葬送のフリーレン 第2期
第35話 神技のレヴォルテ
3月6日(金)放送分
アニメ「コードギアス」シリーズや「ONE PIECE FILM RED」などで知られる谷口悟朗監督のオリジナル劇場版アニメ「パリに咲くエトワール」が3月13日に公開される。「魔女の宅急便」「崖の上のポニョ」などスタジオジブリ作品のキャラクターデザイン、原画を手掛けてきた近藤勝也さんがキャラクター原案を担当し、谷口監督と初めてタッグを組む。吉田玲子さんが脚本、山下祐さんがキャラクターデザイン・総作画監督を担当するなど豪華スタッフが集結した。谷口監督が「より幅広い層へ訴えるオリジナル劇場アニメーションを作りたい」という思いから生まれたアニメで、1900年代初頭のパリを舞台に、困難な時代の中、画家を夢見るフジコとバレエに心ひかれる千鶴が諦めることなく、夢を追い求め、奮闘する……というストーリー。谷口監督の作品としては異色のようだが……。谷口監督、キャラクターデザイン・総作画監督の山下さんの制作の裏側を聞いた。
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谷口監督 コロナよりも前ですね。2017、18年頃でした。劇場版アニメの企画で、どうやったら劇場に来ていただけるかを考えていて、当時から原作ものが強い傾向がありましたが、そればかりでは……という思いもあって形になっていきました。2019年には山下さんと一緒にパリにロケハンに行き、それが顔合わせでした。どんな人が来るんだろうと思っていたら、実際に会って、しっかり話ができる方だと分かって一安心しました。
山下さん 私は最初、アルボアニメーションのカルキ・ラジーブさんから連絡をいただき、ほかのスタッフの皆さんはこれまで関わりがないすごい方ばかりなので、本当に動く企画なの?と少し警戒していました。最初からパリという舞台は決まっていたけど、内容が少し違った。それからしばらくして、ロケハンに行くから参加してほしいという話があって、本当に動く企画なんだ……となったんです。
谷口監督 パリだったらみんな聞いたことがあるだろうというのが大きいですね。未来にするとSFになるし、現代の日本にすると、映画館に来てもらうための何かが足りない。女性にも見てもらいたかったのですが、過去の日本を舞台としたアイデアやビジュアルが思い浮かばなかった。
谷口監督 そういうわけではなく、幅広く見ていただきたかった。だから、SFやロボではないものを考えていました。アニメ業界は、男性中心に企画が進みがちですし、少し違ったものにしようとしたところがあります。
谷口監督 単純に私が高畑勲さんを好きだからナチュラルに出てしまったところもあるかもしれません。だから、私の責任ですね。
山下さん 私は近藤勝也さんのキャラクター原案を最初に見た時、そのまま使えばいいじゃないかと思ったのですが、開き直ってキャラクターデザインをやりました。
谷口監督 そうなんでしょうかね? 例えば女性主人公だったら「純潔のマリア」もあるし、普通の人間の普通の日常ということなら「プラネテス」だってある。何ら違いがないんじゃないのかと思っています。ただ、ぜいたくをさせていただいたという感謝の気持ちはあります。こんなにモブが動く作品はなかなかありません。途中で、私なりの「セロ弾きのゴーシュ」(高畑監督のアニメ)だなと思っていました。自主制作に近い感じで、コツコツ作っていたので。
谷口監督 バレエや食事シーンは大変なのですが、細かく段取りをつけることで円滑に進むようにしました。アニメのウソを前面に出さないようにしたかった。薙刀のシーンに関しても、山下さんやと殺陣作画監督の中田栄治さんたちに実際に薙刀を振るってもらっています。バレエもプロの方に踊っていただいたうえで経験者のやぐちさんにバレエ作監をしてもらっていますし。
谷口監督 きちんと調べて、話を聞いてから作業に入っています。小物一つとってもこの色、この形でいいのかと少しでも疑問があれば、リサーチャーの白土晴一さんに調べてもらっています。
山下さん そういった段取りを丁寧にやっています。
谷口監督 この作品は、ファンタジー的な成分があると、成立しなくなってしまいます。彼女たちが生活した空間を作品で伝えないといけない。嘘はあまり入れられないんです。無論、リサーチの限界はありますが、納得、できれば得心がほしい。バレエや薙刀にしても肉体言語だから、それを理解しないとダメ。映像を撮って、それを見ながら描いてもらうだけでは厳しい。
山下さん パイロットフィルムの時、専門の方がいないと厳しいかなと思っていました。
谷口監督 パリにロケハンに行った時、山下さんのアニメへの考え方をいろいろ話していましたし、極端に作品からズレるわけでなければ、基本的には、お任せしていました。
山下さん 影の面取りの考え方とかを話しましたよね。僕は濃い絵を描く人ではないし、近藤さんの雰囲気に合わせようと思っていました。パイロットフィルムの時から美術がすごくキレイだったし、キャラクターもあっさりめに描いてもいいと思っていました。影も必要以上に付ける必要がない。ただ、完全に影なしになると、つらいこともあるので、必要なところに必要なだけ入れています。キャラクターの色がしっかりしていれば、大丈夫なんじゃないかと思っていました。
谷口監督 手描きアニメだから、手で描くことによってできるだけ情報をコントロールしたいというのは山下さんと同じ考え方でした。この作品では、心情に関わるものほど、後処理ではなく、できる限り手描きで表現しようとしています。CGも使ってはいますが、演出のスタイルとしては撮影前に用意するという意味で特撮です。後処理、つまりVFXにはあまり頼らないという考えですね。手で描くからこその説得力や面白さがある。できればアニメーターさんには、そのプライドは持っててほしいんです。撮影さんにお願いするにしても、よろしく!と言うよりは、何をしてほしいのかという意思表示はこちらからするべきです。まぁ、そこは演出の領分だったりもしますが。これは撮影さんを信用してないわけではなくて、作品によりけりというか、大きなレベルでの演出の比重の話です。撮影さんには、今回は観客の皆さんには分かりづらいところで、いぶし銀な仕事をしていただいてます。
谷口監督 培った技術を信用し、それを積み重ねることで十分表現できるだろうと考えていました。自分たちが業界に入って教えてもらったり、手に入れてきた技術を真ん中に捉えています。最新技術を使ってはいるけれども、使っている風には見せない。
谷口監督 いかにもこれがすごいでしょ!と使うのではない。技術自慢をするわけではなく、必要なものは必要だから使う。私が言うのはなんですが、こんな大変な題材で大変なことをやろうなんてビジネスとしてダメですよ。
山下さん 芝居の方向性もそうですね。キャラクター目線で必要な芝居を入れる、ただし逃げない。
谷口監督 (キャラクター演出の)千羽由利子さんに入ってもらって、レイアウトの段階で方向性を統一しました。例えば、キャラクターが振り向くとして、原画さんのプラン、演出さんの指示、で、私の指示を元に、最後に千羽さんに具体化してもらう。その後に作監さん。このキャラクターだったら少しためるように振り向くと指定してもらいました。アニメは記号によって成り立つ部分もありますが、できるだけ既存の記号の集積体になるのを避けたかったんですよね。可能な限り芝居という形にしたかった。
谷口監督 劇場作品だからできたところもあります。テレビアニメでこんなに求めたら、おそらくどこのスタジオでも無理だったと思います。
山下さん 予算と制作期間にもよりますが、極平均的なテレビだったら厳しいんじゃないかと。
谷口監督 結果的に時間が掛かってしまったんです。アルボアニメーションは大きなスタジオではないですし、コツコツ作るしかなかったところもあります。ピンチは何度もありました。力技でやったところもあります。
山下さん 作画に入ってから2年以上掛かっています。著名なビッグタイトルならそこまで気にする期間ではないと思いますが、大規模なスタジオではないので、正直、これはできるのかな?とヒヤッとしたこともありました。
谷口監督 たくさんの方の協力があって完成しました。
山下さん 長かったので、納品間際は、終わっちゃうんだな……という寂しさがありました。同時に、皆さんにやっとお披露目できるという喜びを感じています。
「パリに咲くエトワール」は、手描きという原点に立ち返りながら、二人の少女が生きた時代と空気を表現した。谷口監督の新境地が、どのように受け止められるか、注目される。(阿仁間満/MANTANWEB)
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