マンガ質問状:「境界のRINNE」 主人公りんねは連載開始2週間前に“誕生”

「境界のRINNE」(小学館)の表紙
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「境界のRINNE」(小学館)の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、高校生の死神と女子高生が霊を成仏させていく高橋留美子さんのコメディーマンガ「境界のRINNE」です。少年サンデー(小学館)編集部の横山真義さんと初代担当者で現「ビッグコミックスピリッツ」(同)編集部の茂木俊輔さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 横山さん 本作「境界のRINNE」は、貧しき高校生死神・六道りんねが、パートナーの黒猫・六文や霊感体質の同級生・真宮桜とともに、迷える霊を成仏へと導く日々を描いた“放課後鎮魂コメディー”です。

 この世にとどまる霊と対峙(たいじ)し、その未練を解消、来世へと生まれ変わるため“輪廻(りんね)の輪”へと彼らを連れて行くことが、りんねをはじめとする死神の主な業務。りんねが相手をする霊達も、大昔の落ち武者や大正時代の女学生から、新人グラビアアイドルまでバラエティー豊か! 霊達が抱える多種多様なトラブルを、りんねがあの手この手で解決していきます。

 また、個性豊か過ぎるサブキャラクター達も本作の大きな魅力のひとつ。りんねの父親で人をだます怪しい死神・だまし神の鯖人(サバト)や、あの世の役人・記死神(しるしがみ)の架印(かいん)、りんねに恋する情熱的死神少女・鳳(あげは)などなど。時に金銭的に、時に恋愛的に、彼ら彼女らがりんねを窮地に追い込んでいきます!

 −−作品が生まれたきっかけは?

 茂木さん 高橋作品の中ではシリアスな内容となった「犬夜叉」を12年続けられたこともあり、「次は『気軽に読めるコメディー調の作品』が良いのではないか」と高橋先生自身、考えていらっしゃいました。

 それから設定や舞台などの打ち合わせを重ねて大枠として形にはなっていったものの、肝心となる主人公のイメージが先生の中でなかなか浮かばれなかったようです。

 ですが連載開始2週間前というギリギリのタイミングで「主人公が貧乏だったら面白いのではないか」という話が出まして、その瞬間から主人公の服装、性格、生活感などが先生の中で具体的に立ち上がっていき、「六道りんね」というキャラクターが生まれました。

 先生の中で主人公のキャラクターが生まれた瞬間を目の当たりにした思いで、非常に感動した覚えがあります。

 −−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

 横山さん 先生との打ち合わせは、いちばん大切な時間です。毎週毎週「次はどんな話が面白いか……!!?」を高橋先生と話をさせていただいています。

 その際、何気なくこちらが話した一言、アイデアを聞いた先生が「それはアリですね」と言ってくださった瞬間の喜びたるや……。そこからわいたイメージを高橋先生がネームの形にし、原稿の形になっていく。幼いころから高橋先生の作品を愛読していた者として、これ以上楽しいことはありません。

 それと真逆で「ああでもない、こうでもない……」と打ち合わせが煮詰まり、「どうしよう……?」と頭が真っ白になるときが、なんとも大変な瞬間となります……。

 あとはうれしい瞬間と言えば、月並みですが高橋先生の描くネームを最初に見られることでしょうか。完成したネームを読んで「ぷっ」と笑い、「面白いです!」と先生に伝え、「あー、面白かった」と ほくほくした顔で帰路につく。これらは何事にも代え難い幸せな瞬間だと思います。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 横山さん 魅力あふれる新キャラクターがたくさん登場し、読者アンケートも絶好調の「境界のRINNE」!  一度読んでみて、お気に入りのキャラを見つけていただければと思います。最新単行本10巻が11月18日に発売されますので、1~9巻までとあわせてぜひお楽しみください。

 また、高橋先生の代表作の一つ「らんま1/2」が12月に実写ドラマ化されます。そちらに合わせ、「らんま1/2~TVドラマ記念・よりぬき完全版~」上下巻の発売が決定しました。ドラマ関連エピソードをセレクトしたこの単行本、初の連載時カラー原稿を再現+大型A5判の特別版となっております。こちらもチェックしてください!

 当時らんまのファンだった方は、特別単行本はもちろん、最新型の高橋留美子ワールド「境界のRINNE」もぜひ体験してみてください!

 少年サンデー編集部 横山真義

 ビッグコミックスピリッツ編集部 茂木俊輔

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