海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
吉高由里子さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマは、最終回(第48回)「物語の先に」の放送を残すのみとなったが、個性豊かなキャストによる名演、名場面が、この1年間で数多く生まれたことは間違いないだろう。ここではヒールとして序盤の物語を盛り上げた藤原道兼と、役を演じた玉置玲央さんの足跡(活躍)をたどりたいと思う。
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玉置さんが演じた道兼は、藤原道長の次兄。父・兼家の愛情を求めながらも、兄・道隆や弟の道長との関係に苦しむ複雑なキャラクターでもあった。
暴力的に振る舞う一方で、父からの期待に応えようと張り切る姿も描かれた序盤は、その“クズっぷり”が随所でフィーチャーされ、話題に。特に第1回「約束の月」では、主人公・まひろ(のちの紫式部)の母・ちやはを刺し殺すという衝撃的なシーンがあり、視聴者から「道兼のあまりのクズっぷりに絶句」といった反応が寄せられるなど、大きなインパクトを残した。
その後も、父の期待に応えようとしながら、自己の欲望や感情に翻弄される道兼の姿を、玉置さんがリアルに表現。当然、“退場回”となった第18回「岐路」における道兼の最期シーンも注目を集めた。
ちやはを殺めたことをきっかけに、一家の「汚れ役」を担うようになり、花山天皇の退位の際にも暗躍した道兼。兼家が後継者に道隆を選んだことから、一度は自暴自棄となるが、道長の言葉に救われてからは、民のことを思うようになり、やがて道隆の後を受けて関白に就任にするも、疫病に倒れてしまう……。
結局は道半ばで命を落とすことになった道兼だが、その最期は玉置さんいわく「きちんと納得のいく意味のある幸せな死」として大きな反響を呼び、SNSでは「道兼ロス」というワードがトレンドに浮上。これは、視聴者が玉置さんの演技に感情移入し、道兼というキャラクターの複雑さに共感を覚えたことに起因する。
今回、序盤の物語の中である種、重要な役割を果たした道兼を通し、時に狂気をにじませながら深い人間ドラマを創出してくれた玉置さん。その演技を高く評価すると共に今後の活躍がより一層、楽しみになったドラマファンも多いのではないだろうか。
「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性による小説といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。
最終回「物語の先に」が、12月15日に15分拡大で放送。
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