朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第59回 メアリー・ノートン「床下の小人たち」

「床下の小人たち−小人の冒険シリーズ<1>」作・メアリー・ノートン(岩波少年文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「床下の小人たち−小人の冒険シリーズ<1>」作・メアリー・ノートン(岩波少年文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第59回はメアリー・ノートンの「床下の小人たち」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 最近は、自宅で映画鑑賞がマイブームです。

 たまたま映画化された小説を読んでいるうちに、映画版も見たくなったのがきっかけなんですけど、そのうち原作と映画の違いを見るのが楽しくなって、先に映画を見てから原作を読むことも多くなってきました。

 でも、それだけ時間が取れるのは、まだまだ外が寒くて出不精になりがちなせいかもしれません……。ちょっとは運動もしないといけませんよね。(>_<)

 そんなわけで、今回は有名な映画作品の原作を執筆した4人の作家さんのお誕生日をご紹介したいと思います。

 まずは1912年生まれ、「猿の惑星」の作者、フランスのピエール・ブールさん。

 戦時中に投獄されていた経験をもとに描いた「戦場にかける橋」も、映画史に残る名作です。

 続いて1917年生まれ、「あゝ野麦峠」の作者、山本茂実さん。

 ドラマ性を重視した映画版も良いですが、緻密な取材でより深く当時を知ることができる原作も魅力です。

 3人目は1926年生まれ、「アイ・アム・レジェンド」の作者、アメリカのリチャード・マシスンさん。

 誰もがご存じの映画監督、スティーブン・スピルバーグさんの出世作「激突!」にも脚本として参加していました。

 以上3人は、同じ2月20日生まれです。

 最後は1917年2月25日生まれ、「時計じかけのオレンジ」の作者、イギリスのアンソニー・バージェスさん。

 実はこのお話、ある事情で映画と原作では、結末の印象がかなり異なるものになっているんですよ。

 皆さんも感動した映画があったら、ぜひ原作も読んで、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、今回は朗読倶楽部の活動のひとつ「朗読館」についてのお話です。

 誕生のきっかけは、朗読倶楽部結成1年目の秋……以前お話しさせていただいた文化祭でした。

 この時に他のクラブのお手伝いをした経験が、倶楽部にとっても大きなプラスになったと感じた私たちは、校内・校外を問わず朗読倶楽部でお手伝いできることを広く募集していこう、ということで意見が一致したのです。

 一種の「人材派遣サービス」とでも言うのでしょうか……こう例えるとなんだか有料のように聞こえますけど、課外活動の一環ですから、お金をいただくようなことはありません。

 ちなみに「朗読館」の名前の由来は、「本の貸し出し」を行う「図書館」のように、「朗読の貸し出し」を行うことから名付けられたものです。

 この「朗読館」はおかげさまで好評で、今では「対面朗読」をはじめとして、さまざまなところからさまざまなお願いをいただくようになりました。

 でも、始めた当初は認知度が低い上に実績がありませんでしたから反響もほとんどなく、とにかくお願いが来たら何でも引き受けてしまう勢いだったんですよ。

 結局、その影響は今も続いていて、文化祭の時のように朗読とはほとんど関係ないお手伝いも多いのですが……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回は「朗読館」の初依頼についてお話ししたいと思いますので、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 メアリー・ノートン「床下の小人たち」

 こんにちは、今回ご紹介する1冊はイギリスの児童文学作家、メアリー・ノートンさんの「床下の小人たち」です。

 全5部作の「小人の冒険シリーズ」第1作として1952年に発表され、イギリスの児童文学賞であるカーネギー賞を受賞しました。

 海外では原題「 The Borrowers 」で映像化されているほか、日本でも主人公の名前をタイトルに冠した「借りぐらしのアリエッティ」として2010年に映画化されています。

 13歳の女の子アリエッティ・クロックは、父ポッド・母ホミリーとの3人家族。

 小人の彼らは人間が住む古い家の床下に部屋をこしらえ、家の食べ物や日用品をささやかに拝借する「借りぐらし」をしていました。

 床下で生まれ、床下以外の世界を知らないままに育ったアリエッティは、持ち前の好奇心からポッドのように「借りに行きたい」と願っていましたが、ホミリーからは強く止められていました。

 彼らと人間では体のサイズが違いますから、たったひと部屋を移動するだけでも命がけになる危険な世界なのです。

 また、「借りる」と言っても盗むのと変わりはありません。

 もし人間に見つかるようなことがあれば、かつて一緒に住んでいたヘンドリアリおじさんのように、家を出て移住するしかなくなってしまうのです。

 ところがある日、アリエッティが割ったカップの代わりを借りに出かけたポッドが、病気療養に来ていた人間の少年に姿を見られてしまったからさあ大変。

 引っ越しの危機を迎えた、クロック家の運命やいかに……?

 自分の部屋で何かをなくしてしまったとき、「小人がいたずらをしている」……なんて、考えたことはないでしょうか?

 もしかしたら、あなたの家にもアリエッティのような小人が住んでいて、「借りに来ている」のかもしれませんね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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