江:大坂城 「秀吉の部屋」と「大広間」公開 “成金”秀吉の象徴

「江 姫たちの戦国」大坂城のセット 奥御殿の大広間
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「江 姫たちの戦国」大坂城のセット 奥御殿の大広間

 女優の上野樹里さん(24)が主演するNHK大河ドラマ「江 姫たちの戦国」の大坂城のセットでの撮影が始まり21日、報道陣に3姉妹の部屋に続き、最も豪華な秀吉の部屋と大広間が公開された。公開された2部屋は、政治を行う表御殿ではなく、プライベートな生活空間となる裏御殿で、大広間は客人ではなく家族や近しい家臣などを呼び、女性も訪れたという。

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 「江」は、織田信長の妹・お市と近江の戦国武将・浅井長政との間に生まれた“浅井三姉妹”の三女・江が、波瀾(らん)万丈の戦国時代をしなやかに生き抜き、江戸時代の幕開けを見届ける様を描くドラマ。

 大坂城は1583年に、秀吉が石山本願寺跡に築城を開始。本丸に約1年半が要され、その後も手を加えられて難攻不落の名城と呼ばれた。5層の天守閣で鯱瓦(しゃちほこがわら)や飾り瓦、軒丸瓦、軒平瓦などに金を用い、奥御殿にも金銀の装飾を施したほか、各階に財宝を納めるなどし、絢爛(けんらん)豪華だったと知られている。秀吉の死後、1614年に大坂冬の陣によって三の丸、二の丸を埋め立てられ、1615年の大坂夏の陣で落城、焼失した。

 金一色の秀吉の部屋は茶々の部屋と同じ15畳。読書家の秀吉という設定に合わせて、書見台と書物が設置された。桃山建築の特徴である床の間や付書院(つけしょいん)などがあり、豪華な黒漆塗りの床の間は、アクリルで表現している。織田信長の安土城内の部屋が金を施した部屋であったことから、大坂城担当の犬飼伸治・専任ディレクターは「秀吉もそれを見習って金で構成したかったんじゃないかと思う」とし、「成金趣味の秀吉の権威の象徴、姫たちを思うまま自由に扱う秀吉」をイメージしたと解説した。

 大広間へ向かう途中の中庭の木々は、立派な松や岩、ソテツを選び、威厳を表す配置にしている。奥御殿の中の観賞用の庭で吹き抜けとなっており、見上げると天守が見られる設定となっている。瓦の一部は赤く染められており、犬飼ディレクターは「大坂城出土品の中に赤く染められたものが見つかったので、ドラマにも取り入れてみた。ほかにも画面としての印象をちょっとずつ変えて、実際より広く見せる工夫をしている」と細部へのこだわりを語った。

 一番豪華な部屋となる奥御殿の大広間は、別名「対面所」といわれ、秀吉と対面する場所。段を一段上げ、さらに置き畳を置いて位の違いを表現している。狩野派のびょうぶ絵を参考にしているという背面の絵は、過去の大河ドラマ「葵 徳川三代」で使われたものを修正しながら使っており、ドラマでは、秀吉の母や妹たちが田舎から訪ねてくる場面の撮影などで使う予定だという。「折り上げ格天井」といわれる豪華な天井は、今回の「江」のために作ったもので、代表的な書院造りの様式で、絵はデザインチームが西本願寺を参考に模様をアレンジしたという。部屋の横にある「帳台構え」は当時の建築に施されている飾りの納戸となっているが、美術チーフの丸山純也・専任ディレクターは「別名『武者隠し』といわれるもので、黒澤映画などでは、この中に実際に武者が隠れていました」と説明し、報道陣を感心させていた。大坂城は4月10日の放送から登場する。(毎日新聞デジタル)

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