注目映画紹介:「デンデラ」 浅丘ルリ子、草笛光子らが“うば捨て山”でたくましく生きる女性を演じる

「デンデラ」の一場面 (C)2011「デンデラ」製作委員会
1 / 1
「デンデラ」の一場面 (C)2011「デンデラ」製作委員会

 春の叙勲で旭日小綬章を受章した浅丘ルリ子さん(70)が主演する映画「デンデラ」(天顔大介監督)が25日、公開される。浅丘さんのほか、草笛光子さん(77)、倍賞美津子さん(64)、山本陽子さん(69)、赤座美代子さん(67)といったそうそうたる大ベテランの女優陣が、“うば捨て山”に捨てられた後、たくましく生き抜いていく年老いた女性を演じる。

あなたにオススメ

 映画は佐藤友哉さんの小説を映画化。天願監督の父、今村昌平監督が“うば捨て伝説”を描いた深沢七郎さんの小説を映画化した「楢山節考」(83年)のその後の世界を思わせるような作品で、「楢山節考」と同じ美術スタッフを迎えた。

 雪深い貧しい山間の村で、70歳になった斎藤カユ(浅丘さん)は、息子に背負われて山に参る。極楽浄土に行けると信じながら倒れ込んだカユだったが、目を覚ますと知らない建物の中におり、そこはこれまで“お山参り”をしたはずの老いた女性たちが暮らす「デンデラ」という場所だった。創始者の三ツ屋メイ(草笛さん)は30年前にこの共同体を作り、カユでちょうど50人目となった今、これまでの恨みをはらすべく、村を襲撃すると意気込んでいる。だが、椎名マサリ(倍賞さん)らは襲撃に反対だった。カユは、どちらの派閥にも同調できないでいたが、村にいたときの親友・黒井クラ(赤座さん)に再会。「早く極楽に行きたい」と言っていたはずのクラの本音を聞いたカユは、気持ちが揺れる……。

 なんて勇ましいのだろう。アクションあり、スプラッターありで、雪深い風景の中、アニミズム的パワーがみなぎっている。生きる目的を復讐にかける派と、波風立てずに冷静さを保つ理想派に分かれる中、ヒロインのカユがどう生き方を選択していくのかにハラハラしていると……クマが! もう、ずっとハラハラし通しだ。そして、ハラハラしながら、生きることとは死ぬまで苦難と選択の連続なのだと思わせられる。

 極寒と猛吹雪が襲う過酷な環境のロケは、見ているだけで凍えそうな気分になるが、さすがはベテラン女優陣。よくぞこの環境の中で芝居をこなしたな、とあっぱれという気分にさせられる。貧しい衣装をまとっても、浅丘さんの眼力は高貴で、カユの生命力を見事に物語っている。25日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

映画 最新記事