元女優・酒井法子さんの覚醒剤事件を題材にした街田しおんさん主演の映画「刹那」(笠原正夫監督)のトークショーが8日、東京・西新宿のライブハウス「CLUB DOCTOR」で行われ、街田さんらが登場した。酒井さんの事件を追う女性週刊誌の記者を演じた街田さんは、映画について「(スキャンダルではなく)自分の授かった命を自分で縮めてしまう覚醒剤は避けないといけない。周りの人にも悲しい思いをさせてはいけない、それを伝える映画となっています」と語った。街田さんは、阪神大震災で被災した経験を語り、「地震が起こってすぐは気が張り詰めていて、先も見えない。元の生活が戻ってこない不安があると思う。今回の震災もあって、命について考えることが多くなりました」と被災者を思いやっていた。
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出演の経緯について、街田さんは「酒井さんは私にとっても大先輩で、すごくテレビを見ていた方だったので、何か悪く言うような映画だったら出演をやめようと思っていましたが、台本を読むと反ドラッグ映画であって、酒井さんを攻撃する内容ではなかったのでお受けしました」と明かした。酒井さんについては「劇中にも『新しい一歩を踏み出していただきたい』というせりふがある。(6日に)テレビで薬物犯罪を防ぐPRで中国の北京で大使として活躍する姿を見て、新しい一歩を踏み出しているんだな、と感じました」と話した。笠原監督は、酒井さんにインタビューという形で出演を依頼していたが、断られていたことを明かし、「執行猶予が終わって、女優として復帰するまで仕事はしないと言っていたが、復帰は女優でじゃないんだと思いました」と残念そうだった。
映画は、故・梨元勝さんの「酒井法子・隠された素顔」を原作に、酒井さんの覚醒剤事件を通し、小、中学生の身辺にまで広がる覚醒剤や大麻、MDMAといった薬物摂取の絶望と孤独感を描いた。09年8月、酒井さんの事件の取材や原稿に追われる女性週刊誌「レディースウィーク」の記者・友田美奈子(街田さん)を主人公にしたドラマを軸に、薬物についての正確な知識や恐怖を身に着ける大切さを伝えるために、主人公の取材という形で実際の薬物依存者が出演したり、劇中のテレビ画面で梨元さんがリポートをするなど、数々のドキュメンタリーがちりばめられ、すべてのドラッグ犯罪を撲滅する意図で製作されたという。
同映画は「CLUB DOCTOR」で30日まで先行上映中(27日は休演)。本公開は全国のミニシアター約50館と調整中で、今夏を予定している。笠原監督は先行上映について「被災地の薬物依存者のリハビリ施設も、精神的につらい状況で薬物再使用の誘惑と戦っている。偏見があって施設に物資が届かないことがあるので、この映画を見ていただいて、薬物依存への理解を深めてもらいたい。東北のみなさんに何らかの支援をしていただきたい」と呼びかけていた。(毎日新聞デジタル)
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