私のはじめて：松坂桃李　初めて本格的に出演した映画で初の海外ロケ　ドキュメンタリーのような撮影手法に「映画ってなんて面白いんだ」

　今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじめて」です。今回は映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」（ドゥーガル・ウィルソン監督）の日本語吹替版でパディントンの声を担当した俳優の松坂桃李さんが、初めて出演した映画「僕たちは世界を変えることができない。 But, We wanna build a school in Cambodia.」（深作健太監督、2011年）について語りました。

あなたにオススメ

朝ドラ：来年度後期は「ブラッサム」　主演は石橋静河　モデルは…

　◇

　僕が初めて本格的に映画に出させていただいたのが、「僕たちは世界を変えることができない。 But，We wanna build a school in Cambodia.」（2011年）。向井理さんが主演で、柄本祐さん、窪田正孝さんと僕の男4人の大学生が、ボランティアでカンボジアに学校を建てるという作品でした。

　その映画に参加させていただいた時が、人生初の海外でもあったんです。カンボジアでのロケで、自分にとってすごく映画って楽しいんだって思えるような作品でした。

　僕のデビュー作は「侍戦隊シンケンジャー」（2009～10年）という戦隊ヒーロー作品なんですけど、ちゃんとカメラを据えて撮っていくという形を1年以上ずっとやってきたんです。そんな自分にとって、「僕たちは～」の現場は、一眼レフのカメラでドキュメンタリーのように撮っていくという撮影スタイルをとっていたんです。それがいままで経験したことがないものだったので、すごく斬新で、映画ってなんて面白いんだ、と。

　深作監督の演出も、実際にカンボジアで案内人をやっているブティさんという方にナビゲートされていくのを、カメラで撮っていくという手法で。「別にせりふはないけど、思ったことがあったら口にして言っちゃっていいから」という撮り方が本当に新鮮で。映画ってこういうことしていいんだ、みたいに、当時素人ながらに楽しいとすごく強く思ったんです。

　それが、（映画は）面白いと思える最初の一歩でした。ある種、映画に興味を持ち始めた転機になったかもしれません。

　今回、映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」（ドゥーガル・ウィルソン監督）の日本語吹替版でパディントンの声を担当しました。映画は、2016年に1作目が、2018年に2作目が公開されて、今作が3作目。“英国紳士”のくまのパディントンが、「老グマホーム」で暮らすルーシーおばさんを訪ねてペルーへ、ブラウン一家と家族旅行に出かけて大冒険を繰り広げます。

　パディントンの魅力は、シリーズで一貫して変わらない“しんし”さ。なんといってもエリザベス女王とお友達ですから（笑）。英国紳士という意味での“紳士”と人と向き合う真摯（しんし）さ、この両方をパディントンは持ち合わせていて、かつ、純粋な心と言いますか、見た人の心を浄化してくれるような、人との向き合い方が魅力なのかなと思いますね。

　＜プロフィル＞

　まつざか・とおり　1988年10月17日生まれ、神奈川県茅ヶ崎市出身。2009年に俳優デビュー。その後、映画やドラマ、舞台に多数出演。2025年は、1月期のTBS系「日曜劇場」のドラマ「御上先生」で主演を務め、映画「雪の花 -ともに在りて-」でも主演。「父と僕の終わらない歌」（5月23日公開予定）、「フロントライン」（6月13日公開予定）にも出演、劇場版アニメ「ひゃくえむ」（9月19日公開予定）に声の出演を果たすなど出演作が目白押し。2027年のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」で主人公の小栗上野介忠順を演じることが発表されている。