声優アイドルユニット「i☆Ris(アイリス)」が11月7日にデビュー10周年を迎える。2012年に「アニソン・ヴォーカルオーディション」に合格した6人で結成。声優アイドルユニットや声優ユニットは数あれど、毎年のようにツアーを開催するなど活動を継続してきたi☆Risは特異な存在なのかもしれない。メンバー全員が声優として出演したテレビアニメ「プリパラ」で注目を集めたが、伸び悩んだ時期もあり、メンバーの卒業もあった。10年の道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。11月7日には初のベストアルバム「10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~」が発売され、デビュー10周年記念ライブ「i☆Ris 10th Anniversary Live ~a Live~」が東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区)で開催される。リーダーの山北早紀さん、メンバーの茜屋日海夏さんに、i☆Risのこれまでとこれから、「プリパラ」への思いなどを聞いた。
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茜屋さん その時々によって感じ方は違うんですが、今は意外に早かったと感じています。
山北さん 私は10年続いた!すごい!って思っているんですけど、結成当時はこんなに続くとは思っていませんでした。続いても3年~5年くらいかな?と。10年はやっぱりすごいじゃないですか。ずっちゃん(2021年3月に卒業した澁谷梓希さん)が卒業して、ここ(茜屋さんと山北さん)は4歳差なんです。4歳差は大きいですよ。私は27、8歳でもう年を取りたくなかった。アイドルとしては複雑なんですね。努力しているのかな? i☆Risはみんな努力家で、それが当たり前の環境だから、分からないところもあるんですけど。
山北さん うれしさのハードルがどんどん上がっているところはあるんですが、原点を考えると、デビュー曲「Color」のCDが店頭に並んでいることがすごくうれしかったです。元々、アイドルに憧れていましたし。あか抜けない感じでしたけど、CDが発売されることがうれしかったんです。
茜屋さん いろいろあって、印象的なことがいっぱいありますね。私は元々、アイドルに詳しくなかったので、どの会場がすごいとかあんまり分かっていませんでした。そんな私でも唯一分かるのが(日本)武道館だったんです。武道館のステージに立って、お客さんが来てくれて、その景色を見た時は、すごいところにいるんだ!と感じました。初めてどうしよう……とドキドキしました。
山北さん 武道館は楽しかった記憶が大きいけど、自分の中で葛藤していた時期だったんです。デビューしてから6年くらいずっと葛藤していたんです。理想のリーダーでいなきゃいけないけど、なれていない……と。ちょっと苦しい時期ではあったんですけど、それとは別にライブとしては最高でした。
山北さん 元々、声優アイドルユニットをやります!と集められたわけではないから、ずっと葛藤があったんです。アイドルが好きだからこそ、アイドルとはこうあるべき!みたいなものが自分の中にあるけど、イメージ通りになっていないと感じていました。自分を出していきたい気持ちもどこかにあるけど、あんまり出せていない状況に。モヤモヤしていました。
山北さん セトリや衣装などで自分たちの意見を取り入れてもらえるようになってからどんどん楽しくなっていました。
茜屋さん さきさま(山北さん)は、本当にこんなバラバラなみんなを引っ張っていってくれているな……と思っています。葛藤があったのもなんとなく分かっていました。私だったら自分のことでいっぱいいっぱいになって、周りのことを見てられなくなるけど、周りのことをちゃんと見ていて、すごい!と思っています。
山北さん うれしい! 今回の取材は2人だからこんな話が聞けたんでしょうね。全員いたら、言ってくれなかったかも?(笑い)。
茜屋さん そうかも(笑い)。
茜屋さん コロナで緊急事態宣言が出た時期ですね。私だけじゃなくて、みんなそうだったと思います。ライブを積極的にできないし、どうしたらいいんだろう?と焦りがありました。これからどうやって活動するんだろう?とすごく考えていました。ライブが醍醐味(だいごみ)ですし。
山北さん 細かいピンチはいっぱいありました。でもやっぱり、コロナからの澁谷卒業が一番大きいピンチでした。ひみちゃん(茜屋さん)は普段から真面目に考えて生きているけど、私はどちらかというと、なるようになるか!と気楽な性格なんです。でも、ずっちゃんが辞めると言い出して、それまでもいろいろあったけど、形を変えることなくやってきたから、ここにきて変化があることはさすがに怖かったです。リーダーとして何としても引き留めなければ!と初めてリーダーっぽいことをしたかもしれません。結果、引き留められずでしたが……。
茜屋さん 色が変わったかもしれません。澁谷はボーイッシュなところが魅力で、それがi☆Risの一つの色になっていました。それぞれが年を重ねてきた中で5人になったので、変化したように見えるのかもしれませせん。澁谷の卒業ライブの直後はツアーで、5人での振り入れとかが怒涛だったんです。卒業ライブの振りを覚えて、5人体制バージョンも覚えなきゃいけない……と。大変な時期を乗り越えたことで、強くなったところもあります。
山北さん 元の性格は変わっていないけど、自分をちゃんと出せるようになりました。なんかありのままでいられるんです。最初の頃は、可愛くいなきゃ!と思っていたけど、今は裏も表もない(笑い)。失敗することをそんなに怖がらなくなったのかもしれません。今思えば、若い子が失敗しても許されるじゃないですか。でも、グループの最年長だから、失敗がすごく怖かったんです。でも、失敗せずに成功はできないですし、最近は失敗しても死なないならいいや!と思っていますね。
茜屋さん 芯の部分はあんまり変わってないつもりなんですけど、年々よくも悪くも慎重になってきています。ライブにしても、昔から準備をしっかりしますが、より慎重に準備するようになっています。求められるレベルがどんどん上がっているようにも感じていて、慎重になっているのかもしれません。
山北さん 10年だからね。みんな変わっていますね。
茜屋さん とがっていたものが丸くなった(笑い)。
山北さん みんな、とがっているから(笑い)。ライブの時は団結するけど、それ以外は自由です。年が近い子たちだったから、お互いライバル意識みたいなものもきっとあったと思うんですよ。ただ、お互いにリスペクトし合えるところが増えています。みんなバラバラだからこそ、自分にないものを持ってるのがいいと思えるようになったんじゃないかな。
茜屋さん 干渉しすぎない、ほどよい距離感を持っていることでしょうか。それに、みんながちゃんと上を目指していたからだと思います。ここじゃ終われない!という気持ちがずっとあったんですね。
山北さん それが全てですね! 。みゆたん(久保田未夢さん)に「山さんがやる限りやるよ」と言われるんです。私は流れるようにやっていれば何とかなる!と生きているから、年を重ねてもできているのかも。
山北さん デビュー1周年シングル「幻想曲WONDERLAND」です。今、聴いてもいい曲です。バレエっぽい動きのダンスもあって、自分がかつてやっていたことが生かされることがうれしかったんです。武道館公演の1曲目でしたしね。歌詞もすごくいいんですよ。王道のアニソンじゃなくて、その時の自分たちのことを歌詞にしていただき、当時のとがった感じもある(笑い)。今では当たり前になったハモリの振り分けもここで初めてちゃんとやるようになりましたし。原点ですね。
茜屋さん 最近、「Memorial」を聴いてウルッとしています。「プリパラ」は私たちを知っていただく一つの大きなきっかけですし、こんなにぜいたくな環境はない!というくらい、いろいろなものをいただきました。「プリパラ」のラストの集大成のような曲でしたし、何か成し遂げたようにも感じていて、誇らしいんです。
茜屋さん 大きいですね。声優とアイドルをどっちもやりますと言っていた中で、チャンスをいただき、これをうまくできなかったら、終わりだ……とプレッシャーもあったのですが、多くの方に知っていただくことができたし、一歩抜け出せた!と思っています。
山北さん 「プリパラ」がなかったら武道館公演もなかったでしょうし。終わってから時間がたてばたつほど大きさを実感しています。当時は、自分がいかに恵まれた環境にいるかが分からないところもあって、自分の悩みの方が気になっちゃっていました。自分と葛藤しまくってましたから。でも、「プリパラ」があったからいろいろな方に知っていただけたし、本当に出会えたことがうれしいです。
山北さん 新規の方も昔からのファンの方も投票していただけたことが分かって、うれしいですね。私も「ありえんほどフィーバー」が大好きなので、皆さんと一致しました。
茜屋さん 私も好きですね。ライブの定番曲も入っているんですけど、あんまりやらないような曲も入っていて、いろいろな方に投票していただけたことがうれしいです。「イノセントイノベーション」が入っているのもうれしい。ライブではあんまりやらないけど、私もすごい好きな曲ですし。
山北さん ありがとうの気持ちをストレートに伝えていて、とてもすてきな楽曲になっています。まだライブで歌っていないので、あくまで私のイメージですが、年月を重ねるにつれて、よりいい歌と感じるようになると思います。
茜屋さん 真っすぐにありがとうの気持ちを伝えた曲です。ミュージックビデオを見て、すてきな曲だな……と感じています。
山北さん 今、リハーサルをやっているんですけど、意外と思い出すことが多いんです。あんまりやっていない曲も含めてまんべんなくやっていきます。新規の方だけでなく、一度でもi☆Risを応援してくださったことがある方にも戻ってきてほしいです。どの時代の“オタク”の皆さんにも楽しめると思います。
茜屋さん 新規の方もこんな曲あったんだ!と楽しんでいただけるはずです。昔、応援していたけど離れちゃった人もぜひこの機会に戻っていただけるとうれしいです。絶対楽しいライブになる自信があります。
山北さん ある意味でスタンダードなのかもしれないですね。いろいろテーマがあったけど、10周年はこれぞi☆Ris!というライブになります。
茜屋さん また海外に行きたいですね。
山北さん 行きたい! コロナ前は結構行っていましたよね。あと悩んだり、迷ったりしたこともあったけど、とにかくi☆Risを頑張ろう!と思っています。それをみんな受け入れてくれる。すごく優しい環境じゃないですか。みんながいるから続けていきます!
茜屋さん アイドル戦国時代を生き抜いてきましたしね(笑い)。
※クレジット(敬称略)
ヘアメーク:原田琴実▽衣装協力:ottod’Ame、NEUNA、Wild Lily▽スタイリング:津野真吾(impiger)
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