるように頑張りたいです。今後、イベントもあるので、子供たちの前に出ることがあったら……とドキドキしています。子供たちが楽しんでいる姿を見たら、感動して泣いてしまうかもしれません。想像しただけでも泣いちゃいそうです。ちょっと自信がないけど、キュアフィナーレに恥をかかせるわけにはいかないんで、ちゃんとしなきゃいけないですね」

 4人になったプリキュアの活躍、声優陣の愛を込めた演技が期待される。

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