ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
新潟市内で開催中の長編商業アニメの映画祭「第1回新潟国際アニメーション映画祭」。長編アニメのコンペティション部門を設けたアジア最大の祭典を目指し、新潟から世界にアニメという文化を発信していくのが狙い。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」などで知られる押井守監督が審査委員長を務めることも話題になっている。初開催ということもあり、成功もあれば、課題もある。フェスティバル・ディレクターを務める井上伸一郎さんに同映画祭について聞いた。
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新潟は、著名なマンガ家、アニメクリエーターを輩出してきた。「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」「にいがたマンガ大賞」を実施してきたほか、新潟市マンガ・アニメ情報館、新潟市マンガの家を運営し、「マンガとアニメを活用した街づくり構想」を進めてきたこともあり、新潟で映画祭が開催されることになった。3月17~22日に開催。
同映画祭の特徴は長編商業アニメを対象としているところだ。アニメは、日本を代表する文化になっているが、「商業」と「アート」、「国内」と「海外」などに分断されているとも言われている。分断をつなぎ、文化と産業をつなごうとしていくことが目的の一つでもある。日本、フランス、米国、アルジェリアなど世界15の国と地域から21作のエントリーがあり、選考委員の審査によって10作の参加が決まった。
「ほかの映画祭は、どうしてもアート作品、短編が多くなる傾向です。長編、40分以上をコンペティションの基準にしました。日本では長編に焦点を当てたアニメの映画祭は珍しいです。そういう意味では特色を出せました。この映画祭が世界からもっと注目されると、新潟に向けて出品したいという方がさらに多くなるはずです。日本の作品にももっと出していただきたい。初回から多くのアニメ関係者に集まっていただけたので、来年以降、さらに増やしていきたいですね」
映画祭はコンペティションだけが目的ではない。クリエーターやファンが交流する機会を生み出そうとした。クリエーター同士が意見を交換することで、刺激を受けることもあるはずだ。
「初めての映画祭としては、想定以上にアニメ関係者が新潟に来てくれています。上映作品に関わっている監督やスタッフ以外にもアニメ関係者にかなり集まっていただいています。海外の関係者も多数来日しています。映画祭をアニメ業界の交流の場にしたいと考えていました。目標の一つとしていたアニメ業界の交流を実現できたという確かな実感があります」
レトロスペクティブ部門として「AKIRA」などで知られるマンガ家で映画監督の大友克洋さんの作品を一挙上映した。マンガ「童夢」の“幻の実写映画”のパイロット版が上映されたことも話題になった。
「ほかの映画祭ではレトロスペクティブ的なことはありますが、新作のある監督が取り上げられることが多い。新潟では、レトロスペクティブをきちんとやろうとしました。大友さんの作品がここまで集まるのは珍しいです。大友さんの新作はないのですが、全集の刊行をスタートしたことですし、アニメも見てみたいというニーズもあるはずです」
19日には、劇場版アニメ「花の詩女 ゴティックメード」が上映され、永野護監督、声優の川村万梨阿さんがトークイベントに登壇した。同作は2012年に公開され、パッケージ化、配信されていない伝説のアニメ。上映会などが実施されているが、見る機会が少ない。永野監督のトークイベントが珍しいこともあり、満席となった。
井上さんは、永野監督のマンガ「ファイブスター物語」の初代担当編集であり、「花の詩女 ゴティックメード」の制作にも携わった。
「『花の詩女 ゴティックメード』の制作時は大変でした。最初は1年で作るという話でしたが、8年くらい掛かりました。当時、ニュータイプ編集部の隣に専用ルームを作って、ほぼ毎日のようにコツコツ作っていました。最初はアニメーターも少数精鋭で、家内制手工業のようでした。音響に関してもかなりこだわりました。元々、永野監督のマンガは、音を感じさせるような表現をしてたので、聴いたことのない音を作ろうとしていました」
井上さんがフェスティバル・ディレクターだったからこそ、上映、トークイベントを実現した。
「フェスティバル・ディレクターとして仕事をしました(笑い)。あまりトークショーをやらない方ですし、ありがたいことです。来年以降もこういう企画を考えていかないといけません」
「花の詩女 ゴティックメード」のように満席となる作品がある一方、空席が目立つ作品もあった。映画祭は作品との出会いの場でもあるというアピールをしていかなければいけない。
「海外のなじみのない作品はチケットの初動があまりよくなかったので、チケットの発売時に話題を作っていくことが今後の課題になります。映画祭は、世界でさまざまな作品を作っているクリエーターがいることを知るいい機会になります。私自身も海外の作品を見て刺激を受けました。例えば、ブラジルの『父を探して』は、文明批評もあり、メッセージ性の強い作品でした。そういう出会いのある場となることももっとアピールしていきたい」
地方創生も同映画祭の目的だ。
「映画祭は、街全体が盛り上がるのも一つの魅力です。関係者が食事をしたり、お酒を飲んだりして、盛り上がっているのを実際に見ていますし、お祭りとしてもっと広げていきたい」
「毎年開催する」と発表されている。継続していくために必要なこともある。
「ありがたいことに、新潟市としても続けていきたいということなので、それに見合う企画を続けていかないといけない。コンペティションに対する理解を深め、積極的に日本の作品にも参加していただきたい。出品することが、多くの方に知っていただく機会になります。もちろん、世界のクリエーターにも参加していただけるようなアクションができればと考えております。新潟ならではの特色も出して、その特色だけではなく、毎年変化もしていかなければいけません」
来年以降に向けてさらなる発展が期待される。
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