狂言師の野村萬斎さん(44)が、和田竜さんのベストセラー小説を映画化した「のぼうの城」で主演を務めることが23日、明らかとなった。野村さんは03年公開の「陰陽師2」以来、7年ぶりの映画主演となる。野村さんは「時代劇でありつつ、ちゃんと現代に通じるテーマや厚みがとてもある作品だと思います。戦を背景に人間模様が見えますし、世の中、大きな社会が描かれており、(水攻めのシーンなど)天変地異もありますし、ここ最近にはない、非常に大きな映画になるのではと思います」と作品に対する期待感を募らせ、役柄については「自分は主人公・長親のようにぼーっとしているのかなと思ったのですが、そういう自覚が無いところや、時々突然ビックリするようなことを発言するらしいところなどが、既に役に近いのかもしれません(笑い)」と分析している。
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映画は、武蔵国忍城(おしじょう)が舞台。野村さん演じる成田長親(なりたながちか)は、家臣・領民から 「でくのぼう」をもじり「のぼう様」と揶揄(やゆ)される城代。「でくのぼう」でありながら、誰も及ばぬ人気と底知れないスケールの大きさで、領民たちの心をつかんでいた。天下統一を目指す豊臣秀吉率いる2万人の大軍を指揮した石田三成の水攻めにも屈せず、たった500人の兵で抗戦。従来の武将とは異なる成田のヒーロー像と、でくのぼう軍の攻防をダイナミックに描いたエンターテインメント大作。「眉山」(07年)の犬童一心監督、「日本沈没」(06年)の樋口真嗣監督の2人がメガホンをとる。犬童監督は「実はかなり初期の段階で、僕たちの中で『のぼう様』は萬斎さんしかいない、という話になっていました。最初に声を掛けたのも5年以上前で、それこそこのシナリオが小説化される前から、やってもらえないかとお話していました」と野村さんのキャスティングについて明かしている。
長親の幼なじみで成田家の侍大将「丹波」こと正木丹波守利英(まさきたんばのかみとしひで)役を佐藤浩市さん(49)、6児の父で豪腕の成田家の侍大将「和泉」こと柴崎和泉守(しばさきいずみのかみ)役を山口智充さん(41)、あらゆる兵書を読破した自称・軍略の天才、成田家の侍大将「靭負」こと酒巻靭負(さかまきゆきえ)役を成宮寛貴さん(27)が演じる。山口さんは「多勢の敵を少数で迎え撃つ勇姿や、妻子を持ちながらも命がけで戦い抜く精神に、男としてこういう男でありたいとあこがれます。どこか自分の中にもある、なまぬるく納まりたくはない、刺激を求めて生きたい! という気持ちを奮い立たせてくれる役だと思います」と役どころについて語った。成宮さんは「原作が話題になっているのは知っていたけれど、時代物か……と、何となく手を伸ばすのに抵抗がありました。台本をいただいてみて、想像以上に面白かった。面白すぎました」と作品についてコメントを寄せている。
「のぼうの城」は、和田さんの小説デビュー作であり、第29回城戸賞を受賞した「忍ぶの城」を、映画化を前提に小説として執筆。斬新で壮大な設定と愛すべきキャラクター描写で、幅広い層から支持を受け、第139回直木賞にノミネート、08年本屋大賞では2位を受賞。時代小説としては異例の40万部を超えるベストセラーとなっている。08年に花咲アキラさんの作画で「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)でマンガ化された。映画は11年に全国公開。(毎日新聞デジタル)
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