杉田智和:「鬼滅の刃」 岩柱・悲鳴嶼行冥は「不変であり不動」 鬼殺隊が踏みしめる“大地”に

「鬼滅の刃」に登場する岩柱・悲鳴嶼行冥を演じる杉田智和さん
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「鬼滅の刃」に登場する岩柱・悲鳴嶼行冥を演じる杉田智和さん

 吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作テレビアニメ「柱稽古編」。同作で、鬼殺隊の最強の剣士・柱の一人、岩柱の悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい)を演じるのが、人気声優の杉田智和さんだ。第1話の柱による柱合会議でも、悲鳴嶼は話し合いを取りまとめ、リーダーシップを見せた。杉田さんは悲鳴嶼を演じる上で「不変であること、不動であること」を大切にしていると語る。作品に懸ける思いを聞いた。

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 ◇悲鳴嶼のように作品に臨む 柱稽古は「ありがたい」

 「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの累計発行部数は1億5000万部以上。

 テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」の興行収入が国内歴代1位の記録となった。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月に放送された。新作テレビアニメ「柱稽古編」が、フジテレビ系で毎週日曜午後11時15分に放送中。

 「柱稽古編」では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)との戦いに備えた鬼殺隊士たちの柱稽古が描かれる。杉田さんは「柱稽古編」に臨む上で、悲鳴嶼と「同じような立ち位置」を意識したと語る。

 「作品を受け取る視聴者の方々の思いまで受け止めて、それを守れるようにさりげなくいること。そのように動いていることが大事なので、言葉にするまでもなく、既に行動で示していると思っております」

 作中では、悲鳴嶼が柱稽古を提案していたが、杉田さんも「柱稽古がメインのキャラクターだけでなく、鬼殺隊の隊士全体に向けて行われる。それはうれしかったです」と感じたという。

 「『鬼滅の刃』は、鬼という不条理な存在が人を襲うので、それに立ち向かう強さは、普通の鍛え方では得られない。そこで組織全体を通して鍛えることで形にする。柱たちも隊士を鍛えながら言葉を掛けて、同時に自分自身を顧みることで一緒に成長している、ということが感じ取れたので、ありがたいなと。収録も柱の出番は掛け合いで録(と)れたので、うれしかったです」

 ◇“不動”の悲鳴嶼を表現

 悲鳴嶼は、人を憐(あわ)れむ気持ちが強く、念仏を唱え涙するキャラクターだ。第1話の柱合会議で、水柱の冨岡義勇が「俺には関係ない」と退席を申し出て、柱がもめそうになった際は、パンと手をたたいて一喝し、場を収めた姿も印象的だった。杉田さんは悲鳴嶼を演じる上で“信頼感”を大切にしていると語る。

 「不安に思っていること、焦っているということを人に悟られないようにすることを心掛けて収録に臨んでいます。柱が集まった時に誰がまとめる?となった時には、自然と悲鳴嶼さんになる。全体を見渡して、会議に参加しない者を真っ向から否定するのではなくて、君の考えも分かると。その上でみんなをまとめることが自然にできるから、悲鳴嶼さんがあの場にいたのかなと。演じる人間としてもそれくらいの信頼がないといけないなと思っています」

 悲鳴嶼は、「竈門炭治郎 立志編」の柱合会議前の裁判のシーンにも登場した。当時から演技に変化はあったのだろうか。

 「悲鳴嶼さんは不変であり、構え続けていて、何があっても不動の心で受け止められるキャラクター。それらを考えるのであれば、“変化しないこと”が大事かと思って収録に臨みました。でも、状況や、戦う相手側、周りの仲間たちは変化しているとは思うので、それをいかに受け入れるか。地に足をつけないとなかなか歩むことはできないので、みんなが踏みしめる大地が悲鳴嶼さんである、という立ち位置に居続けたいと思っております」

 柱の中でも中心とも言える悲鳴嶼。杉田さんは「悲鳴嶼さんって、もし鬼殺隊のみんなで打ち上げをするとなったら、店の予約をするだろうなと。でも、本人は打ち上げに参加しない」と悲鳴嶼の魅力を独特に表現する。

 第6話では、炭治郎ら隊士たちが悲鳴嶼の厳しい稽古を受ける様子が描かれた。嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)は、悲鳴嶼について「鬼殺隊最強だ」とその強さを感じ取り、炭治郎は隊士に稽古をつけるかたわら、自身も大岩を押す訓練をしている悲鳴嶼を見て「すごいなぁ」「俺もあんなふうになれるかなぁ!!」と感激していた。

 杉田さんは、柱が柱である理由は「単純な戦闘力の高さだけではない」と感じているといい、「行動で示す、言動で示す。悲鳴嶼さんが慕われている理由はまさにそこかなと思います」と語る。キャラクターに真摯(しんし)に向き合う杉田さんが表現する悲鳴嶼の声は重みがあり、説得力がある。今後も、その演技に注目したい。

 ※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記となる。

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