74年に放送され日本中でヒットしたSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」が、「ALWAYS 三丁目の夕日」などで知られる山崎貴監督が手がけ、「SMAP」の木村拓哉さん主演で、ついに実写化。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」が1日、全国で公開された。西暦2199年。正体不明の敵ガミラスの攻撃によって放射能に汚染された瀕死(ひんし)の地球。1年後の滅亡を回避するために、放射能除去装置を求めて銀河系のはるか彼方にあるイスカンダルを目指す戦艦ヤマトとその乗組員たちの雄姿を描く。
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かつてのアニメと骨格となるストーリーは変わらないが、変更点はいくつかある。主だったところを挙げると、酒飲みの船医・佐渡先生が、高島礼子さんふんする女医に変わっていること。黒木メイサさん演じる森雪が、レーダー手兼生活班長ではなく、戦闘班「ブラックタイガー隊」のエースパイロットであること。彼女は、木村さん演じる古代進に、過去の出来事から恨みを持っていて、それは彼に対する愛情の裏返しであること、などなど。さらに、ガミラスや放射能除去装置には新たな解釈が加えられ、ロボットのアナライザーがアニメーションでは見せなかった活躍を見せる。
ガミラスの描写も圧巻で、戦艦ヤマトとの戦闘シーンの迫力には舌を巻く。その一方で、アニメでは切羽詰まったギリギリのところで登場していたワープや波動砲が、わりとあっさり使われるのには物足りなさを覚える。とはいえ、木村さんをはじめとするキャストが、照れることなく自分たちのキャラクターに成り切っていたのは立派。とかくSF大作は苦手とされる日本映画で、山崎監督がここまでの迫力のある映像を表現できたことは称賛に値する。山崎監督のデビュー作「ジュヴナイル Juvenile」や「リターナー Returner」といったSF作品で磨いてきた腕がフルに発揮されたといえよう。
主題歌は、米ロックバンド「エアロスミス」のボーカリスト、スティーブン・タイラーさんの初ソロ曲「LOVE LIVES」。なお、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の生みの親であり、今作では原作者としてクレジットされている西崎義展プロデューサーが、11月7日に事故で急死した。公開直前の死は本人もさぞ無念だったろう。映画は1日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ)
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