東京国際映画祭5日目の27日、コンペティション正式出品作「一枚のハガキ」記者会見に、新藤兼人監督、女優の大竹しのぶさん、俳優の豊川悦司さんが登場した。現在98歳の新藤監督は、日本最高齢の映画監督で「この映画は最後だということは、事実です。体が弱りましたし、頭も少し弱りました。それで続けていくのは限界だと思って、これが最後の映画だと宣言して作りました」と明かした。
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映画は、戦争末期に100人の中年兵が招集され、くじ引きで次の戦地が決められることになり、宝塚に赴任する松山啓太(豊川さん)は、フィリピンへ赴任となる森川定造(六平直政さん)の妻・友子(大竹さん)から一枚のハガキを託される。定造は自らの死を予感して、啓太が生き残ったら、ハガキを読んだと妻に伝えるよう依頼する。そして終戦後、生き残ったのは啓太を含んだ6人だけだった。啓太は故郷に戻るが待っている者はおらず、そしてハガキを持って友子を訪ねる……という物語。
32歳のときに召集された新藤監督は、100人のうちの94人が戦死して、生き残った6人の内の1人として終戦を迎えたという体験を語り、「94人の死の魂がずーっとつきまとって、これをテーマに生きていました。独立プロを立ち上げて、思いのままの映画を作ってきました。泣いていては映画は作れないので、雨が降ろうが、日が降ろうが泣かずにやってきました。大地にたたきつけられ、はいずり回るようにして映画を作ってきました。60年ほどたち、ふと気がつくと98歳になっていました。これで最後だと宣言して、映画作りを降りるつもりです。これからはわずかだと思いますが、映画のことを思って生きて行きたい。小さな映画人の小さな映画ですけれど、みなさんどうぞよろしくお願いします」と戦後の映画人生を振り返りながら、力強く語った。
作品について、「戦争をやってはいけない。人間を抹殺しますから、いかなる理由があってもやってはいけないということがテーマ。一人が戦死すると、その後方の家庭が破壊されます。一家が砕けてしまいます。私は戦争へ行きましたから、この体験を通じてドラマを書きました」と反戦の思いを話した。映画は11年夏全国で公開。(毎日新聞デジタル)
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