吉高由里子:「光る君へ」の“戦友”柄本佑は「人間の生々しさを表現できる役者」 共に歩んだ1年半「すごくぜいたくなこと」

大河ドラマ「光る君へ」でまひろ(紫式部)を演じてきた吉高由里子さん(右)と道長役の柄本佑さん (C)NHK
1 / 1
大河ドラマ「光る君へ」でまひろ(紫式部)を演じてきた吉高由里子さん(右)と道長役の柄本佑さん (C)NHK

 大河ドラマ光る君へ」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で、主人公のまひろ(紫式部)を演じてきた吉高由里子さん。ドラマは、最終回(第48回)「物語の先に」の放送を残すのみとなったが、物語はどんな着地を見せるのか? 本作を語る上で欠くことのできないまひろの“ソウルメイト”藤原道長と、同役を演じた柄本佑さんの印象を聞いた。

あなたにオススメ

 「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性による小説といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。

 まひろの「源氏物語」執筆をバックアップしてきた道長。本作における、二人の関係性は、ときに惹(ひ)かれ、ときに離れ、陰に陽に強く影響し合う“ソウルメイト”で、第42回「川辺の誓い」(11月3日放送)では、副題通り、互いに生きることを誓い合い、恋愛でもない、友情でもない「二人の世界」は“最終形態”に。

 吉高さんも「(お互い)生きがい、生きる糧のような存在だったと思う」と話す。

 「月を見上げる描写が多かったと思うのですが、イコールまひろを思う、イコール道長を思う、月が(この世に)ない日はないように、思わない日はないくらい一心同体というか」

 道長役の柄本さんとは、同じ大石静脚本で2020年に放送されたドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系)に続く、重要な役柄での再共演となった。

 情けない三郎(道長の幼名)の部分も、権力者として時に冷徹でもあった道長の表情も、見事に演じ切った柄本さんの姿は、吉高さんの目にどう映ったのか。改めて「佑君が道長で本当に良かったなと思います」と実感する。

 「誰しも、表に見えている自分と、内に秘めている自分の差というものはあると思うのですが、そういう人間の生々しさを表現できる役者さんのお芝居を1年半も近くで見ることができて、すごくぜいたくなことだなと感じましたね」

 また吉高さんは、ドラマ序盤に大きな盛り上がりを見せた“廃邸のシーン”を例に、柄本さんを「自然に話を聞ける、聞きたくなる俳優」とも表現。

 第5回「告白」(2月4日放送)では、まひろが道長を前にし、母・ちやは(国仲涼子さん)の死から6年の間、ため込んだ思いが堰を切ったようにあふれ出す様子が描かれ、大きな盛り上がりを見せたが、第10回「月夜の陰謀」(3月10日放送)の“逢瀬”共々、二人で「話し合いながら」作ったシーンでもあるという。

 「第5回の廃邸のシーンは長回しで。ダンスじゃないですけど、お互いどう動くのか、感情の押し引きもありましたし。第10回の逢瀬も、二人だけの撮影で、とにかく長い1日、ぐったりするくらいぶつかり合ったし、話し合ったなという印象は残っています。自分で考えたりもしますけど、佑君だったらどう思っているんだろうなと、聞きたくなる俳優さんだなと思いました」

 最後の撮影も、約1年半を共に歩み共に戦ってきた、いわば“戦友”の柄本さんとのシーンだった。

 「1年半ってこんなにもあっという間なんだという気持ちにもなって、さみしいもうれしいも安堵感もあって。そのとき(クランクアップの瞬間)は泣かなかったのですが、監督が花束を持ってきくださったときに号泣していて、それを見てもらい泣きして、凛として終わりたかったのになって思いながらダメでしたね」

 その後も、改めてさみしさが込み上げてくる瞬間があったという吉高さん。

 「2日後くらいにNHKに来て、スタジオをのぞいたらもぬけの殻というか、空っぽになっていて、こんなにも余韻ないんだと、それはそれでショックでしたね。前室も、もう知らない部屋みたいで、私たちの思い出、青春が一瞬にして過去になっていて、それもさみしかったです」

 最終回「物語の先に」は、12月15日に放送される。

テレビ 最新記事