解説:「ばけばけ」前半戦の注目度ランキング 視聴者を最もクギヅケにした放送回は「ダキタクナイ」? 男女で違いも

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 現在、放送中のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月〜土曜午前8時ほか)。昨年12月までに放送された第1回から第65回までの「前半戦」で、視聴者はどの回を最も熱心に見ていたのだろうか? 没落士族の娘であるヒロイン、松野トキ(高石あかりさん)の物語はここまでなかなかの波乱万丈の展開。数々の衝撃的な“事件”に遭遇し、ネット上で話題になる回も多かった。テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっている程度を示す「注目度」で調べてみた。

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 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO株式会社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。数字が高いほど、番組に夢中になり、目が離せなくなった人が多かったことが分かるというわけだ。

 ◇「個人全体」1位はあの「ダキタクナイ」

 注目度のランキングのうち、まず幅広い年代が対象となる「個人全体」と「男性」「女性」の上位5位までの放送回を調べてみた。

 「個人全体」の1位は注目度74.0%を記録した第34回(2025年11月13日放送)。ヘブン(トミー・バストウさん)が思わず発したセリフ「ダキタクナイ」がSNSのXでトレンド入りするほど、話題になった回だ。1分ごとの瞬間注目度(速報値)でも、「ダキタクナイ」のセリフが飛び出した午前8時12分には、「ばけばけ」前半戦の放送期間で最高の83.0%をたたき出した。

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 第34回は、トキがヘブン(トミー・バストウさん)の女中として働き始めたことが松野家の家族にとうとうばれてしまう。「あんな大金もらっちょるんだもん、つまりは……」と母親のフミ(池脇千鶴さん)に問い詰められ、観念したトキは、涙を浮かべながら、ヘブンのラシャメン(洋妾)になったことを明かす。祖父の勘右衛門(小日向文世)や父親の司之介(岡部たかしさん)らがヘブン宅へと“殴り込み”をかけるあたりから注目度が上昇していく。

 勘右衛門はヘブンに木刀を振りかざし、司之介は「娘をだまくらかしたな」と錦織(吉沢亮さん)の胸ぐらをつかむ。日本語が分からないヘブンは怒っている理由が分からず、錦織に説明を求める。錦織が、怒っているのはトキの家族で、娘が妾になって喜ぶ家族はいないと説明すると、今度はヘブンが怒り始める。「冗談じゃない。ふざけるな」と英語で激高し、日本語で「オトキサン、メカケ……ラシャメン……チガイマス。オトキサン、ジョチュウ! オーケー?」と叫ぶ。

 実はこれで“騒動”がいったん落ち着くと思ったのか、注目度はこの場面で少し下がっていた。この後にあの破壊力がある一言「ダキタクナイ」がさく裂する。

 ヘブンは何かを伝えようと、一生懸命辞書を引き、見つけた単語が「ダキタクナイ」。それを聞いたトキは「はあ?」「それはそれで失礼だけん!」と漏らす。即座にフミは「抱きたいでしょ!」と言い返し、司之介も「そげじゃろが!」。勘右衛門は「ペリー覚悟~!」と木刀を構えてヘブンに斬りかかろうとする。

 深刻な場面が、急にコメディーに変わる「ばけばけ」らしい一場面だ。落語家の故桂枝雀さんが笑いが生まれる理由に「緊張と緩和」を提唱したが、まさにこの場面は緊張から一転、緩和に転じた場面で、「ダキタクナイ」という意外なワードが投じられた。「ダキタクナイ」のセリフはSNSのXでトレンド入り。視聴者が一番注視した回というのは納得の結果だ。

 ◇衝撃的な出来事に襲われるヒロイン 女性はそこにクギヅケに?

 「ダキタクナイ」は、「男性」のランキングで2位、「女性」のランキングで1位と、男女ともに注目度が高い。ただ、「個人全体」の2位以下は、「男性」「女性」のどちらかの注目度が高い回が並ぶ。

 「個人全体」2位タイの71.5%を記録した第30回(2025年11月7日放送)と第16回(2025年10月20日放送)は、「女性」のランキングでそれぞれ4位と3位に入る「女性」が引き付けられた回といえる。それに比べると、「男性」はそれぞれ6位と8位とやや低い。

 第30回は、トキがたまたま街で再会を果たした三之丞(板垣李光人さん)から、タエ(北川景子さん)と三之丞が松江を離れた後、何があったのかを聞き、タエの窮状を知ったトキは、ヘブンの“ラシャメン”になると決める重要な回だ。物乞いをするタエさまが、ついにめぐんでくれた人に頭を下げる衝撃的な場面もあった。

 第16回は、我慢に我慢を重ね、借金苦の松野家のためにと働いてきた夫の銀二郎(寛一郎さん)が松野家を飛び出し出奔する回。布団で目を覚ましたトキが銀二郎がいなくなっていることに気付き、「いやー」と悲鳴を上げる。「甘えちょった……。ずっと一緒だと思って甘えちょった……」と涙を流し悔やむトキが印象的だった。

 第30回と第16回に共通するのは、ヒロイン・トキの人生の節目となる場面ということだろうか。女性はヒロインに襲い掛かる出来事に、まるで自分のことのように、非常に素直に反応している感じがする。

 ◇男性はちょっと“変化球”の場面にクギヅケ

 「個人全体」の4位の第39回(70.6%、2025年11月20日放送)と、5位の第40回(70.3%、2025年11月21日放送)は、逆に「男性」のランキングでそれぞれ1位と4位にランクインした。「女性」のランキングでは、それぞれ28位と11位とかなり注目度が低い。

 第39回は、女中として働き始めたトキ(高石さん)が、ヘブンの評価を少しでも得ようと、生け花やお茶を習い直そうと考える。そこで訪ねるのが、長屋暮らしを始めたタエのもとだ。ヘブンの気遣いでパイナップルを持参したが、切り方が分からないトキ。タエが「三枚おろしは?」などと口にするなど、少しコミカルな会話も続く。実の母子が、2人きりの楽しい時間を過ごすことができた、ちょっとじーんとする場面でもあった。

 第40回は、松江中学の生徒たちにヘブン自身にまつわる問題をヘブンが出題する“ヘブンクイズ”の模様が描かれた。生徒たちが「ヘブン先生のことを何も知らない」ということから、“ちょっとしたお遊び”としてヘブンの家でクイズ大会の開催となったのだが、そこに錦織(吉沢亮さん)やトキも参加する。あせればあせるほど、正解できない錦織の慌てっぷりに錦織の人間性も感じられた回だった。

 女性の注目度が高かった第30回と第16回が“王道”の展開とすれば、男性の注目度が高かった第39回と第40回はやや“異端”な回だろうか。パイナップルの切り方で、あーでもない、こーでもないと会話を続ける母子。“ヘブンクイズ”でほぼ15分を押し切った異色の展開。どちらも面白いが、物語のメインの筋からは少し離れた内容だろう。男性はそういう意外性たっぷりのひねった内容に引き付けられるのかもしれない。

 クギヅケになった場面が男女で傾向が異なるのは、前半戦に限った話なのだろうか? 「ばけばけ」の後半戦でもまた結果を報告したい。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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