レオナルド・ディカプリオさんとトム・ハンクスさんが出演した映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」をもじったサブタイトル自体がこの映画の内容を物語っている。脇役俳優の中年男性が、初めての主役を手中に入れるためのドタバタ喜劇映画「脇役物語 cast me if you can」(緒方篤監督)が23日に公開される。無名塾出身の名脇役・益岡徹さんが、脇役がしみついたキャラクターのヒロシをチャーミングに演じる。欧米で活躍する緒方監督が原案・脚本・製作も手がけ、英語版の脚本からスタートしたというだけあって、外国映画のリメークを見ているような気にさせられる。
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私生活でも「誰か」に見間違われる万年脇役のヒロシは、大物劇作家の父(津川雅彦さん)からも半人前扱いされている。そんなヒロシにもついに仕事と恋のダブルチャンスが到来した。ウディ・アレンの作品の日本版リメーク映画で主役になれるチャンスが訪れ、偶然出会った女優の卵・アヤ(永作博美さん)との仲がいい雰囲気になるのだ。ところが、ヒロシは大物議員の妻・黒岩トシ子(松坂慶子さん)の不倫相手と間違われて、スキャンダルに巻き込まれてしまう。そのせいで、映画主演の機会も立ち消えに。主役を取り戻すためにヒロシは奔走するが……というストーリー。
アニメで始まる軽快なオープニングに期待感が募る。ほどなくして警官姿の益岡さんが登場し、その姿があまりにもなじんでいるのを見てほくそ笑む。その後、テンポよくヒロシの性格が提示されていくのだが、気付くのはヒロシの優しさだったり、人間らしさだったりでほろりとさせられる。しかし優しさと弱腰は紙一重で、仕事も恋もあと一歩というところで、空回り。人が四苦八苦する姿とはこうも面白いものなのかと高みの見物をしているような気分になる。でも、そのうちヒロシの温かい人柄に魅了され、視点が自然に登場人物に下りていく。恐らくこの人は、電車の中で寝入ってしまった隣の席の人に、黙って肩を貸すような人物なのだろう。
最初から自分が脇役だと気付いている人生は“強い”。真ん中ばかり歩いている人には見えないものが見えている。そんなことに気付かせてくれる映画だ。23日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(文・キョーコ/毎日新聞デジタル)
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