人気俳優がショートフィルムの監督に挑戦するWOWOWの企画「アクターズ・ショート・フィルム4」で監督を務めた俳優の千葉雄大さん、福士蒼汰さん、森崎ウィンさん、仲里依紗さんが3月3日、ユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)での劇場公開を記念した監督登壇イベントに登場した。
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「アクターズ・ショート・フィルム」は2021年から毎年制作されてきた。第4弾となる「アクターズ・ショート・フィルム4」では、千葉さんが監督・脚本を務める「ハルモニア」(一ノ瀬颯さん主演)、福士さんが監督・脚本を務める「イツキトミワ」(清水尋也さん、芋生悠さんダブル主演)、森崎さんが監督を務める「せん」(中尾ミエさん、鈴木伸之さんダブル主演)、仲さんが監督を務める「撮影/鏑木真一」(秋山竜次さん主演)が制作された。
ユナイテッド・シネマ豊洲では3月7日まで4監督の作品を一挙上映。入場者プレゼント「映画フィルム風しおり」も配布している。
WOWOWオンデマンドでは全4作品を配信中。WOWOWプライムでは3月8日から29日まで毎週金曜日午後11時半に1作品ずつ放送される。
千葉さん、福士さん、森崎さん、仲さんの発言などは以下の通り。
千葉さんは、今作が「アクターズ・ショート・フィルム」で2度目の監督作品。オファーについて「ビックリしました!」と驚きつつも「前回も楽しかったので、またやりたいと思って飛び込みました」と意欲的に取り組んだという。
その上で、「今回は良くも悪くも『こうしたいああしたい』という欲みたいなものが具体的にありました。撮影現場でも前回と同じスタッフさんが多かったので、1回目よりもチーム感があって話もしやすかった」と強調。前作は主演も兼ねていただけに「前回は演技をしながら自分でカットをかけたり、(共演者の伊藤)沙莉にかけてもらったりして難しかったけれど、今回は全部自分でスタートとカットをかけました」と胸を張った。
同席した宮田幸太郎プロデューサーも「前回は主演もされていたので、演出しながら芝居をして……と忙しそうでした。でも今回は演出に集中されていたので頼もしく、安心して見ていられました。俳優の演技を一番に考えた現場作りをされていました」と語った。
観客との質疑応答では、千葉監督の“ギャルマインド”を知るファンから「嫌な気持ちを吹き飛ばすときに使うギャル語を教えてほしい!」と質問。千葉さんは「『それ違くないですか?』と言いたいときに、僕は『え~?意味わかんなすぎ~』と言います。ぜひこの厳しい社会で使ってみてくださいね!」とアドバイスして会場を盛り上げた。客席から監督としての次回作を要望する声が挙がると、宮田プロデューサーも「それは僕も思います。是非とも長編を撮ってほしい!」と期待。千葉さんも「お仕事、お待ちしております!」と応じた。
最後に千葉さんは、本作のテーマに絡めながら「皆さんの身の回りには絶対に小さな幸せの一つは転がっているはずなので、それを見逃さずにすこやかにお過ごしください」と呼びかけた。
福士さんはオファーを受けた心境について、「俳優として監督を目の前にして仕事をする中で、監督は難しくて出来ないだろうと感じていました。けれどオファーをいただいていろいろと考える中で『昔やってみたかったよな』という思いがあり、そんな気持ちと時期的にタイミングも合って受けることにしました。自分の思いを作品として残してみるのも自分の人生において良いのではないかと思いました」と話した。
今作では監督のみならず脚本も手掛けており「当初は監督としてのオファーだったので、脚本はやるつもりはなかったけれど……」と苦笑いを浮かべながら「プロットを書いてプロデューサーに見せたら『書けそうですね、書いてみましょうよ』と言われて」と経緯を説明。執筆については「予算内であればなんでもいいと言われたけれど、逆になんでもいいって難しい。制限があった方が書きやすい」と苦労しながら書いたことを明かした。
主演の清水尋也さんについて聞かれると「清水君は最強! 撮っていても魅力的だしめちゃくちゃいいヤツ。撮影初日も『緊張して寝られなかったですよ!』と教えてくれたりして……。めちゃくちゃ可愛いなと。無表情でいたら何かを起こしそうな顔をしているけれど、素顔はメッチャ可愛くて好青年」と熱弁。
また、芋生悠さんについては「いかに可愛く撮るかを意識しました。というのもリサーチしたところ、立ちんぼのようなことをしている女性たちは可愛い服装をしているからです。それもあって芋生さんには、男性と一緒にいるシチュエーションでの可愛いと思う洋服を選んでほしいと伝えました」と打ち明けた。
観客からお気に入りのシーンを尋ねられると、酔っぱらった一葵(清水さん)と三羽(芋生さん)が夜道を歩く場面をピックアップ。「自分の中で一番キラキラキュンキュンさせたくて、ここで最大の明るさと青春を描きたかった。その結果、トレンディーになり過ぎて『恥ずっ!』と思ったけれど、それが逆に良いなと。寝ないで書いたセリフをそのまま使ったり、入れ替えてみたり、セリフにもこだわりました。あのシーンには自分のエッセンスが結構詰まっています」と自信をのぞかせていた。
今作は田舎に住む老婆(中尾さん)の日常をミュージカル調で描いた作品。ミュージカル映画を監督することを自身の目標に掲げてきたという森崎さんは、「まさかこんなに早く願いがかなう日が来るとは思わず、今回のオファーは純粋にうれしくて、撮影も本当に楽しかった。俳優業とはまた違うワクワク感があって、ゼロからものを作り上げることに携わったことで新たなモノづくりの魅力と深みを実感しました。自分がエンターテインメントという素敵な世界に携われている幸せを改めてかみしめることが出来ました」と興奮気味に語った。
脚本・作詞を託したのは、森崎さんがその才能にほれている上田一豪さん。森崎さんは「自分が監督でミュージカル映画を撮るならば、上田さんに脚本を書いてほしいとお願いしました。打ち合わせで、僕が今の世の中で起きている事をどう映画に落とし込もうかと話していく中で今回の物語のベースが出来上がりました」と熱のこもった共同作業を振り返った。
観客との質疑応答では、森崎さんが苦手な食材であるかぼちゃが劇中に登場することが指摘された。森崎さんは「僕はただただかぼちゃが嫌い。でもかぼちゃも僕のことを嫌いかもしれない」と明かしながら、「歌詞の中にかぼちゃの煮物が出てくることを知った時は『え……。かぼちゃじゃなければダメですか』という話を上田さんにしました。でもおばあちゃんがかぼちゃを庭で育てて収穫して、自給自足をする中でかぼちゃというものが色鮮やかに、しかも一度で何食分も作れてしまう食材という表現に意味があると教えてもらいました」と説明。そして「ちなみに僕がかぼちゃを食べるシーンはないので、ならばそれで良しとすることにしました」と笑わせた。
自他ともに認めるおばあちゃん子である森崎さんは、主演の起用について「今回の物語でおばあちゃんを中心に描きたいと思った段階で、中尾ミエさんのお名前は頭にありました。中尾さんは歌唱シーンが一番ある中でオファーを快諾して下さり、僕が一度共演させてもらった時に築いた関係性は未だに残っていたんだと感謝しています」としみじみ語った。
森崎さんは今作に俳優としても出演したが、「監督と俳優の切り替えは難しくて、演技に集中し過ぎてカットを言い忘れて『あ、俺が言うのか』となった」と思い出し笑いしていた。
「今日はパリコレの気分で来ました。ここはもはやパリです」とシルバーのヘッドピースと巨大イヤリング、フワフワピンクドレス姿で登場した仲さんは「立ち位置に“監督”って書いてある!うれしい!」と監督デビューに今も興奮冷めやらぬ様子。監督としてのオファーを引き受けた心境について「新しいことへのチャレンジというか『面白そう!やってみよう!』というホップステップジャンプ。それでここにいる感じです」と説明した。
その上で、「私は暗い内容やホラーとか恐ろしいモノしか見ないタイプでハラハラしたものが好み。監督をやらせていただく中でハラハラしたものを作ろうと思った」と解説。お笑いトリオ「ロバート」の秋山竜次さんがセリフゼロでシリアスな芝居を見せるが、トラウマを抱えた鏑木(秋山さん)が洗面所で薬を飲むシーンに触れて「朝起きて鏡の自分を見ながら薬を飲むという展開は海外のホラーによくあるシーン。意味はあまりないけれど、それを私もやりたかった」とホラー愛をにじませていた。
仲さんは演出について「秋山さんの邪念をゼロにするというコントの時の顔が欲しかった。それをお伝えすれば分かりやすいかなと思って、邪念には10段階があるので『邪念5でお願いします。次は邪念7で』という形でお願いしました」と回想。「私は秋山さんのファンなので、いつもとは違った秋山さんを見てみたいという思いがありました」とキャスティングの狙いも説明した。
ただ一方で、秋山さんのセリフをゼロにしたことで、セリフを言う重要性にも気づいたという。「編集作業の時に、セリフがないのは大変なんだと思った。的確な説明セリフがあるのは、編集を楽にするためなんだと発覚しました」と実感。それでも今回の作業で一番楽しかったのは編集作業だったそうで「なぜならば YouTubeを自分で編集しているから」と普段の活動が監督業にも役立ったという。
今回の監督業を通して「自分の頭の中にあるものを口に出して人に教えるのは大変だと思った。それに監督は意思が強くないとできない。監督は勇気をもって俳優に指示してくれていることが分かった。今後は女優としてこれまで以上に監督の思ったことをできるような人間になって『わかりました!』と返事もより一層大きく言いたい。監督が意見を言いやすい環境作りをしなければ」と語った。
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