俳優の高畑充希さんが主演を務めた2016年度前期の連続テレビ小説（朝ドラ）「とと姉ちゃん」の地上波再放送が、5月5日からNHK総合（月～金曜午後0時半）でスタートした。ヒロインが三姉妹の長女というのは、放送中の朝ドラ「あんぱん」と同じで、子役時代に父親が亡くなってしまうというのも共通点に挙げられる。そのほか、朝ドラの“三姉妹もの”は、近年どのような作品があったのか、振り返ってみたいと思う。

あなたにオススメ

朝ドラ：来年度後期は「ブラッサム」　主演は石橋静河　モデルは…

　◇「まんぷく」では長女が早くに亡くなるも…

　「とと姉ちゃん」は、生活総合誌「暮しの手帖」創業者の大橋鎭子（しずこ）の軌跡をモチーフとしたドラマ。11歳で父を亡くしたことを境に家族の父代わりとなったヒロインが、浜松から上京し、女性向けの雑誌を創刊。高度経済成長期を生きる女性に支持されていく……というストーリーが展開した。

　三姉妹は前述の通りヒロインの常子を長女に、次女の鞠子、三女の美子で構成され、上から順に高畑さん、相楽樹さん、杉咲花さんが演じた。三女・美子役の杉咲さんは、のちに2020年度後期の「おちょやん」でヒロインとして朝ドラへの帰還を果たしている。

　三姉妹の父・竹蔵役は西島秀俊さんが務めた。竹蔵は常子が11歳のときに結核で死去したため、西島さん自身の出番は、三姉妹が子役時代の1週目のみに……と思いきや、ドラマ最終回で“再登場”し、夢の中ながらも、第1週ではかなわなかった高畑さんとの共演が実現している。

　ここからは「とと姉ちゃん」から「あんぱん」までの朝ドラ“三姉妹もの”を振り返ってみたいと思う。

　「とと姉ちゃん」の次に、ヒロインを含む三姉妹が登場したのは「まんぷく」だ。インスタントラーメンをこの世に生み出した実業家・安藤百福（ももふく）さんとその妻、仁子（まさこ）さんの半生がモデルのドラマで、主演を安藤サクラさんが務めた。

　安藤さん扮（ふん）するヒロイン・福子は三女で、咲（長姉）、克子（次姉）との三姉妹。二人の姉を内田有紀さん、松下奈緒さんが演じた。福子の大好きな“咲姉ちゃん”は、第11回で病気で亡くなってしまうも、これで退場とはならず、“夢枕キャラ”としてたびたび劇中に登場。また、三姉妹の母で「私は武士の娘です」が口癖の母・鈴を松坂慶子さんが愛らしく演じて、人気を博した。なお三姉妹の父は、ドラマスタートの時点で故人となっている。

　◇「スカーレット」は“ヒロイン長女型”　「エール」「ちむどんどん」は？

　2019年度後期の「スカーレット」にも、ヒロインを含む三姉妹が登場。主演の戸田恵梨香さん扮するヒロインの喜美子は、女流陶芸家の草分けとなる“究極の働き女子”で、そんな喜美子を長女に、次女の直子、三女の百合子という構成。「とと姉ちゃん」「あんぱん」と同じ“ヒロイン長女型”で、二人の妹は（当時）桜庭ななみさんと福田麻由子さんが演じた。

　「スカーレット」の次作、2020年度前期の「エール」も、ヒロイン一家は三姉妹。同作の主演は窪田正孝さんで、相手（妻）役を務めた二階堂ふみさん演じる音を次女に、姉の吟、妹・梅という“ヒロイン次女型”。吟役は松井玲奈さん、梅役は森七菜さんが務めた。ちなみに、光石研さん演じる三姉妹の父・安隆は、音が小学生の時、出張先の大阪で、線路に落ちた子供を助けようとして電車にはねられ亡くなったが、「特別企画」の一編として放送された第56、57回「父、帰る」で、10年ぶりにこの世に戻ってきて家族と再会している。

　黒島結菜さん主演の2022年度前期の「ちむどんどん」のヒロイン一家は4人きょうだいで、うち三人が姉妹というパターン。その構成は長女・良子、次女・暢子、三女・歌子で、上から順に川口春奈さん、黒島さん、上白石萌歌さんが演じたが、竜星涼さん扮する長男・賢秀のキャラクターがある意味、強烈だったためか、“三姉妹もの”としてのイメージは少々希薄か。一方、ご多分に漏れず、大森南朋さん演じる父・賢三は、きょうだいが子供の頃にこの世を去っていて、その後、家族は生活に苦労。三女・歌子の病弱キャラも賢秀とは違ったところで、視聴者をざわつかせた。

　そして今田美桜さん主演の「あんぱん」である。

　本作は「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん（1919年～2013年）と暢さん（1918年～1993年）夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

　三姉妹は今田さん演じる長女・のぶ、河合優実さん演じる次女・蘭子、原菜乃華さん演じる三女・メイコで、直近放送の第5週では、のぶが巣立ったヒロイン一家＝朝田家で蘭子の結婚話が持ち上がり、朝ドラらしいドタバタ劇もあった。時代的にはこのあと、戦争（第二次世界大戦）へと突き進むが、三姉妹が歩む道と今田さんらキャストの演技には引き続き注目だ。