プロジェクトV:WOWOW加入者が吹き替えで映画制作 仕掛け人が思いを語る

お笑いコンビ「バッファロー吾郎」(左)も参加した「プロジェクトV」ボイストレーニングの様子
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お笑いコンビ「バッファロー吾郎」(左)も参加した「プロジェクトV」ボイストレーニングの様子

 WOWOWのフルハイビジョン3チャンネル化を記念して行われる36時間の無料生放送「WOWOW大開局祭」(10月1日午前10時~2日午後10時)の一環で、ジャッキー・チェンさん主演の香港映画「プロジェクトA」に加入者の中から選ばれた人が声優として参加する企画「プロジェクトV」が放送される。番組の仕掛け人、編成制作局映画部の白戸洋行さんが、都内のスタジオで取材に応じた。同企画は、加入者が声優に挑戦した映画本編を放送するだけでなく、オーディションからボイストレーニング、緊張のアフレコ本番などに密着したドキュメントも同時に放送する。白戸さんは「プロの声優と一緒にやるんだから厳しくしています。アフレコ本番で恥ずかしくない形で収録させたい」とプロジェクトにかける真剣な思いを語った。 

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 取材日、スタジオでは参加者がボイストレーニングを行っていた。トレーニングには、発声や歌のレッスン、アフレコ演習はもちろん、精神の鍛練を目的とした空手の授業など、ユニークな内容も組み込まれており、チェンさんのマニアックなファンで、「プロジェクトV」のサポーターを務めるお笑いコンビ「バッファロー吾郎」も空手のレッスンに参加した。 

 「プロジェクトV」で参加者は、第一線で活躍するプロの声優の石丸博也さん、水島裕さん、古谷徹さん、戸田恵子さんらと一緒に「プロジェクトA」吹き替え版を収録し、音響効果を昔ながらの方法で作ったり、映画のテーマ曲(「東方的威風」)を全員で合唱するなど、映画作りを一から体験する。8月に加入者限定で希望者を募集したところ、東京都内で30時間の厳しいレッスンに参加できる人という条件ながら、13~62歳と幅広い年齢層から約150人の応募があり、ウェブ選考(第1次選考)、面接とボイステスト(第2次選考)をへて、5人が選ばれた。

 1人目は昨年会社が倒産して、人生の転機がほしいと応募した現在無職の40代男性。2人目は広東語と北京語をマスターしてしまうほどの中国映画好きで、中でもジャッキー・チェンはものすごく好きで、香港に一時移住したほどだという紅一点の女性。3人目は声優学校に通っていて、これをチャンスにしたいという声優の卵の男性。4人目は旅行が好きで、あちこち行っていたら鉄道オタクになってしまったという30代の男性。5人目は50代の広告プランナーの男性で、東日本大震災で元気をなくした子どもたちの笑顔が見たい、何か自分が役に立てないかという思いで参加しているという。

 白戸さんは「みんなバラバラですが思いが強い。面接はものすごく面白かったけれど、ボイステストの結果がひどい人は残念だけれど落としました。結果的に個性のある人たちが残りました」と参加者について語り、「本当にただ単にクオリティーを考えて吹き替え映画としていいものを作るなら、オールプロの声優で作るのが一番だが、こういうちょっと凸凹したものも面白いんじゃないか」と特徴をアピール。レッスンを受けた参加者の反応は、「面接の時に『レッスンがきつい」』と伝えていたが、レッスン後に『本気ですね』と言われた。『ここまでやらされるとは思っていなかった』というのが、参加者の感想です」と笑った。

 同局では、海外ドラマの日本語版制作は手がけているが、映画の吹き替え版の制作は初めて。白戸さんは「ずっとオリジナルのキャストで映画の日本語吹き替え版を作りたかった。今回が成功すれば今後もオリジナルキャストでできるかもしれない」と期待を込めた。「すごく身近で、共感できるような素人の加入者たちが厳しいレッスンを一生懸命やって、最終的には声優として映画を一緒に作っている姿は、視聴者にもすてきな思いを持っていただけると思います」と同企画にかける熱い思いを語った。(毎日新聞デジタル)

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