アニメ質問状:「レベルE」 一筋縄でいかぬ登場人物 予測できない楽しさ

アニメ「レベルE」の一シーン 原作/冨樫義博「レベルE」(集英社「ジャンプコミックス」刊)(c)Yoshihiro Togashi 1995年-1997年(c)ぴえろ・テレビ東京/集英社
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アニメ「レベルE」の一シーン 原作/冨樫義博「レベルE」(集英社「ジャンプコミックス」刊)(c)Yoshihiro Togashi 1995年-1997年(c)ぴえろ・テレビ東京/集英社

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、宇宙一の天才的な頭脳を持ちながら、宇宙一困った性格の「王子」を中心にしたSFコメディー「レベルE」です。加藤敏幸監督に作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 −−作品の概要と魅力は?

 「レベルE」は、約14年前に冨樫義博先生が連載したSF連作マンガのアニメーションです。地球には数百種類の異星人が飛来しているが、気づいていないのは地球人だけというのが物語の背景です。そこにやって来た悪知恵の働くドグラ星第一王子が、巻きおこすトラブルを描いたSFギャグコメディーが主体の作品です。

 分かりやすいストーリーですが、話の構造が練りこまれているのが大きな魅力です。話としても面白い上に、セリフや伏線の細かい点でも考え込ませる深みがあります。楽しい話、悲しい話とどちらも楽しめる重層的なストーリーで「1粒で2度」どころか5、6度もおいしい(笑い)。基本は楽しく面白いので、視聴者には気楽に見てもらえたらと思います。

 −−制作の経緯、アニメ化するうえで心がけたことは?

 09年の夏ごろにお話をもらって「こういう作品(レベルE)をやらないか」とオファーがありました。テレビアニメ「ハンター×ハンター」の監督補をしていたこともあり、「この話も何かの縁」と喜んで引き受けました。(アニメの監督として話を受けた側なので)経緯は詳しく知らないのですが、作品の持つパワーがあったからこそで、アニメになるべくしてなったのではないかと思います。

 一番心がけたことは、作品のイメージを損なわないことです。原作のままということではなく、いい意味で原作の良さをアニメで出したかったんです。完成してみて、原作の持つ力を制作陣と役者で引き出せたのではないか、と思っています。

 −−作品を作るうえでうれしいこと、逆に大変なことは?

 「レベルE」のようなバラエティーに富んだ作品に巡り合えたのがまずうれしかったです。シリアスならシリアス、ギャグならギャグというアニメが多い中で、それぞれ全くテイストの異なったオムニバスの話を描けることはなかなかありません。1~3話を見た後に、4話を見るとまったく違うアニメのようですし、5話からのカラーレンジャーは特撮戦隊モノのパロディーで、90年代前半のノリを表現で楽しんでもらえると思います。王子だったらこれぐらい作るだろうと、カラーレンジャーの主題歌(作詞は監督が担当)を作ったりもしました。

 逆にうれしいことがそのまま大変なことです。エピソードによってテイストが全然違うため、美術スタッフ、色指定スタッフなどに本当に大変な思いをさせてしまいました。やり遂げてくれたスタッフには本当に感謝しています。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 各話の登場人物が一筋縄ではいかないため、毎回何が起きるか予測できない楽しさがあります。また王子のたくらみに巻き込まれるクラフトや雪隆の翻弄(ほんろう)されっぷりも見どころ。ぜひご覧いただければと思います!

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