水曜日のダウンタウン
名探偵津田"長袖"SP
12月3日(水)放送分
欧州のサッカークラブ王者を決める「UEFAチャンピオンズリーグ」が9月に開幕。WOWOWでは、世界中のサッカーファンを虜にするCLの2025-26シーズンもリーグフェーズ~決勝まで独占生中継(放送・配信)する。現在、出場チームが8試合を戦い順位を決めるリーグフェーズのMatchday(MD)3までが終了。WOWOWで解説を務める元日本代表・佐藤寿人さんに開幕からここまでの振り返りや、11月に行われるMD4やMD5の注目試合の展望などを語ってもらった。
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監督や主力が抜けたレヴァークーゼンや、序盤で強い相手と連戦になったユヴェントスが苦しんでいますが、全体的には、力のあるクラブがしっかりとポイントを積み上げている印象です。前回から大会方式が変わり、ホームアンドアウェイで同じ相手と2度戦うのではなく、MD8まで違う相手と戦っていく形式になったので、負けた相手から取り返すことはできません。最初でいかにポイントを稼ぐかが大事です。ノックアウトフェーズへのストレートイン(上位8位)を決めるチームが、昨季より早く見えてくるのではないでしょうか。一方、プレーオフ進出(9~24位)を狙うチームは、昨季は勝点11で並んだ4チームの得失点差で決まったように、最後に1点の重みがのしかかるので、序盤は負けるとしてもロースコアに留めたいところです。
どちらも、まだチームが出来上がっていない印象はあります。リヴァプールは、まだ昨季ほどの安定感はありません。作ろうとしている組織に、個がフィットするか。ボールを前に運ぶ推進力があるエキティケ選手は、もうフィットしているように見えるので、あとはイサク選手とどう使って行くか。また、夏の移籍市場で日本円にして200億円超とも言われる金額で加入したヴィルツ選手が、まだ得点を決めていないことで周囲からは雑音も聞こえる状況。クオリティの高さは見せているので、彼がゴールを決めて調子を上げていくと、チームも安定して勝っていけると思うので、注目しています。
レアル・マドリードは、シャビ・アロンソ監督が1年目。彼が現役時代に活躍したリヴァプールのホームへ行って、どんな受け入れ方をされるのか気になりますね。今はカウンターアタックで点が取れていますが、組織面はまだ発展途上。もう少し攻撃のビルドアップで相手の立ち位置を広げさせて、中間ポジションを使って前に進むサッカーをしたいのではないかと思います。アルダ・ギュレル選手を重宝しているあたりは、昨季との違いかなと思うのですが、新監督の下で強い個がつながっていけるかどうかがポイントです。
どちらも攻撃が速く、スペースを与えると仕事のできる選手が揃っているので、両チームともに、守備でスペースを埋めることが重要。その守備に対し、局面をどう変えるか。組織で変えるのがリヴァプール、個で変えるのがレアル・マドリードという試合になるのではないでしょうか。セットプレーの攻防も見ごたえがあると思います。
大会方式が変わり、このような豪華なカードが序盤でも見られるのは、嬉しいですね。パリSGは、負傷離脱者がいる中でも、内容を伴って結果を出しています。左サイドバックのヌーノ・メンデス選手が前めのポジションを取って攻撃に参加するなど、相手に捕まえられないポジショニングから攻撃の破壊力を見せていて、さすが、連覇を目指すチャンピオンチームという強さを感じます。MD3では復帰した左のドゥエ選手が点を取っていますし、中盤はジョアン・ネヴェス選手もいいですけど、中央のヴィティーニャ選手は、別格。身長172センチで小柄だけど、身体の使い方が上手くて、ボールを取られないし、相手の逆を取れる。この舞台であれだけの強度が出せるのも本当にすごいです。日本の育成年代の選手たちは、彼のプレーに勇気づけられるものがあると思います。私は、ザイール=エメリ選手のプレーも好きですね。
バイエルンは、左サイドにルイス・ディアス選手を獲得できたのが大きいと思います。昨季は右サイドのオリーセ選手が大きな武器になっていましたが、右だけではなくなりました。攻守のバランスが非常に良く、ケインという点の取れるエースがいますし、若手のカール選手も台頭しています。コンパニ監督が就任し、後ろから数的優位を作り出す立ち位置や、ウイングをフリーにさせる局面の作り方の上手さは、昨季から見えています。右はオリーセ選手の後ろにいるライマー選手が絶妙な立ち位置で関わることでウイングをフリーにします。MD3のクルブ・ブルッヘ戦では、彼が左でポジションを取って、ルイス・ディアス選手にボールを預けて、そこからミドルシュートでゴールが生まれる展開もありました。(ボールを蹴る)直接的な動きでなくても、相手の守備を壊せる選手です。
どちらも、ボールを保持したとき、相手の守備ブロックを動かすためにアンバランスな形を作っていくのですが、そうすると、相手はボールを奪えばチャンスなので、攻められていてもカウンターを狙える状況。主導権というものがあるようでないというか、シームレスな攻防になると思います。トップレベルの戦いは、細かいミスが起こらないとなかなか得点が生まれません。誰が相手のミスを作り出すか。一つの小さなミスが、次のミスを生み出す連鎖を攻撃側が起こさせるか、守備側が止めるかの戦いになるのではないかと思います。
MD4の結果次第で、それぞれの戦い方が変わって来る可能性があります。昨季、ノックアウトフェーズにストレートインしたリーグフェーズ8位は、5勝1分2敗(勝点16)。互いに、すでに1敗しているので、強豪チームのポット1同士の戦いでは、互いに勝点ゼロだけは避けたいところ。ただし、MD4で負けた場合は、残り試合全てで勝たなければいけないという考えに変わるかもしれません。どちらもストレートインを目指すべきクラブ。どういう星勘定で戦っていくかが、変わってきます。
純粋に見れば、MD3で両チームとも得点を多く取っているように、攻撃力があります。2列目にも点の取れる選手がいます。チェルシーは、7月のクラブワールドカップでパリSGを攻略し、驚きをもたらしたチーム。補強した選手が結果を残していますし、特に前線は、若手も出てきている印象です。このカードで鍵になりそうなのは、プレーエリアが広い、右サイドバックのカイセド選手かなと思います。守備面では、バルセロナにスペースを与えてはいけませんし、ボールの奪いどころを見極めないといけません。その点、守って、奪って、前に出ていける彼のプレーは、重要になると思います。
バルセロナは、ラッシュフォード選手がフィットしたのが、良い意味での驚き。昨季まで所属したマンチェスター・ユナイテッドのファンからするとヤキモキする部分があるでしょうね。今季から10番を背負うラミン・ヤマル選手は、今のチームの象徴。子どもたちが憧れるスター選手として注目されています。
イタリア勢のインテルは、気になっています。私は、ミラニスタですけど(笑)。今、イタリア勢が出場枠をしっかりと持てているのは、インテルの頑張りによるところが大きいと思います。昨季も決勝まで進みました。シモーネ・インザーギ監督からクリスティアン・キヴ監督に代わって、継続させながら発展させているイメージがあります。私たちは、イタリアの黄金期を見てきたので、近年、他国に後れを取ることの多い状況は、少し寂しいものがあります。MD3は、ナポリもユヴェントスも苦しんでいましたし、インテルはイタリア勢のプライドを示してくれている存在だと思います。
今回は、MD4とMD5の注目カードについて話しましたが、やっぱり欧州CLという最高の舞台で戦う日本人選手の活躍にも注目してほしいです。先日、日本代表がブラジル代表に初めて勝ちましたが、欧州CLでの日本人選手の立ち位置もかなり高まって来ていると感じます。フランクフルトの堂安律選手、アヤックスの板倉滉選手が、欧州で活躍する中で、この舞台にたどり着きました。堂安選手はMD3でアシストをしていましたが、今後は欧州CLでのゴールも期待したいところ。ブラジル戦で活躍した鈴木淳之介選手も、コペンハーゲンの一員として出場していますが、彼は昨季まで湘南ベルマーレにいたJリーガー。海外移籍1年で欧州CLにたどり着くのは、一種のシンデレラストーリーのようなものです。ビッグクラブ、名選手ばかりにフォーカスしがちですけど、この舞台を夢見ていた日本の選手が挑戦していることも知ってもらいたいです。
そうですね。そういうところを分かった上で、ピッチ上の攻防を見てもらうと、すごく楽しめると思うので、ぜひ注目してください!
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2025年12月08日 06:00時点
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