注目映画紹介:「フローズン」リフトの上に置き去りの3人 臨場感たっぷりのサバイバル映画

「フローズン」の一場面。
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「フローズン」の一場面。

 スキー場のリフトに乗ったものの、それが止まってしまった。係員が、客は全員帰ったものと思い込み、電源を落としてしまったのだ。しかもそこは、週末だけ営業するスキー場。標高3000メートル、氷点下20度の中に置き去りにされた若者3人が、その極限状態からいかに脱出するかを描いたサバイバル映画「フローズン」(アダム・グリーン監督)が7日、公開された。

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 幼なじみのダンとジョー、そしてダンのガールフレンドのパーカーが、スキー場にやって来た。日が落ち、吹雪が来るとの警告を受けた彼らは、最後の客としてリフトに乗り込む。ところが、係員の勘違いでリフトは止められ、3人は山に置き去りにされてしまう。

 止まったリフト。助かるためにはどうするか。飛び降りる、ワイヤを伝って柱まで行きそこから降りる、何もせずじっと待つ……それらが実行されるかどうかはここではくわしく書かないが、映画の大半はリフト上の3人のやりとりに費やされる。それが以外と退屈に感じない。彼らの会話に見え隠れする人間の弱さや浅はかさに共感し、彼らが取る行動もある程度、予測ができ、そこに“怖いもの見たさ”の心理が働くからだろう。“音”の使い方も巧妙で、その“痛さ”に顔をしかめることもしばしばだ。

 脚本も担当したグリーン監督は、日本では「HATCHET/ハチェット」(07年/日本未公開)というホラー映画のDVDが発売されているのみで、それほど知られていない。また、演じているケビン・セガーズさん、ショーン・アシュモアさん、エマ・ベルさんの3人も日本ではなじみの薄い俳優。ビッグスターが演じていないだけに感情移入しやすく、また、特撮を嫌い、実際にリフトの上で撮影しただけあって臨場感はたっぷり。

 背筋が凍るシチュエーションの数々。猛暑続きなので、映画館の中で涼むのにはいい。7日からシネクイント(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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