田中麗奈:演技は「自分の中心にある」 映画「種まく旅人~みのりの茶~」ヒロイン

女優の仕事は「人生を謳歌するための手段」と話す田中麗奈さん
1 / 1
女優の仕事は「人生を謳歌するための手段」と話す田中麗奈さん

 女優の田中麗奈さんがヒロインを演じた映画「種まく旅人~みのりの茶~」が17日から全国で公開される。風光明媚(めいび)な大分県臼杵市で、お茶の有機栽培を営む人々の姿を描く同作は、俳優の陣内孝則さんが16年ぶりに主演を務め、吉沢悠さんらが出演している。仕事に挫折して田舎を訪れ、病に倒れた祖父の代わりにお茶の栽培にいそしむ孫・みのりを熱演した田中さんは、実際にお茶畑の農作業を体験し、「大変なのは覚悟して臨みましたが、これを毎日続けるってどれだけ大変なんだろう……」と苦労を語った。田中さんに撮影現場となった大分県の思い出や作品の魅力、女優という仕事への思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 福岡県出身の田中さん。映画の舞台となった大分県は「もちろん行ったこともあります。温泉も有名ですし、身近な存在ですね」と親近感を持っている。同じく九州出身の陣内さんとは「すごく安心感がある。普段も九州弁なので気持ちもほぐれますし、ついつられて自分も(方言が)出ちゃったり(笑い)。九州人ならではの話をして、撮影中もすごく楽しかった」と振り返った。東京で仕事をしているという役柄のため方言の指導はなかったが、「(映画の)後半の方にはいつの間にか、みのりからも方言が出るようになっているといいなと思いました」といい、あるせりふでは「脚本では標準語だったんですが、方言で言いたいと思ったので、監督に提案しました」と、自然体の演技にこだわった。

 仕事に挫折したヒロイン・みのりについて、自身との共通点を聞くと、「みのりは、自分が何かをやりたいというエネルギーを、どこに向けていいんだろうと悩んでいる。自分自身で何か“務め”をやりたいというところは似ているのかな」と答えた。みのりのように仕事で壁にぶつかった経験は、「あります。知らない間に考え方が偏っていたこともありました。お仕事もストイックに考えすぎて疲れちゃったのかな」という。そんなときの解決法は「お休みに実家に帰ってゆっくりしたり、みのりみたいに、自然の中に身を置いてみたこともありました。そこでいろんなものを解き放って、心のコリを回復していく機能が、人間にはあると思うんですよ」と、映画の設定に共感を示す。

 役作りは、「自分の演じる役の務めは何かと考えることはありますね。その人物の心の状態やどうやって生きてきたかも想像しますけれど、作品全体を通して『自分は何をすべきか』を考えることは、大事にしていますね」と演技へのこだわりを明かした。演技する上で目標としていることは、「終わったら、観客からこういう感想があったらうれしいなという理想形を想像して、そう思ってもらうにはどうしたらいいか考えます」と熱を込める。

 そんな田中さんにとって女優とは、そして演技することとは?を問うと、じっくり考えた上で言葉を選びながら、「まだ模索中です。けれども、自分の中で演じることや女優という仕事は、自分の中心にあります。それがあるからきっと強くなれるし、強くなろうと思える。それがあるから、大丈夫だと思えたり、大変だと思ったり……。でも、何があっても自分の生きていく中心に通っているものと信じたい。人生を謳歌(おうか)するための手段、ですかね」と仕事に対する誇りと愛着をにじませていた。

 次回は、多忙な田中さんのオフの過ごし方や、将来についてなど、私生活について聞く。

 <プロフィル>

 80年5月22日生まれ、福岡県出身。98年の映画「がんばっていきまっしょい」で女優デビュー。同年のサントリーのジュース「なっちゃん」のCMの初代キャラクターで人気を集めた。その後も04年の主演作「ドラッグストア・ガール」、06年の主演作「暗いところで待ち合わせ」、08年の「山桜」 や「犬と私の10の約束」など、映画で多く活躍し、09年には「派遣のオスカル~『少女漫画』に愛をこめて~」でNHKドラマに初出演。11年は「源氏物語 千年の謎」、「聯合艦隊司令長官 山本五十六」、12年は「麒麟の翼~劇場版・新参者~」と出演映画が続き、テレビではNHK大河ドラマ「平清盛」に、源義朝の正室・由良御前役で出演。「種まく旅人~みのりの茶~」は、撮影地の大分県、福岡県で先行上映中で、17日から全国で公開される。

芸能 最新記事