山口勝平:「らんま1/2」最終回は「やっぱり僕が演じたい」 早乙女乱馬役への思いを聞く JR上野駅でコラボも開始

“完全新作的アニメ”が放送中の「らんま1/2」とJR上野駅がコラボしたグラフィック装飾の前でポーズをとる早乙女乱馬役の山口勝平さん
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“完全新作的アニメ”が放送中の「らんま1/2」とJR上野駅がコラボしたグラフィック装飾の前でポーズをとる早乙女乱馬役の山口勝平さん

 高橋留美子さんの大ヒットマンガ「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”の放送がスタートし、このほど、JR上野駅(東京都台東区)でコラボが始まった。巨大プロジェクターで映像が放映されるなど、利用者の目を楽しませている。

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 同作は1989~92年にテレビアニメが放送され、テレビアニメ化されるのは約32年ぶり。水をかぶると女性になってしまう格闘家の主人公・早乙女乱馬を演じるのは、前回に続き、山口勝平さんだ。「いわゆる少年・青年の主人公役は、この乱馬でたぶん最後かな」と強い思いでアフレコに臨んだ山口さんに、乱馬役や作品への思い、コラボについて聞いた。(前後編の前編)

 ◇32年ぶりの放送は「前回のオンエア前より緊張」

 「らんま1/2」は、「魔女の宅急便」のトンボ、「名探偵コナン」の工藤新一、怪盗キッドなどさまざまな当たり役をもつ山口さんが初めて主演した作品。今回、山口さんを始め、多数のキャストが続投し、アニメ化された。

 「いろんなところで言っているんですけれども、これは何の人生のご褒美なんだろうって思っています。35年前に『らんま1/2』のオンエアが始まったころの僕はデビューしたてでしたが、いまは少し余裕も出てきたのか、収録のときのことは忘れて、作品をただただ楽しんでいます。ゲラゲラ笑いながら見ていますよ」

 放送が始まった今作について聞くと、そう語った山口さん。それでも「オンエアが始まる前は緊張した」と言う。

 「見てくださった皆さんから、どういう感想が返ってくるのか。前回のオンエアが始まるときよりも、今回の方がドキドキしていたような気がします。でも始まったら、すごく優しい世界がX(旧ツイッター)のタイムラインに広がっていて、よかった~とホッとしました。(演じた)僕らも“この方向でよかったんだ”と、新しい『らんま1/2』の指針になるような感触がありました」

 ◇懐かしくも新しい1話 「う~ん、どうすっかな~」の裏側

 アニメを手掛ける宇田鋼之介監督が目指すのは、原作を重視した作品作りだ。それだけでなく前作のアニメも大切にし、端々にオマージュをちりばめている。

 なかでも1話の構成は、前作と同じ。前作を知っている視聴者には懐かしく映った。それは山口さんも同様で「1話は、演じていてジーンときました。35年たっても、せりふ回しを覚えているものだなって」と振り返る。しかし、過去をそのままなぞったわけではない。

 「最初のアフレコでは前作の芝居を追いがちな部分もありましたが、乱馬が風呂に入っているシーンで変わったと思います。女らんまの姿で天道家へやってきたものの、湯に入って男に戻った乱馬が『う~ん、どうすっかな~。どうせばれるんだし、このまま出ちまえ』っていうせりふ。

 宇田監督に『もっと“いい加減”でいいです。それほど真剣には考えていなくて、一応言っているだけという感じでいいんじゃないですか』って言われて。確かにその方が乱馬っぽい。宇田監督の方向性が出ていて、原作のテンポに近い感覚。そういうことを話し合いながら作れているので、楽しいですね」

 今回の『らんま1/2』でお気に入りの一つはエンディングだ。シンガー・ソングライター「りりあ。」さんの「あんたなんて。」で、素直になれない乱馬とあかね、2人の関係があかねの視点で表現されている。

 「泣いちゃうでしょう? 初めて見たとき、本編の懐かしさにもうるっときたんですけれど、エンディングを聞いた瞬間、『ごめん、泣くわ!』ってなりました」

 ◇声優人生「乱馬に始まり乱馬で終わる!」くらいの覚悟で

 今回のアニメ化が発表された際、「『らんま』は僕のルーツ! 乱馬を演じる一瞬一瞬を大切にして、声優人生、『乱馬に始まり乱馬で終わる!』くらいの覚悟で演(や)らせていただきます!!」とコメントを発表した山口さん。

 「いわゆる少年・青年の主人公役は、この乱馬でたぶん最後かなと、思ったりもする」と口にする。

 「もちろん、お話をいただいたらやりますけれども、でもそれぐらい自分にとって『らんま1/2』は大切な作品。初めての名前のある役でもありましたし、早乙女乱馬がなかったら、たぶん今ここにはいないだろうっていうくらい、自分の中で大切なポジションにあるキャラクターなんです。だから、それぐらいの心意気、それくらいの気持ちで挑んでいます」

 ◇最終回は「やっぱり僕が演じたい」 未アニメ化エピソードにも意欲

 今年、福岡から上京して40年。来年は還暦を迎える。今後について聞くと「これからもなんでもやっていきたい」と意欲を見せながら、こう答えた。

 「乱馬を最終回まで演じるのが夢。(アニメでは原作の)最後までやり切れていないので、原作の最終回はやっぱり自分がやりたいという思いは強いです。そこまで頑張らなきゃ。最終回だけでなく、アニメ化していないたくさんの話があるので、それをやれたら、また新しい形で『らんま1/2』と向かい合えると思います。

 また、(高橋)留美子先生の作品に関わっていく中で、いつか八宝菜のような役をやりたいという気持ちもあるんです。おじいちゃん役というか、年相応の役。そういった役にも幅を広げていけたら、もっと楽しくなるかな」

 前回の放送では、原作が連載中だったこともあり、アニメは原作とは異なる最終回を迎えた。原作の最終回を含めたアニメ化にファンの期待も集まっている。

 「最終回の放送には、僕も期待をしています。そのためには皆様の応援がないことにはアニメが続かないので、深夜帯ですけれども、放送をリアルタイムで見てもらえるとうれしいですね。Netflixでも独占配信してくださっているので、リアタイして、配信もぜひ見てください」

 ◇パンダつながりで上野駅とコラボ 放送前のシーンも放映

 JR上野駅でのコラボもスタート。13番線にある全長100メートルの巨大プロジェクターでスペシャル映像を放映しているほか、10月27日までは上野広小路口ビジョンでも映像を放映していた(現在は終了)。フォトスポットが設置され、複数のビジュアルが掲出された。山口さんによる録り下ろしの構内アナウンスも聞くことができる。乱馬の父・玄馬が、水をかぶるとパンダになってしまうことから、“パンダの聖地”上野動物園の最寄り駅でもある同駅ならではのコラボだ。

 「うれしいですよね。パンダといえば『らんま1/2』ということで、こんなに大きな駅とコラボできて。巨大プロジェクターは、どうやって写真を撮るの?っていうぐらい大きい(笑)。まだアニメで放送されていないシーンも放映されていてお得感もあります。

 僕もすべて見てきましたが、駅のあちこちに配置されているので、それを探しながら上野駅巡りという意味でも楽しめました。令和の『らんま1/2』を見ていただいて、上野駅でコラボも楽しんでください」

 「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”は日本テレビで毎週土曜深夜0時55分に放送中。Netflixで独占配信。JR上野駅のコラボは10月31日まで。13番線の映像は放映を停止する時間がある。停止するのは月曜午前8~11時半、木曜午後4~7時、土曜午前8~11時半、日曜午後4~7時。

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