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11月3日(日)放送分
WOWOWで11年1月3日午後8時に放送されるスペシャルドラマ「コヨーテ、海へ」は、シンガー・ソングライターの佐野元春さんとその音楽に影響を受けてきたという堤幸彦監督がコラボした映画的な作りの2時間ドラマ。この作品に出演した長渕文音さんに、役をオーディションでつかんだときの気持ちや林遣都さんとのアメリカでの撮影のエピソードなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「コヨーテ、海へ」は、全編に佐野さんの楽曲を使用し、佐野さんが影響を受けたジャック・ケルアックの「路上」に代表される「ビート・ジェネレーション」(1955~64年にアメリカ文学界で起こった新たな活動を行うグループ、またはその活動の総称)にオマージュをささげたロードムービー。映画「20世紀少年」「BECK」で知られる堤監督がオリジナル脚本を書き下ろした。長渕さんは、失踪をした父の秘密を探るためニューヨークにやってきた息子のハル(林さん)が最初に訪れた教会で、衝撃的な出会いをし、そのまま一緒にビートを探る旅に出るダンサー、デイジーを演じている。
−−ご自身の役柄について聞いたときはどう思いました?
こういう役柄のオーディションを受けるという話になったんです。そのときに、全部ではないんですけどオーディション用の台本を読ませていただいて、あと役柄についてちょっと聞いたら、絶対にやりたいなと思いましたね。
−−それはどうしてですか。
バレエダンサーを目指している女の子だったというのがまずあって、私も実際に10年間バレエをやっていて、絶対に(この役を)できるなという自信があったんです。あとはハーフっていうところで、(外見は)全然日本人っぽいけど、英語しゃべれるし、得意なものを発揮できると思いました。だから本当にやりたいなって。私じゃなかったら誰がやるのっていう気がしていました。
−−オーディションのときにけっこう手応えがあったんじゃないですか。
監督の前で踊るって聞いてたんですけど、踊りを見せずに終わったんですよ。英語のせりふと日本語のせりふを読んで終わったんです。どうなんだろうと思ったんですけど、最後に「結果は後日出ますので」といわれて、「じゃまた」と監督が言ったすぐ後に、プロデューサーがやって来て、「今、上でOKもらった」ってその場でいきなり言われて。私、びっくりしました。「えーっ」って。帰り道は、もうウキウキですよ(笑い)。「やったー」って。その場でOKで、すごくうれしかったです。
−−英語のせりふがネーティブかなと思うほど上手でした。ドキュメンタリー的な作品の中でも英語が浮いてないし、自然でした。英語のせりふは難しくはなかったですか?
難しさはありました。私はネーティブではないので、ネーティブの方の英語の発音やリズム感は、まねできない。どうやって自然に見せようかというときに、せりふをいいながら、アメリカ人独特の仕草だったり、相手との距離感だったり、日本語しゃべってるときでも、ちょっとハーフの子がしゃべるような日本語にしたりとか、意識的に、そういうのを心がけていたんですよ。だからネーティブに見えていたらよかった、成功ですね。
−−たまにちょっとうまく表現できなくて英語が混じっちゃうという雰囲気もすごくぴったりでした。
インターナショナルスクールに通ってたので、そういう女の子たちっていっぱいいたんですよ。独特なしゃべり方だとか、英語と日本語が混じっちゃってるような。
−−ビートについてすごい詳しくなくちゃいけない役で、その点は難しくなかったですか。
それまでビートのことを全く知らなかったし、見たことも聴いたこともないアーティストが結構いました。でも、知っている役だったし、せりふをただ読んでいるだけじゃ言わされてるみたいな感じになってしまうので、ビートのことを資料を読んだりして一から調べ直して勉強をしたし、ビートに影響されたロックシンガーたちの曲をずっと聴いたり。そしてせりふを何回も何回も言って、ビートのことを本当に知っているように自分のものにしていった。たぶんハルよりも私は知らなきゃいけないから、そこはけっこう大変でしたね。
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−−林さん演じるハルとずっと旅をするじゃないですか。撮影中の林さんとのエピソードは?
遣都君は面白い方でした。一見おとなしそうだなと思うんですけど、2人になって話すと、面白い話をしたりだとか、あと、かわいいなという部分が結構あって。弟みたいな感じでした。
撮影の最初の方で大雪が降っちゃってオフになった日があったんですけど、そういうときに2時間くらいマンハッタンの街を地図を一緒に見ながら散歩したんですよ。遣都君は英語がしゃべれなくて、私がしゃべれたので、いろんなところをちょっと案内したりして、実際に役柄のようにやってみました。「ねえ役についてどう思う?」とかの話もしました。それからけっこう仲良くなって。なんせキャストが(アメリカでの撮影部分は)2人だったので、すごく大切にしていただいたなという印象があります。遣都君はすごくまじめなんですよね。お芝居に対して。せりふとかも絶対に間違えないし。長ぜりふも。私なんかバンバン間違えてるのに。大事なシーンのせりふはもちろん間違えないし。目のお芝居がすごく印象的でした。遣都君はすごく大きくて印象的な目だから、目で語るお芝居というのができる俳優さんだと思いました。でもかわいい弟みたいな。
−−長渕さんがお父さんとお母さんの出会いの話をするシーンでけっこう長せりふでしたよね。あそこは難しくなかったですか。
難しくなかったですよ。あそこはすごく気持ちと感情が自然と入って、せりふも自然に出てくるような言葉だったので、あまり難しいと感じなかったんです。それ以外の説明文がすごく難しかったですね。「19xx年、ここでジャック・ケルアックは何々をして」みたいな説明文って感情が入らないじゃないですか。いかにも台本を読んでますっていうふうにしないで、どう表すかっていうのが難しかった。
−−実際のお父さん、お母さんのことを思い浮かべたりしましたか?
しなかった。日本人ですからね、お父さんもお母さんも。自分とは重ねたりはしなかったです。
−−林さんや長渕さんの若い世代、20代前半の生き方に迷っている人も共感できる作品に仕上がっていると思いますが、同世代の人たちにどういうふうに見てほしいですか。
ロードムービーなんですけど、その中に現代が抱える問題、家庭内の問題だったり、親と子で会話が全然ない家庭って結構社会問題になっているじゃないですか。そういう問題や現実的なことを考えて夢をあきらめてしまった人もいっぱいいると思う。私たちの年代にも実際に今、大学生なんですけど、就活の時期なので、これをやりたいけど、でも将来を安定させるために普通の仕事に就いちゃうっていう人もいる。そういう子がすごく多いんですよ。このドラマは、それでも夢を追い続けるという話じゃないですか。だから見終わったあとに50代の人も私たちの年代の人でも、何かしたいなというふうに思ったりとかできる作品なんじゃないかなと思います。
−−ウッドストックの出演したアーティストとか、ドラマと関係のある音楽とか今回で興味を持ってまた聴いてみたいと思いますか。
この作品で出会う前からボブ・ディランはちょっと聴いてたんですけど。やっぱりいいですよね。今でも聴いてます。ジミ・ヘンドリックスもそうだし、ジャニス・ジョプリンとかもそうだし。でも、やっぱりボブ・ディランはすごいなと思いました。本当に代表的な曲しか知らなかったんですけど、もっといろんな曲を聴いてみたい。
−−佐野元春さんの曲がずっと使われており、佐野さんの詩も劇中で読んだりしていますが、佐野さんの音楽について、この作品に出たことで印象が変わりましたか?
失礼な話なんですけど、佐野元春さんの曲を知らなくて。今回初めて佐野さんの曲を聴かせていただいたんですけど、出来上がったドラマを見て、ニューヨークの街並みやブラジルとか海外の街並み、とくにニューヨークに曲がすごくマッチしてたんですね。(最初は)ニューヨークに日本語の曲ってどういうふうになるのかなってちょっと不思議だったんですけど、作品を見たときに、佐野さんもビートに影響されてこういう曲を作ったんだなというのが、そしてビートの中の1人なんだということが映像を見て耳に入ってくる佐野さんの音楽を聴いて、実感しました。
−−2011年はどういう年にしたいですか。
とりあえず、大学を卒業したいです。そして、何かにいつも一生懸命になっている年でありたいです。何かはまだ分からないですけど、何か一つの作品に対してでもいいですし、大きな舞台でもいいですし、何かに対して自分がいつも一生懸命になって、一生懸命じゃないときがないような年だったらいいなと思います。
−−この作品は映画っぽい作りではありますけど、ドラマ初出演です。今後、テレビドラマにはどんどん出ていきたいですか。
お話があったら全然出てみたいと思います。私が好きなのはやっぱり映画の世界ですが、ドラマも、もしいいお話があればどんどんやっていきたいなと思います。
−−どんな作品に出てみたい?
はちゃめちゃな女の子の役とかやってみたいですね。もうすごくいっちゃってる女の子の役とか。すごいシリアスな暗い役とかもやってみたいですね。極端な役がやってみたいです。好きな映画は、(傾向としては)はヒューマンものですね。動物ものとかも好きですけど、絶対に泣くじゃないですか(笑い)。人間的でジーンと来るのが好きです。ロードムービーもすごく好きですし。海外の恋愛系もけっこう見ます。「プリティ・ウーマン」が超好きなので、何回も見てます。女性の夢ですよね。
<プロフィル>
長渕文音(ながぶち あやね)。1988年3月17日生まれ、東京都出身。4歳からクラシックバレエを習う。大学在学中。08年10月公開の映画「三本木農業高校、馬術部」(佐々部清監督)で主演し、女優デビュー。この作品で第32回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。WOWOWのドラマ「堤幸彦×佐野元春『コヨーテ、海へ』」に出演。
*……スペシャルドラマ「堤 幸彦×佐野元春 『コヨーテ、海へ』」は11年1月3日午後8時▽「佐野元春30周年アニバーサリースペシャル ALL FLOWERS IN TIME」11年1月3日午後10時▽「『コヨーテ、海へ』特番 BEAT GOES ON~ビートを探す旅~」11年1月3日午後2時
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2024年11月05日 14:00時点
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