あの夏で待ってる:長野・小諸を舞台に王道の青春ストーリーが人気 大澤CPに聞く制作秘話

23日発売のアニメ「あの夏で待ってる」初回限定版ブルーレイ&DVDのケース(左)とインナージャケットイラスト(C)I*Chi*Ka/なつまち製作委員会
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23日発売のアニメ「あの夏で待ってる」初回限定版ブルーレイ&DVDのケース(左)とインナージャケットイラスト(C)I*Chi*Ka/なつまち製作委員会

 1月から放送中のアニメ「あの夏で待ってる」(TOKYO MX、信越放送など)が人気だ。舞台となる長野県小諸市や軽井沢町では“聖地巡礼”するファンの姿が見られ、地元側でもファンを歓迎する態勢を整えるなど、盛り上がりをみせている。アニメ「おねがい☆ティーチャー」や「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のスタッフが再結集し「王道の青春ストーリー」を目指したという同作の魅力に迫った。

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 アニメは、高校1年生の海人が、ある晩に8ミリカメラで湖の周辺を撮影していると、突然湖に現れた正体不明の物体を目撃し、大けがをする。次の日になると、海人の体はなぜか無傷で、学校に行くと赤い髪の少女・イチカに一目ぼれしてしまう。すると海人は、ひょんなことからイチカを含めた5人の仲間とともに自主制作の映画を作ることになった。イチカは「行きたい場所がある」という理由で、この地に来たというが、謎の生物?を連れていて、おまけに常識では考えられない発言を連発し、奇抜な料理を作る。そんな若者たちの物語が丁寧に描かれていくオリジナルストーリーだ。

 アニメでは、浅間山を望む田園風景や、小諸市街、小諸城跡の懐古園、軽井沢町の各所などが実景のまま登場する。小諸市に舞台を設定した理由は、スタッフに長野県出身者が多かったこと、作品の理想とする風景が同地域に多くあったからという。ロケ地誘致団体「小諸フィルムコミッション」がロケハンに協力し、町を訪れるファンを対象にした企画「なつまちおもてなしプロジェクト」が1日から発足するなど町ぐるみで支援している。

 アニメで実在の町をモデルにするのは、埼玉県旧鷲宮町(現久喜市)などを舞台にしたアニメ「らき☆すた」以降、近年盛んになっている。その先駆けといわれるのが、「あの夏で待ってる」と同じ長野県を舞台にしたアニメ「おねがい☆ティーチャー」(02年)で、今作の大澤信博チーフプロデューサーと脚本の黒田洋介さんがかかわっている。さらに監督には、埼玉県秩父市を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などをヒットさせた長井龍雪さんを起用した。

 「あの夏で待ってる」の第1話の放送後からネットでは、ファン同士の激論が交わされている。作品の舞台、赤い髪のヒロイン、仲間の配置などが「おねがい☆ティーチャー」を思わせる部分があったためだ。大澤さんは「(二つの作品は)別の作品です。似ているというなら『おねてぃ』への“思い”が漏れてしまったのかも」と笑いながら、「10年前と今の青春のあり方は違うし、監督も違う。新たな青春モノを作ろうと意図しました」と明かしている。

 実際、恋愛、青春、SFというさまざまな要素を盛り込んだ同作であるが、どこに軸を置くかということで苦労したという。大澤さんは「感情がぶれるのが青春。モヤモヤしちゃう感じがある一方で、作品としては一本にしなくてはいけないところが大変だった」と話した。

 アニメは話数を重ねるごとに先の読めない展開になっている。仲間は片思いばかりの関係になっていて、ヒロインのイチカが探している場所、海人の体質、自主制作の映画は完成するのか、不思議キャラの檸檬(れもん)の正体など謎は増えていくばかり。大澤さんは「想像を超える波乱の展開が待ち受けています。アニメを見るときは、登場人物と一緒になって青春を楽しんでほしい」と自信を見せる。

 小諸では、アニメの舞台になった地域を訪れる“聖地巡礼”も始まっているという。「あの夏」が新たな観光の目玉になるか、そしてイチカと海人の恋の行方は? 「あの夏」の今後に注目だ。

 放送は、テレビ愛知で毎週月曜深夜1時半~、TOKYO MXで毎週火曜深夜2時~、信越放送で毎週土曜深夜1時45分~など。「あの夏で待ってる」初回限定版ブルーレイ&DVDは「羽音たらく描き下ろしスリーブケース」「田中将賀描き下ろしジャケット(デジパック仕様)」「ノンテロップOP/ED」「メインキャスト直筆コメント付き第1話複製台本」、ドラマCD、サウンドトラック、特製ブックレット付きで7350円、「田中将賀描き下ろしジャケット」「ノンテロップOP/ED」付きブルーレイ通常版は6300円、DVD通常版は5250円でそれぞれ23日発売。

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