乙葉しおりの朗読倶楽部:第53回夏目漱石「吾輩は猫である」第4回

「吾輩は猫である」作・夏目漱石(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「吾輩は猫である」作・夏目漱石(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第53回は夏目漱石の「吾輩は猫である」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 皆さんは、「ロボット」の語源をご存じですか?

 私は「ロボット」というとアニメを想像してしまいますけど、想像上のお話にとどまらず「産業ロボット」など、今日どこでも耳にするようになった言葉ですよね。

 「ロボット」という言葉が初めて使われたのは、チェコの作家、カレル・チャペックさんが1921年に発表した戯曲「R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)」でした。

 彼は戯曲を作り上げる過程で、「工場で生産された人間そっくりの機械」をどう呼ぶか考え、兄のヨゼフ・チャペックさんのアイデア「ロボット」という呼び名を採用しました。

 「R.U.R.」でのロボットは賃金のいらない労働者として描かれていて、チェコ語で「賦役」を意味する「robota」を基にしたのではないかと言われています。

 ちなみにこのお話にでてくる「ロボット」は、歯車や金属を使った機械的なものではなく、脳や心臓など人間の体を人工部品で再現した「人造人間」のような存在なんですよ。

 多くのメッセージ性を持ったお話なので、ぜひ一度読んでみてくださいね。

 ……と、いうわけで、ご紹介が最後になってしまいましたが、1月9日はカレル・チャペックさんのお誕生日です。

 そして翌日の1月10日は、尾崎紅葉さんのお誕生日です。

 1868年生まれの尾崎紅葉さんは、病弱からわずか35歳で亡くなられていますが、1897年より連載された「金色夜叉」は明治時代を代表する小説となりました。

 「金色夜叉」については近いうちにご紹介させていただきますね。

 ではここで、朗読倶楽部のお話。

 今回からは、朗読倶楽部3度目の大会出場の思い出をお話ししたいと思います。

 3回目の大会は、夏の終わりの8月下旬に開催されました。

 ですがこの大会、前回までのような朗読の大会ではなく、「ビブリオバトル」の大会だったんです。

 皆さんは、「ビブリオバトル」をご存じですか?

 ビブリオバトルは2007年に京都大学で始まった、書評のうまさを競う知的遊戯なんです。

 ルールは簡単。

 ・自分の好きな本を使って、その魅力を5分以内でみんなに紹介します。

 ・その際、レジュメなどの資料を使ってはいけません。

 ・参加者全員の発表が終わったら、一番「読んでみたい」と思った本を投票します。

 ・一番投票数の集まった人が優勝になります。

 私もこの大会に出場するまでは「ビブリオバトル」のことを知らなかったんですけど、面白い本を発見して、その情報を共有するという趣旨は素晴らしいことだと思いました。

 ですが、実際にこれを実演する立場になるのは、ルール程簡単にはいかない問題があったのです……。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 夏目漱石「吾輩は猫である」第4回

 こんにちは、夏目漱石さんの長編作品「吾輩は猫である」のお話も4回目、今回が最終回となります。

 今回は全11章の中から、1906年の3月、4月、8月に発表された第9章から最終章の第11章までをご紹介させてください。

 【第9章あらすじ】

 家の北側に隣接する中学校との間に起こった騒動で怒り心頭を発したものの、哲学者の独仙さんに諭されてけんかを思いとどまった苦沙弥先生。

 精神修養のために瞑想を始めた先生のところに、迷亭さんがお客さんを連れてやって来たのですが……。

 【第10章あらすじ】

 第5章で苦沙弥先生宅に入った泥棒が捕まったとの知らせがあり、先生は盗まれた物を警察に引き取りに行くことになりました。

 退屈しのぎがなくなった「吾輩」は、先生と入れ替わりにやってきためいの雪江さんと、細君(先生の奥さん)の世間話に耳を澄ませます。

 やがて学校の教え子が一人、先生に相談したいことがあるとやって来たのですが……。

 ※ちなみに第10章が掲載された「ホトトギス」の別冊付録では、このお話に並ぶ夏目漱石さんの代表作「坊っちゃん」が掲載されています。

 学校講師のお仕事を掛け持ちしながら、お話を2本同時に発表してしまうんですからすごいですよね。

 【第11章あらすじ】

 数日の間故郷へ帰っていた寒月さんが、鰹(かつお)節のお土産を持って苦沙弥先生宅を訪れました。

 話を聞いてみると、帰郷中に結婚したというので驚きです。果たして、そのお相手とは……?

 以上、4回にわたってお送りしてきたこのお話は、猫の「吾輩」が苦沙弥先生と彼を取り巻く人間模様を観察する様子を、風刺を交えながら面白おかしく描いたものです。

 今回は私が読み返すとき、「あのエピソードは第何章?」と思い出すためのメモをもとにご紹介させていただきましたけど、落語の小噺(こばなし)のように描かれた当時の日常と風俗は、一度読んでみる価値があると思いますよ。

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