ダバディー:全仏オープンの見どころはシャラポワ選手 仏映画特集もスタート

WOWOW全仏オープンテニスのナビゲーターと「フランス映画が観たい!」の進行役を務めるフローラン・ダバディーさん
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WOWOW全仏オープンテニスのナビゲーターと「フランス映画が観たい!」の進行役を務めるフローラン・ダバディーさん

 5月22日から始まった全仏オープンテニス。6月に入り、試合はいよいよ佳境を迎えている。WOWOWでは試合の模様を連日生放送中。番組でナビゲーターを務めるフローラン・ダバディーさんに全仏オープンテニスの見どころと、進行役を務める6月のフランス映画特集との連動企画番組「フランス映画が観たい!」について話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 全仏でダバディーさんが注目していたのが日本の女子テニスの森田あゆみ選手だ。ダバディーさんは今大会前、森田選手について「新しいトレーナー、野茂英雄さんのトレーナーだった方(大川達也さん)がついてさらに体が強くなっている。映像で見る限りはタフになりました。プラス(森田選手は)楽しんでいる。彼女はプロ意識が高くて、『楽しんでいいのかな』っていうのがあったと思うんだけれど、今は自分のテニスに自信があるから楽しんでいる」と内面的な成長を認めていた。

 森田選手は1回戦でクリスティーナ・ムラデノビッチ選手(フランス)を降した。1回戦を終えた後のインタビューで森田選手は「強い選手は気持ちの面がしっかりしていて、試合で自分がちょっとでも隙(すき)を見せると、勝てるものも勝てなくなる。テニスだけでなく気持ちの勝負もあるということを最近学んで、どうすれば接戦をものにできるか分かってきました」と答えている。試合を重ねるうちに気付いた確信のようなものが、森田選手を初の1回戦突破へと導いたのは間違いなさそうだ。残念ながら、森田選手は2回戦でヤニナ・ウィックマイヤー選手(ベルギー)と対戦し敗れたものの、彼女にとって今大会での経験は約1カ月後に迫ったウィンブルドンや今後の試合への糧になるに違いない。

 ダバディーさんが注目するもう1人の選手が日本でも人気が高いロシアのマリア・シャラポワ選手だ。「(シャラポワ選手は)グランドスラムで全仏オープンが一番苦手。彼女は背が高いからクレー(赤土)でのプレーが得意ではないと思いこんでいる。でも彼女のサーブやストロークを見ていると全仏で絶対活躍できる」とダバディーさんが予言していたとおり、大会9日目の5月31日、シャラポワ選手は2年ぶりに準々決勝に進出した。

 ダバディーさんは「99年にアンドレ・アガシ選手(米)がそれまで唯一取っていなかった全仏(オープン)で優勝を果たしたけれど、シャラポワ選手に似ている。彼は(当時)全仏は勝てないと思っていて、チャンスも逃したと思っていてランキングも上ではなかった。けれどスーパー選手にはそういう(勝てる)運命がある。フランス人のファンも(シャラポワ選手)にシンデレラストーリーを期待しているんじゃないかな」と語った。

 シャラポワ選手といえば、試合中の叫び声が特徴だが、「女性はエレガントでなければいけない」と思っているフランス人にとっては不評だそう。それを指摘されたシャラポワ選手は「(叫ぶのは)私のスタイル」と信念を曲げなかったという経緯がある。しかし、ダバディーさんは「優勝するためにはフランスのファンを味方にしないといけない」といい、「(シャラポワ選手はうまくいかないときに叫ぶので)彼女のテニスが本当によければ叫ぶ必要はない。今大会でフランスのファンと仲直りし、優勝するとしたらそれは本当にシンデレラストーリー。(そういう意味でも)今回はシャラポワ選手を見てほしい。私も応援しています」とエールを送った。

 さて、全仏オープンも佳境を迎えてますます目が離せないが、ダバディーさんとモデルで女優の美波さんが進行役を務める「フランス映画が観たい!」が1日から始まる。WOWOWの6月のフランス映画特集との連動企画で放送する映画についての解説やパリでの取材風景を織りまぜながらフランス映画雑誌の編集部や映画館、ロケ地などを紹介する番組だ。

 ダバディーさんによるとフランス映画界は「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」でフランス人にとっては国民的に愛されているシャンソン歌手、エディット・ピアフを演じたマリオン・コティヤールさんや「モリエール 恋こそ喜劇」のロマン・デュリスさん、日本でも公開中の映画「ブラック・スワン」のヴァンサン・カッセルさんなど「昔の日本人が好きだった(かつての)フランスの男優・女優に負けない存在感のある女優や俳優がそろっている成熟期」という。特集のラインアップも「パルムドール(カンヌ映画祭最高賞)受賞作品(『パリ20区、僕たちのクラス』)もあるし、フランスならではのユーモアのあるサスペンス『華麗なるアリバイ』などフランスのエスプリが漂うラインアップがそろっている」と自信をのぞかせる。

 WOWOWでは全仏オープンテニスを5日まで連日生中継。「フランス映画が観たい!」は1日から15分版(午後8時35分~)と、特集放送直前に5分版を放送。特集ラインアップは「パリ20区、僕たちのクラス」(6日午後4時45分)、「華麗なるアリバイ」(7日午後9時)、「ずっとあなたを愛してる」(8日午後8時)、「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」(8日午後10時)、「あの夏の子供たち」(9日午後5時5分)、「モリエール 恋こそ喜劇」(9日午後7時)、「すべて彼女のために」(9日午後9時15分)、「オーケストラ!」(10日午後5時5分)の8作品。

 <プロフィル>

 フローラン・ダバディー。1974年11月1日生まれ。パリ出身。98年、映画雑誌「プレミア」の編集者として来日。同時に当時のフィリップ・トルシエ・サッカー日本代表元監督の通訳に抜擢(ばってき)され、パーソナルアシスタントに。テレビのキャスター、解説者を務めるほか、ライター、テレビやラジオ番組のナビゲーターとしても活躍中。

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