15歳の志願兵:「Nスペ」枠で終戦記念日に放送 池松壮亮が人生初の丸刈り頭で主人公を熱演

「15歳の志願兵」会見に登場した(左から)竜雷太さん、太賀さん、池松壮亮さん、高橋克典さん、福士誠治さん=NHK提供
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「15歳の志願兵」会見に登場した(左から)竜雷太さん、太賀さん、池松壮亮さん、高橋克典さん、福士誠治さん=NHK提供

 太平洋戦争末期、エリート中学生の集まる旧制愛知一中(現旭丘高校)の全校生徒700人が志願して戦場へ行くことを決めた実話を基にした終戦特集ドラマ「15歳の志願兵」の会見が23日、NHK名古屋放送局(名古屋市東区)で行われ、主演の池松壮亮(いけまつ・そうすけ)さん(19)や高橋克典さん(45)、太賀(たいが)さん(17)、福士誠治さん(27)らが登場した。17日にクランクインしたドラマに、主人公の藤山正美を演じる池松さんは「まだ始まったばかりですが、やっていてすごく苦しさも感じますし、事実に基づいた話ということで、今までになかった新たな終戦特集ドラマを作っていけたらと思いながら、みんなで頑張っています」と“人生初”の丸刈り頭で意気込んでいた。

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 主人公の父親で英語教師役を演じる高橋さんも「撮影が始まってまだ3、4日ですが、ずっと悲しいです。胸がつぶれるような……。でも、事実に基づいた話ですから、戦時中それが普通になっていたというのが、戦争がいかに異常なことであるのかということを世界中に提唱していけるのは日本だけだと思います。この作品にはいろんな角度から非常に思い入れがあります。みなさんに共感してもらえるように頑張っていきたいと思います。親子で、3世代で見ていただきたい」と呼びかけた。

 役作りのために初めて丸刈りにしたという池松さんに親友役で共演している太賀さんは「よく似合ってるよ!」と声を掛け、池松さんは「終戦特集ドラマをやるのだから(丸刈りにするのは)当然だと思いました。あの時代のドラマを作るにあたっての、敬意の表し方の一つだと思ったので、大丈夫でした」と照れ笑い。太賀さんも「時代ものをやるということで、普段の自分とは違う役作りをするというのは当たり前だと思いました。単純に気合が入ります!」と素直に答えていた。

 「15歳の志願兵」は、昭和3(1928)年に名古屋で生まれ、愛知一中に在籍した当事者の故・江藤千秋さんが遺族の証言や日記などの資料を基に書き上げた手記「積乱雲の彼方に 愛知一中予科練総決起事件の記録」を原案にした。昭和18(1943)年、海軍は航空兵不足を解消するため、全国の(旧制)中学校に予科練習生を強制的に割り当てたが、藤山正美(池松さん)が在籍する愛知一中では、名門校を自負している生徒たちの反応は冷ややかだった。志願者の少なさに焦った軍部は生徒への指導強化を命じ、7月に700人の生徒が集まった同校の柔道場で軍人たちが「時局講演会」を開いた。教師たちは「名門一中の生徒としてすすんで戦場に行くべきだ」と説き、「お国のために役に立ちたい」と使命感に目覚めた正美ら生徒たちは熱狂の中で次々に志願を誓う……という物語。

 校長役の竜雷太さんは「私は終戦のときには5歳でした。防空壕(ぼうくうごう)の中からB29を見た記憶のある、今となっては数少ない世代です。戦争が終わって時間がたつとだんだん忘れていきますが、時間がたてばたつほどこういう作品を年に一度は作ってほしいですし、また出演できてうれしく思います」と話した。出演はこのほかに鈴木砂羽さん、夏川結衣さんら。

 制作統括の磯智明チーフプロデューサーは「親や教師たちが子どもたちを戦場に行かせるということに対して、どう向き合ってどう対応したのかというそこの葛藤(かっとう)が大きなドラマだと思っています。その中で、2人の少年の友情が引き裂かれていくのですが、現代の人たちに、『なんともし難い状況の中で、どのように考えどのように生きていくべきか』ということを、このドラマを通じて考えてもらえればと思っています」と企画意図を説明した。

 ドラマはNHK名古屋放送局の制作で、8月15日の終戦記念日に午後9時~10時13分のNHKスペシャル枠で放送予定。(毎日新聞デジタル)

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