永久のユウグレ:美術デザイン 宮岡真弓、多田周平インタビュー 未来の世界をどう表現したか?

アニメ「永久のユウグレ」の一場面(c)Project FT/永久のユウグレ製作委員会・MBS
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アニメ「永久のユウグレ」の一場面(c)Project FT/永久のユウグレ製作委員会・MBS

 「true tears」「SHIROBAKO」などのアニメ制作会社「P.A.WORKS」によるオリジナルテレビアニメ「永久のユウグレ」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」で放送されている。AIの技術が発展した未来の世界を舞台とした本格ラブストーリー。最愛の恋人・王真樹トワサと愛を誓い合った主人公・姫神アキラが長年にわたるコールドスリープから目覚め、戦争によって荒廃した街を目にする。アキラの前にトワサと酷似したアンドロイド・ユウグレが現れ、世界のどこかで生きているはずのトワサと再会できると信じて、共に旅をすることになる。美術デザインの宮岡真弓さん、多田周平さんに制作の裏側を聞いた。

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 ◇「ここは未来である」を伝える

 宮岡真弓さん

 --今作で担当したことは?

 美術設定の一端を担いました。この作品は主人公たちが一カ所に留まらないため、いろんな場所が登場するので私を含め何人かの方と分担して作成しています。

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 --作品の印象は?

 現代の価値観の多様性について考える作品なのかな、と思いました。あと原案のイラストが弊社には珍しくスタイリッシュだったことが一番印象に残っています。

 --監督からオーダーは?

 何かが起こっていびつになった世界だということを表したいとおっしゃっていたと思います。「化学物質の汚染などで奇形になった木が生えている」といった提案が打ち合わせ時にありましたが、いまく活用できなかったのか少し心残りです。

 --少し先の未来、未来(荒廃した世界)が舞台になります。それぞれの世界を表現する中で大切にしたことは?

 少し未来というより主人公一家は資産がある、いわゆるセレブですが「博学な一家」なことが分かるようにしたかったです。未来(荒廃した世界)は一度破壊されてからそれなりに時間が経過しているということを常に念頭に置いていました。

 ー-美術で独特の世界をどのように表現しようとした?

 衰退後は場所によって文明進行速度が違うのがデザインモデルにする国を変えることで表現しているので特に前半は懐かしさがあるのかもしれません。また監督がガジェットに関して造詣が深い方でしたので、そういったものが映ることで「でもここは未来である」ことが視聴者に伝わるような画面にならないか模索しましたが、結果はどうだったでしょうか。

 ー-この作品ならではの挑戦は?

 人工物が荒廃して植物に覆われている状態のもの悲しさをなんとか線画で表せないか考えて取り組みました。未来デザインのスタイリッシュ感も要求される作品ですが自分はあまり持ち合わせていないセンスなので正直難しかったです。

 --最後にメッセージをお願いします。

 恋愛観(結婚観)とアクションがメインの作品だと思っています。その両極端な二つの要素がどう絡んで話が進んでいくのか見てほしいです。

 ◇生活感や空気感を醸し出せるように

 多田周平さん

 --今作で担当したことは?

 アニメ業界内で「美術デザイン」「美術設定」と呼ばれる役割を担当しました。文字通り背景美術に関わる部分のデザインを作成するお仕事ですね。「永久のユウグレ」内では主人公たちが訪れる街の全景や、そこにある建物の外観とか内観とか、あるいは森の中とか、、いろいろなものを描かせていただきました。

 --作品の印象は?

 はじめてお話をもらった時に「結婚の在り方も多様性が問われだしている令和において、挑戦的なテーマだな」という風に感じたことを覚えています。

 --監督からのオーダーは?

 オーダーというわけではないですが、シナリオ上では説明しきれない世界設定も細かく教えていただいたりしました。そのおかげで盛り込めたアイデアもあると思います。

 --少し先の未来、未来(荒廃した世界)が舞台になります。それぞれの世界を表現する中で大切にしたことは?

 私が美術設定で主に担当したのは世界が荒廃してからのロケーションでした。登場する街は架空のものですが、「その街の形成にも歴史があること」「その街にも日々の生活を送る人々がいること」に気を配って、生活感や空気感を醸し出せるようにしました。

  --美術で独特の世界をどのように表現しようとした?

 管理されている側の人たちと管理者側のOWELの対立構造を建物にも表現しようとしました。街の人たちが使っている建物は生活感があって活気もある、それに対してOWELの建物は無機質で威圧的みたいな感じです。特に物語後半の街はそれが顕著ですね。

 --この作品ならではの挑戦は?

 実在する現代の建物も残しつつ、未来の架空の建物も入れつつ、海外の建物も取り入れるってかなり珍しいんじゃないでしょうか……? その三要素をミスマッチな印象を持たせずに一つにまとめあげるのは、この作品ならではの挑戦だったと思います。

 --P.A.WORKSの映像の魅力は?

 個人的にP.A.さんの作品は大好きでよく拝見しますが、その魅力の一つが「キャラクターの感情の機微をセリフだけに託さずに、映像で語っている」ことだと思っています。

 --最後にメッセージをお願いします。

 ストーリーは言わずもがな、背景もいろいろな場所が登場して面白い作品になっていると思います。背景を通して「永久のユウグレ」の世界に没入してもらえるとうれしいです。


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