上川隆也:BBCのドキュメント番組で自然の驚異を体感 「ヒューマン・プラネット」ナレーション

WOWOW「ヒューマン・プラネット」でナレーションを務める上川隆也さん
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WOWOW「ヒューマン・プラネット」でナレーションを務める上川隆也さん

 俳優の上川隆也さんがナレーションを務めたネーチャードキュメンタリー番組「BBC EARTH 2011」の第5弾「ヒューマン・プラネット」が23日にWOWOWで放送される。上川さんはオファーを受けて、「とても壮大な地球をテーマにした番組に興味を持った。(ナレーションを)ぜひやらせてほしいとお返事しました」と話した。上川さんに番組の魅力について聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「BBC EARTH 2011」は、BBCが壮大なスケールのパノラマ映像から超高精細カメラでとらえた一瞬に宿る生命の輝きまでハイビジョン映像で撮影した番組で、WOWOWで毎週土曜午後9時に放送している。中でも、今回放送される「ヒューマン・プラネット」は、BBCの自然ドキュメンタリーの中でもユニークな試みが行われた意欲作で、すべての生物の中で、唯一どんな環境でも生き抜ける存在は人間なのかもしれない、という仮説に基づき、知恵と技術を駆使して、多彩な環境の中で生きる人々に密着している。

 ナレーションは「好きな仕事」だという上川さんは、「声だけでの表現で、一つ一つの枠に収めるという時間の制約がある。それを連ねていって一つの作品になるという表現の制約が僕にとっては面白い。お芝居では体験できない」と魅力を語る。NGは何度もあったといい、「言い間違いのほか、声だけで伝わりきらなくて納得できないところをやり直したり、さまざまです」とナレーションへの思い入れを語った。

 上川さんは、番組について「一視聴者として映像の臨場感に圧倒されました。撮影の手法も含めて、視聴者の方がまさに体験しているかのように、人々の生活を見ることができる。その迫力を僕自身とても楽しませていただきました」と興奮気味に語った。上川さんが印象に残っているのは、壮大な自然の中の人間より、大自然の危険と隣り合わせで生きている人たちだという。「海と人類」をテーマにした第1話では、細く長いチューブで息をしながら海底に潜って漁をする少年などが紹介されている。上川さんは「度肝を抜くような生活が見られる。そんな不思議な映像が全編を通して見られる」と驚く。

 上川さんにとって自然の驚異を感じた瞬間は? 「僕に限らず、3月11日になるんでしょうね」といい、「僕はドラマの撮影地への移動中でした。今思っても背筋が寒くなるような、記憶ではなく体験。今の日本人はみんなそうなんじゃないでしょうか」と振り返った。震災後は「僕の自宅は(震災直後に)停電に見舞われて、電気が毎日つくことが、とてもありがたいことだと分かりました。小さなことですが、節電には気を配るようになりました。車が動くことは当たり前じゃなかった。大きく何かを考えるではないですけれど、そういう思いを大事にしたいなと思います」と語った。

 番組は海のほか、砂漠、北極圏、熱帯密林、高山などさまざまな環境に対応した人類の日常をとらえている。上川さんは「いろんなステージを描いているんですが最後は『都会』で終わる。すべてが自然を描くのではないというのが、このシリーズの特徴かな」と紹介する。冒頭の「地球はヒューマン・プラネットなのだ」というナレーションに、「個人的にちょっとした違和感を感じていた」という上川さんだが、「収録の一番最後の部分を読んだ瞬間、その理由が分かった。全8話通して見て、すべてを受け取っていただきたい。そうすればこの番組の本当のメッセージが分かっていただけると思います」と力を込めて番組をPRした。

 番組は23日から毎週土曜午後9時に放送。全8話。初回のみ午後8時50分からの拡大版となる。

<プロフィル>

 かみかわ・たかや 65年5月7日生まれ。東京都出身。中央大学経済学部在学中の89年に演劇集団キャラメルボックスに入団。NHK70周年記念日中共同制作ドラマ「大地の子」(95年)に主演。98年放送のドラマ「青の時代」(TBS系)でザ・テレビジョン最優秀助演男優賞を受賞。「日刊スポーツ ドラマグランプリ」では第2回から4年連続で助演男優賞を受賞している。NHK大河ドラマ「功名が辻」(06年)では山内一豊役で主演を果たした。09年7月には演劇集団キャラメルボックスを退団。舞台やテレビ、映画など幅広く活躍している。

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