今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじめて」です。今回は俳優の若月佑美さんに初舞台について語ってもらいます。
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グループ在籍時に出演した舞台「16人のプリンシパル」は、初めて芝居に出合った場所なので印象に残っています。2部構成で、一幕がオーディションで、お客さんの投票で二幕の出演者が決まるのですが、選ばれない日があると「どうせ自分は選ばれない」「自分に何もないから二部に選ばれない」とか、自分のことを否定する気持ちになってしまって。もちろん誰が選ばれるかわからないので二部のせりふや動きは全員入れている。それを披露できない日もあるなど厳しい舞台でした。
でも、あるとき急に視点が変わった日がありました。
自分が選ばれなかった日に「選ばれなかった人」を演じようと思ったんです。選ばれないことも含めてこれは舞台だと考えて、その日の私は「選ばれない人」の役としてキャスティングされた気持ちで臨んでみました。すると選ばれなくても、「選ばれなかった人はどういう表情をするのか」「お客さんにそれを見せるのがいいのか。見せないで去る方がリアルか」と考えていたら、結果を受け入れられたし、自分を否定することがなくなって気が楽になりました。芝居に救ってもらった感覚もあるし、芝居としていろんなことを考えられるのは面白いと感じたきっかけでした。
初舞台は芝居を好きになった原点。そのときは「面白い」「楽しい」「知ってみたい」で突っ走っていましたが、経験を重ねていく中で、頭の中で思い描く表現と音が違ったり表情ができなかったり、悔しさを感じることも多いです。でも、この難しさを乗り越えたらまた面白さが出てくるのだろうなと、今はもがいている最中ですね。
わかつき・ゆみ 1994年6月27日生まれ、静岡県出身。2011年から乃木坂46で1期生として活動し、2018年11月にグループを卒業。その後は女優・モデルとして活動の場を移し、ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS)、「共演NG」(テレビ東京)などに出演。映画でも「ヲタクに恋は難しい」、「今日から俺は!!劇場版」など出演作多数。舞台「薔薇王の葬列」ではリチャード役で主演を務めた。放送中の「セレブ男子は手に負えません」(ABCテレビ・テレビ朝日系)では、地上波連ドラ初主演を務めている。