俳優の中村アンさんが主演を務める舞台「笑ってもいい家」が六本木・俳優座劇場(東京都港区)で7月1日から上演される。本作は、俳優としても活躍する粟島瑞丸さんが主催する演劇集団Z-Lion(ジーライオン)の新作公演。今作で舞台初出演にして初主演となる中村さんに、オファーを聞いての感想や出演の決め手、座長としての意気込みなどを聞いた。
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オファーを聞いたときの心境を、中村さんは「舞台に興味はあったのでうれしかったですが、不安も大きかった。粟島さんにお会いしてお話しする中で私の舞台に対する思いや意見を聞いてくださり、信頼できたのも大きく、一歩踏み出す形となりました」と振り返る。
決断の決め手を「新しいことがしたかったし、今年はもっと自由に開放して演技を楽しめるようになりたい思いが強く、舞台を踏めたらより成長できるのではと考えた」と明かす。
「何でも挑戦するときは不安が大きいもの。飛び込まないとこの仕事しているのにもったいない。出演を決めるまではすごくドキドキしていました」
出演するか悩んでいるとき、Z-Lionの公演に出演経験があり、親交の深い川口春奈さんからの言葉にも後押しされたという。
「たまたまLINEでやり取りしていて、彼女も経験としてやってよかったと言っていたので、その言葉にも背中を押されました。ポジティブな意見で応援してくれたので、とても安心しました」
舞台の座長という大役も務めるが「お話をいただいたときはストーリーを読み、台詞の多さや人前で演じることに対する不安があり、私には自信がなく無理だと思った」と苦笑い。「やりたいものに関しては、役柄やストーリーを重視しているのですが、今回は主演ということで、私でいいのだろうかという気持ちの方が強いです」と神妙な表情で語る。
座長としての意気込みを聞くと「皆さんと仲良く真剣に。私の思いがどのくらいかというのはきっと皆さんにも伝わると思うので、誠意をもって最後までやり遂げたいです」と話す。
近年、多くの作品に出演している中村さんだが、「最近、ある程度オンオフの切り替えは大事だなと思うようになってきた」という。
「以前は、メークや髪型で日々スイッチを入れてましたが、芝居中心になってからはあまりなくなっていた。ただオフのときは体調管理に気をつけつつしっかり休み、次の作品が近づいてきたらプランを立て、緊張感を持ち集中して切り替えています」
多忙な日々を送る中でのリラックス法を聞くと、「コロナ前までは、家は寝られたらいいタイプでした。おうちで過ごす時間が増えてからは、家具やじゅうたんなど居心地を良くするものにこだわるようになって家が好きに。ダイニングテーブルで何か書いたり読んだり見たりしているのが落ち着きます」と答える。
今回の出演で感じた舞台の世界の印象を、「なんとなく描いていた感じに近いです。考えすぎると頭でっかちになってしまうので、始まったら波に乗るしかない」とにっこり。「悩んだり考えたりしていた時間より、始動して皆さんにお会いしたら圧倒的に楽しいし、みんなで取り組む作業は楽しい」とほほ笑みつつ、「ただ、ここから」と力を込める。
「これまでのいろんな仕事での経験値もありますが、大変なことはいっぱいあって、不安は大きい。それでも舞台に懸ける思いや、目指すゴールはみんな一緒なので、ひたすら頑張るのみです。今は楽しみが上回ってきています」
演劇集団Z-Lion 第13回公演「笑ってもいい家」は、俳優座劇場で7月1~9日に上演される。(取材・文・撮影:遠藤政樹)