初監督作「ドロップ」がヒットした、お笑いコンビ「品川庄司」の品川ヒロシ監督の待望の新作「漫才ギャング」が公開中だ。留置場で知り合った2人の若者、黒沢飛夫と鬼塚龍平が、漫才コンビ「ドラゴンフライ」を結成し、人生の敗者復活戦に挑むヒューマン作。飛夫と龍平を演じるのは、佐藤隆太さんと上地雄輔さん。「漫才師を演じるのはすごくハードルが高かった。でも品川監督が『隆太で』と指名してくださったことを信じるしかなかった」と話す飛夫役の佐藤さんに聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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−−今回の題材は漫才です。テンポが大事だったと思いますが。
確かに、全編通して“リズム”が一番の課題でした。芸人さんが普段会話しているテンポというのは、普段の僕らの会話より速いし、間も絶妙です。そのリズム感は特に気をつけました。
−−役作りはどのように。
限られた時間の中でしたけど、劇場に行って生でお笑いを見たり、DVDを見たり。それから、マネジャーや、映画の中で僕の元相方・石井保を演じた「ピース」の綾部祐二さんにも無理をいって、神社でのネタ合わせに付き合ってもらいました。
−−ライブ感を大事にしたいという品川監督の考えで、漫才シーンの撮影は実際にお客さんを入れて、テストなしの一発勝負だったそうですね。
賭けですよ、賭け。緊張しました。でも最初の笑いが起きた瞬間、ホッとしました。そこから先は役者である自分が胸を張って、舞台の上で漫才する機会なんてめったにあるもんじゃないですから、(演じることを)楽しもうと気持ちを切り替えました。
−−とてもさまになっていました。これを機会に漫才界に足を踏み入れてみようとは思いませんでしたか?
とんでもないっす! 今回は映画という守られた環境の中だからこそ胸を張ってやれましたが、実際だったらたたかれまくりですよ。そんなに甘い世界じゃありません!!
−−佐藤さんが演じる飛夫は、映画の前半と後半では人間的に変わります。前半の彼は漫才に向いていなかったように思います。
向いていないというより不器用だったんですね。変に意地を張っていて、あるはずの才能が他人に伝わりにくくなっていた。でも後半は、彼も成長した分、素直になれて周囲の人にも甘えられるようになり、本領を発揮できるようになるんです。
−−共感できましたか?
似ている部分はたくさんあります。例えば環境。飛夫も僕も仕事を10年やってきて、30歳を迎えた。この年齢というのは、誰でも一度は立ち止まる時期だと思うんです。僕は、とても恵まれた環境で仕事をやらせてもらっていますが、それでももう1枚、殻を破りたいという欲のようなものがあります。そのあたりが飛夫の思いと重なりました。
−−ガンダムおたくの小渕川(ロバートの秋山竜次さん)というキャラクターが、これまた強烈な個性を発揮していました。飛夫と彼を見ながら「好きなものがある人間は強い」と改めて思いましたが、佐藤さんにとって「これがあるから強くなれる」というものはありますか?
強くはないですけど、やっぱり芝居ですね。幼いころからやりたかったことだし、その夢があったからずっと前向きにやってこられた。芝居の魅力は、いろんなキャラクターのいろんな人生を生きられるところ。それに、人々に希望を与えられること。「あれを見て笑いました」とか「元気が出ました」といわれると、僕自身すごく力がわくし、そういう仕事に携われているということがうれしいんです。
−−改めてこの作品をアピールすると?
漫才、アクション、恋愛、夢を追い続けることだったり、青春だったり、そうしたテーマが、詰め込み過ぎというくらい詰め込まれています。それらが品川監督指揮の下、とてもバランスよくちりばめられているので、どんな方が見ても楽しめる作品になっています。ですから安心してこの作品を選んでほしいと思います。自信を持っておすすめします!
<佐藤隆太さんのプロフィル>
1980年生まれ、東京都出身。99年、宮本亜門さんが演出した舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。以降、テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(00年)、「木更津キャッツアイ 」(02年)などヒット作に出演。映画は「木更津キャッツアイ」シリーズ(03、06年)や「ガチ☆ボーイ」(08年)、「THE LAST MESSAGE 海猿」(10年)などに出演。熱血教師・川藤幸一を演じたドラマ「ROOKIES」(08年)は高視聴率を記録し、のちに劇場版「ROOKIES−卒業−」(09年)が作られた。この作品は09年の国内の興行収入ランキング首位の座につく大ヒットとなった。初めてハマった日本のポップカルチャーは「キン肉マン」。「マンガ、アニメを両方読んだし、見ていました」とか。
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