吉瀬美智子:スラムの子らに授業 「ハガネの女」初回SPでマニラロケ

フィリピンのスモーキー・マウンテンで撮影をした吉瀬美智子さん=テレビ朝日提供
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フィリピンのスモーキー・マウンテンで撮影をした吉瀬美智子さん=テレビ朝日提供

 女優の吉瀬美智子さん(36)が熱血小学校教師を演じる連続ドラマ「ハガネの女」(テレビ朝日系)の4月にスタートする「シーズン2」初回2時間スペシャルでフィリピンロケを行い、吉瀬さんがマニラのかつてスモーキー・マウンテンと呼ばれたゴミの埋め立て地で現地の子どもたちと撮影してきたことが8日、明らかになった。

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 「シーズン2」の初回は、ハガネこと芳賀稲子(吉瀬さん)が受け持つ4年3組に転入してきた外国籍(架空の「セラヴィナ」国籍)の少女・タオ(黒崎レイナさん)と、同級生の子どもたちとの間に騒動が巻き起こる。不法入国で両親が国外退去となったタオが、やがて送り返されることになる国の実情を日本の子どもたちに伝えるため、ハガネが単身で現地に赴く……という設定。

 撮影が行われたのは、フィリピンの首都マニラの北西部に位置するトンド地区にあるゴミの最終処分場。95年に閉鎖したが、山のように積み上げられたゴミが自然発火し、煙を出す様子から「スモーキー・マウンテン」と名付けられた。貧困地域として世界的に知られるスラム街で、正確な統計はないが東京ドーム約195個分の広さに約60万人が住むといわれる。現在は管理者によって立ち入りが厳しく制限されているが、ゴミ拾いで生計を立てている人たちの居住区でもあり、多くの子どもたちが仕事を手伝いながら家族と暮らしている。整地はされておらず、家はいわゆる掘っ立て小屋で、下水設備はなく、悪臭が漂っている。

 当日は断続的に雨が降り続き足元がぬかるむ中、埋め立て地にある学校での授業シーンを撮影した。柱に屋根をふいただけの教室に現地の子どもたち約30人が集まり、「アクション!」の声と同時に元気な声とはじけるような笑顔をカメラに振りまいた。吉瀬さんは、そんな子どもたちの屈託のない笑顔に吸い寄せられ、スラム街を抜けて学校にたどり着く場面を撮影。「転ばないよう気をつけた」と、泥とゴミで滑りやすい足場だったが走るシーンに何度も挑戦した。

 撮影後、吉瀬さんは日本ではあり得ない環境を目の当たりにし、「最初は正直、ここで撮るのかとショックでした」という。いざ撮影開始となったら、いつものようにハガネスイッチをオンにして、「ハエがとまっても気にならなくなった」と笑顔で答えた。ただし、吉瀬さんの唇を奪ったハエもいて、これには「さすがにヤバい!」と焦ったとか。

 撮影の途中のスチール撮影では子どもたちが瞬時に吉瀬さんを取り囲み、「いきなり腕まで組まれて緊張した」という。だが、「物ごいもしないし、順番も待てる。用意された食事を親や兄弟に持って帰る子どもたちもたくさんいて、きちんとしつけられている」と感心したという。子どもたちの笑顔も印象深く心に残ったという。「みんな健康で、幸せそうでもあった。リアルってこうなんだ」と、写真で見ていただけでは分からなかった現実に「静止画が動画になった感じ。この場所で、現地の子じゃないと表現できないものをもらいました。日本に帰ってから、ここでの様子を4年3組の子どもたちに伝えるシーンが残っているのですが、演技が違ってくると思います」と、過酷な条件の中での撮影で確かな手応えをつかんだようだ。

 「ハガネの女」は、深谷かほるさんがマンガ誌「YOU」(集英社)に連載した人気マンガが原作。マンガは舞台を小学校から中学校に移し10年11月に再開している。吉瀬さん演じるヒロイン「ハガネ」こと芳賀稲子は35歳独身。恋人もなく、貯金も定職もない。前任の小学校を寿退職するも、挙式直前に婚約破棄され、臨時採用で小学校の教師に復帰しどんな試練にもくじけない“ハガネの女”として崩壊する学級に挑む姿を描いたヒューマン作。昨年5月に午後11時台の「金曜ナイトドラマ」枠で放送され、サッカーW杯中継と時間帯が重なるという厳しい条件だったが、最高視聴率12.7%、全7話の平均でも10.3%を獲得。視聴者からの熱いアンコールの声を受けて、同局系ドラマとしては異例の早さで4月からゴールデン枠に昇格する。毎週木曜午後9時放送予定。(毎日新聞デジタル)

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