佐藤聡美:「役に“憑依”される」 アニメ「けいおん!」ヒロイン役の人気声優に聞く

声優の佐藤聡美さん
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声優の佐藤聡美さん

 アニメ「けいおん!」シリーズのヒロイン・田井中律や「ネットミラクルショッピング 2ndシーズン」の女性アシスタント・さとみを演じる佐藤聡美さん。5月26日に第1巻が発売されたアニメ「ネットミラクルショッピング 2ndシーズン」ではギャグ作品に挑戦、人気急上昇の佐藤さんに、役づくりの裏側などを聞いた。

ウナギノボリ

−−声優になったきっかけは?

 小さいころから人前で話すのが好きで、小学生や中学生の時に学芸会の司会を務めました。高校生では、放送部でナレーションや朗読をしていたのですが、人に伝える難しさや楽しさを身に染みて感じるようになったんです。声を使って表現するのが楽しいという、割とシンプルな感じでした。

−−「けいおん!」シリーズでは周囲を引っ張る元気な女子高生・田井中律を演じています。

 最初のオーディションでは、他に(秋山)澪と(琴吹)紬という女の子らしいキャラクターを受けていたんです。これまでは病弱だったり静かな役どころがほとんどだったので、律の役に決まった時は、本当にどうしていいか分からず……(笑い)。最初はおっかなびっくり演じていたのですが、キャラクターが元気なので「役に申し訳ないな」と思ったんです。そこで、皆が想像する斜め上をいくイメージで、元気な部分を出していくうちに、だんだんそれが楽しくなってきたんです。役を演じることで、周りからも「元気になったね」と言われました。

−−役にのめりこむタイプですか?

 割と演じるキャラクターに感化される人間なので、のめり込むタイプだと思います。台本などの資料をいただいて、最初は客観的な視点で分析するのですが、役と自分の共通点や視点をゆっくりと重ね合わせるうちに、自然に“憑依(ひょうい)”される瞬間があるんですね。役になりきってしまって、周りの役者さんとの掛け合いでアドリブが自然に出るという感じです。

−−デビュー当時から一番変わったことは?

 最初は自分のことで精いっぱいで、周りが全然見えていませんでした。でも作品やお芝居は、周りのキャストやスタッフの方がいて初めて成り立つものなので、「一人でやっているんじゃない」ということが分かったんですね。そこに気づけなかったら、いつまでも自分本位のお芝居になっていたと思います。周りの人に背中を押していただいて、出演する作品のキャラクターにいろいろなものをいただいて、人間的に日々成長させてもらっています。

−−ギャグアニメ「ネットミラクルショッピング 2ndシーズン」にも出演しています。

 このアニメは、毎回ありえないような不思議な商品が出てきて、つっこみどころが満載なんです。私が演じる「さとみちゃん」は、すぐに感動して泣いている不思議なキャラクターで、可愛い見た目なのに、江戸っ子口調で話すというギャップのある女の子です。濃いキャラクターが多い作品なので、それに埋もれないように感情をストレートに出して演じました。

−−ファンへメッセージをお願いします。

 昨年末に「けいおん!」で大きなライブイベントをやらせていただきました。私自身よりも作品を通して応援してくれていることが自分としてはうれしいので、キャラクターを愛してくださっているファンの方に、より興味を持っていただけるように頑張っていきたいです。私の好きな言葉「真心」を大事にして、自分の真ん中に作品のキャラクターや芯の強さを常に置いて、応援してくださる皆さんのためにこれからもお芝居を続けていければと思います。

 <プロフィル>

 さとう・さとみ=宮城県出身。声優事務所「青二プロダクション」所属。07年声優デビュー。アニメ「けいおん!」シリーズ(TBS系)の田井中律役、「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」(テレビ東京系)の御子神リム役、「地獄少女 三鼎」(MBSなど)の御景ゆずき役などを担当している。

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